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Unlucky  作者: 碧眼の黒猫
第一章 犯罪者と異世界の少女
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旅の始まり

何故か今日は2作品できました。

 俺が車を走らせている間、車内では2人がさっきの話の続きをしていた。


「我がナディアの友人なのは確かに、我がナディアに倒されたからだ。だが手を抜いて倒された訳ではない、我は全力で戦ったがナディアの方が我よりも強かっただけの話だ」


「……あの時のハル、全然全力じゃなかったように見えた」


「ん?そうだったか?我は本気を出していたつもりだったが……ナディアにはそうは見えなかったか」


「全力でハルが来たら、ハルの城が消えただけじゃ済まないと思う」


「ふむ、確かにそうだな。だが我が本気を出したことは確かだ。我を本気にさせられるほどの人間はナディア以外には居ない」


 二人は思い出を語るように話をしているが内容は思い出として語るような内容ではないように思える。

 二人の話が切れたところで気になっていたことを聞いてみる。


「ナディア、転生者はどれぐらい強いか知っているか?」


「転生者の強さ?……わからない、ハル?」


 ナディアは転生者の強さは知らないようでナディアはハルに聞いた。


「転生者か、我が気にかけることはなかったが、人並み以上の力を持ち、神から授けられた武器や力を使う者達と聞いている」


「人並み以上?普通の人間とは違うのか?」


「そうだ人間、転移者である貴様と違って転生者は簡単には死なないそうだ。我が大魔王だった頃に部下からそう聞いている」


「……何故、俺が転移者だと?」


 俺は自分が転移者とはハルには言っていなかった。


「ナディアから聞いた。何故ナディアが転移者など呼び出したのか不思議だが、理由は聞かないでおこう」


 顔をニヤつかせながらハルはナディアの方に顔を向け、バックミラーに映ったナディアは顔を少し赤くしていた。


「さて、暗くなってきたが何処でテントを張るつもりだ人間?」


「車は夜でも走れるように前に明かりが付いてる。テントを張らなくてもいいと思うが……」


「夜になれば魔物どもが活発になる。これが壊れても良いなら走らせていても構わないぞ?」


「魔物?どんな奴らだ?」


「ナディアから聞いていないのか?、それで良く一緒に旅をすることに賛同したものだな。魔物は人間を簡単に殺す、お前も気をつけるんだな人間」


「人間を殺せるほどの力か、ということは物を壊すことも簡単か」


「奴らは目の前に来たものはなんでも破壊しようとする」


「……なら何処かに止まるしかないか」


 車を壊されては街か村を見つけるまで歩き続けることになる。

 それは困るが周りは草原、車を隠すような場所はない、仕方なく道から外れ、車のエンジンを切る。

 音を出さずにいれば魔物とか言うのも寄りにくくなるはず、もし寄ってきたらさっさと逃げるしかない。


「寝る時はテントの代わりに車の中で寝てくれ」


「言われなくとも我はここで寝る、この中の方が暖かい」


「そうか、ならナディアはこの席で寝ると良い、俺は外で寝る」


「うん、わかった」


 寝る場所も決まったので3人で外に出て、ナディアが料理に必要な道具や材料を光の中から取り出した。


「ナディア、まさかまたスープではないだろうな?」


「……ハル、スープ嫌いになった?」


「いや、ナディアの作るスープは美味いから好きではあるが、流石にスープばかりでは飽きる」


「ナディアはスープが好きなのか?」


「うん、大好き」


「……我は度を越えていると思うがな」


「でも、私……これぐらいしか作れないから」


 どうやらナディアが作れる料理は少なすぎるようだ。


「……材料さえあれば、俺が作るぞ」


 少し落ち込んだ様子のナディアを見て、俺はナディアの代わりに料理を作ることを提案した。


「ジョンは……料理ができるの?」


「ああ、味に自信はないが……同じ料理を食べるよりはいいだろう」


「確かに……ならジョンに任せる」


「ああ、だがさっきも言った通り味は期待しないでくれ」


「マズい料理を出せばここへ来たことを後悔させてやるぞ、人間」


 ナディアの代わりに料理をすることになった俺は、昔教えてもらった料理を思い出しながら必要な道具と材料をナディアに用意してもらい、料理を作った。


「美味いな、良い腕だ」


「うん、美味しい」


「そうか…良かった…」

(それにしてもナディアの魔法というのは便利だな、なんでも入っているのか?)


 まだ子供の頃にスラムの料理の得意な奴に教えてもらった簡単な料理のレシピだったが上手くいったようだ。

 材料はナディアが魔法で光の中から出してくれた。


「さっきの話の続きだが転生者と転移者の違いは何だ?」


 食べ終えたハルにさっきの話の続きをしようと話しかける。


「知りたいか?人間」


「ああ、気になるからな」


「ならば我が知っている限りで教えてやろう、転生者はさっきも言ったように、簡単には死なない上に神から授けられた武器や力で戦う。だが転移者は違う、転移者は異世界で持っていたものしか持っていない、転生者のように肉体も強くなく、この世界にも居る普通の人間と同じだそうだ」


「なるほど、転生者とはかなりの差がありそうだな」


「確かにな。それと転移者はこの世界の人間のように魔法を使うことはできないらしいぞ」


「……使えないのか、ナディアから教えてもらってから何度か試したが、使える様子はなかったことから薄々気付いてはいたが……転生者は使えるのか?」


「ああ、使える。それも並みの人間以上に、今では転移者は奴隷商人と魔術師の金になる商売として利用されている」


「…なるほど、奴隷商人は転移者を奴隷として売りさばいて、魔術師は呼んだ報酬としてか」


「転移者は4人以上の魔術師がいれば簡単に呼び出せるからな、転移者は両者にとってありがたい存在だが時々それで揉め事になることもあるそうだ」


「そう考えると、俺は幸運と言うことか……」


「そうかも知れぬな。昔は勇者として崇められるほどだったが、今では力の無い転移者は奴隷としか思われていない。捕まれば二度とまともな生活は出来ないだろうな」


 どうやらこの世界で生きていくには元々いた世界と同じようにどんな手を使ってでも、たとえ何人殺そうとも捕まらないようにするしかないようだ。

 ハルと話をした後ハルとナディアは一緒に車の中へと入って、俺は外で車に寄りかかって寝た。


 朝になり、目を開けると周りは霧で覆われていた。

 周りを見渡しても白い景色が広がるだけで見通しが非常に悪い。


(これだと車を走らせるのは危険だな)


 車の中を見ると助手席でナディアとハルが一緒に寝ていた。

 ハルはとても不機嫌なことが顔を見てわかった。

 反対側に回って運転席側から乗り込むとハルが目を開けた。


「よく眠れたか?」


「眠れるわけがなかろう、ナディアに抱きつかれていたら鬱陶しくて眠れぬ」


「そうか」


「人間、なんとかしろ」


「悪いがどうにもできない、ナディアが起きるまで俺も寝るとしよう」


 運転席を倒すとそのまま俺は目を閉じた。


「おい!、はぁ……まったく」


 ハルはそれ以上声をかけることはしなかった。

 ハルには悪いが重要な問題でもない、そのまま一緒に寝ててもらおう。



 〜深い霧の中〜


「……何処なんだよぉここは?、なんか知らねぇ内に周りが霧で見えなくなちまった」


 男は1人霧の中を歩いていた。


「道……道…か?、おぉやっと道っぽいの見つけたぜ、どっちかわかんねぇけどこっち行ってみるか」


 男は霧の中で道を見つけ、道に沿って歩きだす。


「ん?、もしかしてこれタイヤの跡か?てことはこの道に沿って行けば人が居るかもしんねぇってことか!」


 男は走りだした、タイヤの跡を辿って人がいるところを求めて。

読んでいただきありがとうございました。

頑張って少しずつ書いていきます。

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