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Unlucky  作者: 碧眼の黒猫
第六章 囚われの身
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ハンクの計画

どんどん先のことは思い付いてもそれを話にしていくのが難しくて困っている筆者です。

今回のお話は追手から逃げるお話です。

 装甲車は激しく揺れながら走行して、数センチ程度の隙間のような窓から外を見ると森の中を走っているようだった。


「クソ、気付かれるのが早すぎだ」


 ハンクは運転席で独り言を言いながら無線機を取り出すと何処かへ連絡をし始めた。


「クラカヂール、聞こえるか?」


 ハンクは片手で装甲車の運転をしながら片手に持った無線機に問いかけると無線機から男の声で返事がきた。


『聞こえてるぞハンク』


「計画変更だ。今から回収地点へ向かう、すぐに来てくれ」


『なんだよ、タイミング悪いな。今整備してるから終わったらすぐにそっちに向かうが、少し時間がかかるぞ』


「十分以上はかけるな、良いな?」


『無茶言わないでくれよ……』


 ハンクは無線機を切ると無線機を元に戻して装甲車の速度を上げた。


「計画?ハンク、何をするつもりなんだ?」


 リーナがハンクに問いかけるとハンクは運転をしながらリーナの質問に答えた。


「リーナを国外へ連れ出す。それが私の計画だ。前に国の外に興味があると言っていただろう?私がそれを叶えてやる」


「それは……確かに外に興味はあるけど、でもそんなことすれば……」


「大丈夫だ。どうせこの国に私の居場所はない、私がこの国にいたのはリーナを護るためだったからな」


 二人の会話を聞く限り、どうやらリーナを連れ出すのがハンクの計画、リーナがこの国の外へ行けないのは母親が監視をしていて、それに加えて屋敷から出る時は必ず警備が付くからとリーナから聞いていた。


 ハンクが何故俺に特訓をしてくれたのか、少しは分かったような気がする。

 本来は時間稼ぎに俺を使う予定だったのかもしれないが、女装ということが気付かれるのが早すぎてこんな結果になってしまったのだろう。


 何故装甲車を止めて待っていたのかは、リーナがそうするように頼んだのかもしれない。


「ハンク………」


「リーナは自由になるべきだ。あんなところにいる必要はない、心配しなくていい。必ず成功させる、この体が動く限り諦めはしない」


 ハンクはハンドルを強く握りしめ、決意が固いことが伝わってくる。

 俺は会話を聞きながら窓から外を見ていると追っ手が迫って来ているのがわかった。


「ハンク、装甲車と車両が近付いてくる。どうする?」


「運転を替われ、邪魔はさせない」


 ハンクに報告するとハンクと運転を替わるように言われた俺は運転席へ座り、装甲車の運転を替わった。


 ハンクが装甲車に搭載されている機関砲を使って追ってくる奴らに向けて撃ち始めた。

 森の中にある道に沿って装甲車を走らせる。


 ハンクの運転の仕方を見て覚えただけのため、少しばかりぎこちない動きだが、何とか装甲車を走らせていると横から強い衝撃を感じ、何かにぶつけられたことがわかった。


「……マズイ!」


 ハンクの声が聞こえた後、後ろから金属が曲がるような音がした後に耳を塞ぎたくなるほど大きい金属の擦れる音がした。

 後ろを振り向いて見ると装甲車に乗ったときにはあったはずの砲塔が無くなっていた。


 その光景を見ても何が起こったのか理解ができなかったが、運転に集中しようと前を見て運転していると後ろから殴り合うような音と声がして再び振り向くと装甲車の中に兵士達が入ってきていた。


 流石にハンクだけでは対応できなかったらしく、リーナが二人の兵士に連れていかれそうになっていた。

 ハンクが必死に一人の兵士を退けようとしていたが、その兵士は半年前に戦ったレジスタンスよりも強いらしく苦戦している様子だった。


 俺は急ブレーキを踏んで兵士達がバランスを崩したところで加速するとリーナを連れ出そうとしていた兵士がバランスを崩している間にリーナが兵士の手を払ってこっちへ来た。


「リーナ、運転を替わってくれ」


「わ、わかった」


 リーナに運転を替わるように言って運転を替わり、二人の兵士と向き合うと後ろでハンクが兵士を倒して二人の兵士に体を向けていた。


 兵士はハンクと同じ装備のボディアーマー、グローブをして、目出し帽にヘルメットとゴーグルをして顔が隠れていた。

 腰のホルスターに拳銃を入れてあるのがわかった、それを抜こうとはせずに兵士は腕を前に出して構えた。


 兵士の腰にはナイフも下げてある、それを使わないのはリーナに怪我をさせない為かもしれないと予想していると一人の兵士がこっちに向かってきた。


 構え方が俺の構え方とよく似ていた為、相手が真似をしているのかと思っていると右手で顔を殴ろうとしてきたため、左手で受け流すと相手はその勢いでバランスを崩す………と思っていたが、その勢いでバランスを崩すことなく、腰を使って左手で素早く体制を直して殴ってきた。


 相手の左手首を掴み、掴んだまま素早く相手の後ろへ回り、蹴りを入れてバランスを崩して自分の体を使って相手を支えながら右手で相手が持っていたナイフを取って首に刃を当てた。


「くっ……!」


 まだ抵抗しようと拘束していない右手で拳銃を抜いた為、ナイフを手放して兵士の拘束を解くと兵士は素早く振り向いて銃口を向けてきた。


 その銃を射線に入らないように注意しながら両手を使って奪い取り、銃から弾を抜くと同時に弾倉を抜いて銃を落とした。


 振り出しに戻り、お互いに構えたまま睨み合っている間も後ろでハンクともう一人の兵士が戦っていた。

 睨み合っていると後ろから押されてその勢いで睨み合っていた兵士を押し倒してしまい、押し倒された兵士は助手席の椅子に首の辺りを勢いよくぶつけ、動かなくなった。


「おっと、すまないな」


 ハンクは俺の背中の上で謝り、兵士の首を絞めていた。

 ハンクが兵士の首を締め上げると兵士は気を失ったようで、ハンクの腕を掴んでいた手を離して動かなくなった。


「はぁ……全くこんな狭いところで戦うのはーー」


「あぁ!しまった!」


 俺の言葉を遮るようにリーナが大声を出した瞬間、強い衝撃と共に体が横へ引っ張られ、装甲車の壁に体を強く当てるとそのまま転がるように天井や床に何回も叩き付けられた。


 そして、何かに勢いを止められてその衝撃で装甲車の床に強く背中を叩き付けてから壁に落ちた後、全身から痛みを感じ、めまいを起こした。


「リーナ………リーナ!……クソっ」


 ハンクが運転席に座っていたリーナを抱えて砲塔があったはずの穴から外へ出ていった。


 俺も後を追うようにしてハンクが気絶させた兵士の銃を取って外へ出ると装甲車が転がった跡が大きい岩のところから続き、装甲車は大きい木に止められて横向きになっていた。


「急がないと……奴等が来る」


 ハンクはリーナを背負うとそのまま走り出した。

 俺は痛めた足を引きずりながら後についていった。


 しばらく走っているとヘリの音が聞こえ、俺はその音を聞いて身を低くした。

 しかし、それはハンクの無線から聞こえてきた声によって無駄な動きだったと後悔した。


『こちらクラカヂール、ハンク何処だ?戦闘機が近付いて来てるんだ、長くは回収地点に居られない』


 ハンクは無線機を取ると歩きながら無線機に話しかけた。


「クラカヂール、もうすぐ回収地点へ着く、もう少し待て」


『了解、待機する。さっさとしてくれ、撃ち落とされちまう」


 ハンクは無線機をしまうとリーナを背負い直して走りはじめた。

 俺も後ろを警戒しながらハンクの後を追った。


 そして、木の無い広い場所へ出ると見覚えのあるヘリが上空から低空飛行して来ると俺達の目の前に着陸した。


 ハンクとヘリへ向かっていると後ろから視線を感じた俺は振り向くとガスマスクを着けた少女のように見える兵士が立っていた。

クラカヂールとはクロコダイルのロシア語読みらしいです。

頭の中でどんどん広がっていってしまう物語をどうにかまとめたいのですが、なかなか上手くいかずにどんどん変な方向へ行ってしまうことが悩みですが、この物語を何とか書ききりたいと思っています。

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