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Unlucky  作者: 碧眼の黒猫
第四章 忘れ去られた修道女
32/115

安全な場所を探して

 俺は森の中を歩き続けていた。

 明かりがないため周りはとても暗く、いつ襲われてもおかしくない状況だった。

 ソフィはまだ目を覚まさない、どこか安全な場所を見つけようと歩き回っているが今のところはどこにも身を隠せて、安全な場所らしき場所は見当たらなかった。


(胸の下が痛い……肋骨が何本か折れてるのか?)


 俺は左の胸の下の激しい痛みに耐えながら歩き続けていたが歩く速度は普段よりもかなり遅く、一歩歩くたびに激痛が走り、今にも倒れそうになっていた。


 しばらく歩き続けていると川の音が聞こえ、音のする方へと歩くと緩やかに流れている川があった。

 川は浅く、今の状態の俺でも歩いて行けるほど川の流れも遅かったため川を歩いて渡り、 反対側に着くとヘリが近づいてくる音が聞こえた。


 急いで木々の中へと身を隠すとヘリは少し広い場所で着陸し、ヘリの中から5人の兵士が出てきた。

 兵士を降ろしたヘリは再び低空を飛び始め、何かを探している様子だった。

 探しているのは恐らく俺達が乗っていた馬車だろう。

 俺は再び歩き出し、なるべく馬車のある場所から離れるようにして歩いた。




「隊長、どうやら中の奴らは死んでるみたいです」


 馬車を調べていた兵士の1人が隊長と呼んだ兵士に報告した。


「何人だ」


「2人です」


「2人?この馬車に2人だけしか乗ってなかったのか?」


 隊長と呼ばれた兵士は馬車の大きさに対して、馬車の中にある死体の数の少なさに違和感を感じていた。

 隊長は無線機を使ってヘリのパイロットに無線を通信をした。


「クラカヂール6、乗っていた人数はわかるか?」


「俺が見たのは4人だ」


「4人か、了解した。上空から引き続き捜索してくれ」


「了解、捜索に戻る」


「集合しろ」


 通信を切ると隊長は集合するように指示した。

 それに従って馬車を調べていた隊員が集まった。


「残り2人の捜索をする。痕跡がどこかにあるはずだ。探して追跡する」


「隊長、馬車の周りを調べた時に人が通ったような跡が残っていました」


「どこだ?」


「こっちです」


 隊員の1人が後のある場所まで隊長と残りの隊員を案内した。

 隊員の案内した場所には草が分かれており、明らかに人が通ったことがわかる跡があった。


「まだ新しいようだ。追跡するぞ」


「「了解」」


 兵士達は痕跡をたどって残り2人の追跡を開始した。




 歩くことが辛くなり始め、俺は一旦木に寄りかかるようにして座り、休むことにした。

 木に寄りかかるようにして座って休んでいるとソフィの目が開いた。


「……ジョン…さん…?」


「目が覚めたか……」


「…ぅぅ……私、確か……ジョンさん?…大丈夫ですか?」


「いや、左の肋骨が折れてるかもしれない…」


「肋骨が折れてる!?待ってください、今回復魔法を…」


 ソフィが回復魔法で治そうと手を左の胸下に手を当てて治療している時、ヘリの音が近付いて来ることがわかった。


「ヘリか」


「…さっきのハインドでしょうか?」


「恐らくそうだろう」


 ヘリの音に気付いたソフィも俺の治療を続けながら木の陰に隠れた。

 ヘリの音が近付いて来るとヘリから出る風で周りが吹き荒れ、木が激しく揺れて落ち葉が舞った。

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