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Unlucky  作者: 碧眼の黒猫
第四章 忘れ去られた修道女
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行き着いた先は

 ヘリが低空をゆっくりと飛び、ヘリの中から兵士が頭にゴーグルのような物を着けて俺達を探している様子だった。


「……移動したいところだが」


「……無理をしないでください、今ジョンさんが倒れてしまったら私は……」


 ソフィの言いたいことはなんとなくだがわかる気がする。

 今俺がいなくなればソフィは殺されるか捕まってしまうだろう。


「……わかった。治療を続けていてくれ」


「はい」


 ソフィが魔法で治療を続けながら返事をした。

 俺はソフィに治療をしてもらっている間に兵士達の動きを見ていた。

 兵士達は周りを見渡しながらゆっくりと近付いて来ていた。

 近付いて来ている兵士達もヘリの中にいる兵士と同じようにゴーグルのような物を着けていた。


 木の陰から兵士の動きを見ていると1人の兵士が銃を俺達が隠れている木に向けて撃ってきた。

 俺は木の陰へ顔を隠すと次々と弾が飛んできた。


「見つかったようだ。移動しよう」


「で、でもまだ治療が…!」


「さっきよりは楽になった。ソフィ、これを」


 俺はバックパックからUMPを取り出してソフィに差し出すとソフィは受け取らずに下を向いた。


「私は……」


「ソフィ、今は悩んでいる暇はない、受け取らないならしまっておく」


 俺はバックパックにUMPを戻して敵から奪った銃と手榴弾を取り出して立ち上がった。


「移動しよう」


「……はい」


 ソフィは小さく返事をすると立ち上がった。


「なるべく姿勢を低くして木の間を走り抜けるんだ。後ろは気にしなくていい、走り続けてくれ」


「……わかりました」


「行くぞ」


 俺は木の陰からなるべく体を出さないようにしながら兵士がいた場所へ銃を乱射した。

 弾幕が薄くなったと同時にソフィが走り始めたことを確認し、手榴弾の下のキャップを外して中から出てきた紐を引き抜いて兵士のいた方へ投げた後、俺もソフィの後を追うようにして走った。


 走りながら次の手榴弾をバックパックから取り出しておき、バックパックを背負い直した。

 ヘリに乗っている兵士は木の葉が邪魔をしてこっちが見えないのか先程から撃とうとする様子がなかった。


 走り続けていると後ろから再び弾が飛んできた。

 俺は後ろを振り向いて銃を再び乱射して敵の動きを鈍らせ、相手が木に隠れたところで再びソフィを追うようにして走った。


 走っている間にバックパックから弾倉を取り出して銃についている弾倉と取り替えた。

 ソフィと一緒に走っているとヘリから何かが発射されて発射された何かは近くの木に当たると爆発を起こし、当たった木は粉々になった。

 近くの木が爆発したことでソフィは驚いて転んでしまい、すぐに駆け寄って無事か確かめた。


「ソフィ、大丈夫か?」


「……足をひねってしまいました」


 ソフィの足を見ると足首のあたりが赤くなっていた。


「立てるか?」


 そう聞くとソフィは立ち上がろうとしたがふらついて倒れそうになったため、ソフィの体を支えた。


「歩けそうにないな」


「……ごめんなさい」


「気にしなくていい」


 俺はソフィを一旦木の陰へ移動させるとバックパックを下ろして銃をしまって残りの手榴弾を取り出した。


「ジョンさん、どうするんですか?」


「これを全部投げてなるべく相手の動きを鈍らせる。その後ソフィを抱えて走る」


 俺の考えをソフィに伝えると俺はすぐに残りの手榴弾のキャップを外して中から出てきた紐を引き、一つずつ兵士が追ってきている方へと投げた。

 投げ終わった後はソフィを抱き上げて全力で走り出した。


 しばらくソフィを抱き上げて走っている内に俺はヘリの音が聞こえないことに気がついた。


「ソフィ、ヘリは追って来ているか?」


 抱き上げているソフィに後ろを見てもらい、ヘリがいるかどうかを確認してもらった。


「いいえ……追って来ていないみたいです」


 ヘリが追って来ていない上にさっきまで俺達を追って来ていたはずの兵士が何もしてこないことに気が付き、俺は前に進みながらも後ろを振り向いた。

 後ろには誰の姿もなく、音も俺が踏んだ葉っぱの音ぐらいで森の中は静まり返っていた。


「諦めてくれたんでしょうか?」


「まだ油断しないほうがいい」


 俺はソフィを抱き上げたまま俺は早歩きで森の中を進んだ。

 森の中を進んでいると木が無くなり、花畑が広がっている場所に出た。

 月の明かりに照らされている花はとても綺麗に感じた。


「綺麗……」


 花畑を見たソフィが小さい声で言った。

 花畑に見惚れているソフィを抱き上げたまま俺は花畑の中にある道を歩いて進み、目の前に見えている古い教会のような建物に向かうようにして歩いた。


 花畑の中を歩いて教会の前まで来ると教会の中から誰かが出てきた。

 その人影はこちらへ向かって歩いて来た。


「あれは……修道女さんでしょうか?」


 月に照らされて見えたその姿を見てソフィは言った。

 こちらへ向かって歩いて来ているのは修道女姿をした人物だった。

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