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Unlucky  作者: 碧眼の黒猫
第五章 続く災難と不運
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レジスタンスの襲撃

今回はジョンの話です。

「特訓はここまでだ。風呂に入ってこい、汗だらけだろう?」


 俺が疲れていることに気付いたのかハンクはそう言うと部屋から早歩きで何処かへ行こうとしていた。

 そろそろ限界を感じていたため、丁度いいと思い俺はハンクが何処かへ行く前に手短に風呂場の場所を聞くと風呂場へ向かった。


 どうやら風呂場は一階にあるらしく、俺は一階に降りて探してみるとそれらしき扉があった。

 扉を開けて部屋へ入ってみると脱衣所があり、ここが風呂場だと確信した。


 服を脱いで風呂場へ入ると勝手に明かりがつき、風呂場が明るくなった。

 見たことがない風呂場で風呂場の壁や床は眩しく感じるほど綺麗だった。


 風呂に入る前に体を簡単に洗い、洗い終わってから風呂へ入る。

 湯船に浸かり、体から力を抜いていくと段々と体のいたるところから痛みを感じ始めた。


 主に腕や足に痛みが走るが、湯船に静かに浸かったまま静かにして居ると痛みが和らぎ、次は眠気が俺を襲った。

 眠気に襲われて自然と目蓋が落ちはじめ、俺はなんとか目を閉じないように堪えていると声が聞こえた。


「ジョンさん……駄目ですよ、ここで寝ないでください」


 その声はフリーゼの声だった。

 ぼやけている視界で風呂場の中を見渡すがフリーゼは何処にも居ない。


「ジョンさん……貴方にはまだ死なれては困ります。風呂場でのぼせて死ぬ……なんて、それでは面白くない」


 何処から話しかけているのかわからず、俺は探すのを止めて眠気を堪えられずに目蓋を閉じると銃声のようなものが聞こえて眠気が吹き飛び、閉じた目を開けた。


「ふふふ、そう……それでいいのです。私を楽しませてくださいね……では、また夢の中でお会いしましょう………ふふふ」


 眠気が無くなるとフリーゼの声が聞こえなくなり、一体何だったのかと考えていると銃声が再び聞こえた。

 何かあったのかもしれない、そう思い俺は風呂から上がると脱衣所で服を着て廊下へ出た。


 廊下へ出て窓の外を見るとハンクが誰かと戦っているようだった。

 相手は集団で武装しているようだが、ハンクはそれを素手で相手にしていた。


 様子を見ているとハンクは次々と相手を殺していった。

 相手に目を向けると相手も決して素人ではなく、戦いに慣れているようで連携も悪くなかった。


 一人の時に二人以上相手が居れば、やむを得ない時以外は逃げることが当たり前だった俺から見れば、戦いに慣れているような奴らを相手に一人で戦っているハンクの強さが異常に思えた。


「ジャック!!」


 名前を呼ばれて横を向くと階段の方からリーナが走ってきた。

 リーナは走ってくると俺の腕を掴んで近くの部屋に逃げ込むようにして入った。


「リーナ、どうした?」


 リーナは扉に鍵を閉めると扉の向こうから数人の足音が近付いて来ると扉が叩かれた。


「おい!扉を開けろ!開けるんだ!!」


 リーナは扉から離れると部屋の中に置いてあったクローゼットの中へ隠れようとしていた。

 リーナが隠れようとしているクローゼットの反対側にもクローゼットがあるが、少し小さいようだ。


「リーナ、奴等は?」


「レジスタンスの人達だ。私を連れ去ろうとしているんだ」


 クローゼットの中へ入りながらそう言うと俺に手を出した。


「さぁ早く!隠れないと殺されるぞ!」


 しかし、クローゼットに俺が入れるようなスペースは無く、入るなら無理矢理入るしか無さそうだった。


「いや、俺は入れなさそうだ」


「私のことは気にしなくていいから早く!」


 リーナが手を出した時に扉のドアノブが銃声と共に吹き飛び、それを見た俺は急いでリーナの腕を掴んでクローゼットへ押し込むとクローゼットの扉を閉めてクローゼットから離れた。

 隠れる場所を探す暇も無いため、俺は扉が蹴り破られるのを待った。


 強く扉が蹴り破られると四人の男が入ってきた。

 男達はショットガンとサブマシンガン、そして腰にナイフを下げていた。


「動くな!」


 両手を上げて抵抗する意思が無いことを相手に示すと男達は部屋の中を探り始めた。


「ここに一緒に入っただろう?アンゲリーナは何処だ」


 一人の髭を生やした男が俺に持っているショットガンを突き付けて脅してきた。

 随分と気が立っているようだ。


「なるほど、そんな顔をしていてショットガンを持っていれば逃げられて当然だな」


「なんだとテメェ!?」


 軽い挑発で機嫌を悪くした男は俺の手が銃に届く距離まで差を詰めてきた。

 それを利用して男の持っていたショットガンを銃口が自分に向かないように注意しながら奪い、男を突き飛ばすと後ろに居た若い男にぶつかってバランスを崩し、若い男と一緒に倒れた。


 俺は奪ったショットガンで近くにいた帽子を被った男が向けようとしていたサブマシンガンを銃底で殴って銃口を逸らさせると男は反動で銃を撃ち、偶然撃った先にいた帽子を被った男の足に当たり、足を撃ち抜かれた男は叫びながらその場で倒れた。


「ああぁぁぁぁぁ!!あ、足がぁぁぁぁっ!!」


「クソッタレ!」


 帽子男を銃底で殴り倒すと後ろから首に腕を巻かれ、俺は銃を手放して肘で男の脇腹を殴ると一瞬男の力が緩み、その隙を突いて男の腕から逃れると男は手に持っていたナイフを振って攻撃してきた。


 一歩下がって攻撃を避けて距離を取り、再び男が近付いてナイフを振ってきたタイミングで男の攻撃を左手で左へと逸らしながら右腕を掴み、膝を曲げて腰を落として自分の腰に男の体を乗せるようにすると同時に右手を腰の近くに置いて右腕で男の体を抱くようにし、自分の上半身と一緒に左手を引いて曲げていた膝を伸ばして男を投げて地面へと髭男を叩き付ける。


 髭男を投げた後、もう一人に目を向けようとした瞬間右肩を撃ち抜かれた。


「うっ……!」


 撃ったのは躊躇ってなかなか撃とうとしていなかった若い男だった。

 人を撃ったのが初めてなのか、男が持っていた銃は小刻みに震えていた。


 撃たれた俺は撃たれた反動で後ろへ下がると片膝を付いた。

 傷口を押さえると血が溢れ出ているのがわかり、押さえていた左手が真っ赤に染まった。


「あぁ……このクソッタレめ」


 髭男はゆっくりと立ち上がるとショットガンを拾い上げて銃口を俺に向けた。


「もう一度聞くぞ、アンゲリーナは何処だ?」


 俺は片膝をついたままクローゼットへ目を向けた。


「そこか……」


 髭男はゆっくりとクローゼットに近付くとクローゼットの扉に手を伸ばした。

読んでいただきありがとうございます。

レジスタンスがいる国は内戦がよく起きているイメージがあります。今後の話にリーナとハンクのいる国について書きたいなと思っています。

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