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Unlucky  作者: 碧眼の黒猫
第三章 降りかかる災難
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赤き街からの脱出

 路地へと入り、敵を待ち伏せて1人ずつ片付けようとしていたが敵は仲間と一緒に行動しているため倒す機会がなく、俺はただ逃げ続けているだけだった。


「逃すな!!」


 敵の声と共に銃声が路地に響き渡り、俺のすぐ近くを弾丸が通っていく、姿勢を低くしていなければすぐに当たってしまうだろう。


 俺は曲がり角に入って身を隠せる場所を確保してから追って来る敵を角から飛び出してライフルで敵を撃ち抜く、弾丸は敵の肩に当たり、死ななかったが悲鳴をあげて倒れた。


(残り3発……)


 ライフルに入っている残りの弾の数を頭で数えがらライフルから薬莢を排出すると薬莢が落ちる音と一緒に足元に何かが落ちる音がし、足元を見ると木の先に黒い何かが付いている物が転がっていた。


 それは見たことのある物だった。

 足元に転がってきたそれはソフィと武器を本で調べている時に見たM24型柄付手榴弾という名前の物と同じ見た目をしていた。


 俺はすぐに手榴弾を蹴り飛ばしたが手榴弾は蹴り飛ばしてすぐに空中で爆発し、とっさに顔を腕で隠して破片から顔を守る体制のまま俺の体は爆風に押されて通路の奥へと飛ばされた。


 爆発音で耳鳴りがし、背中を強く打った影響かうまく呼吸ができずに咳き込んだ。

 咳き込みながらも立ち上がって壁に手をついて敵が来ていないか後ろを向いて確認すると敵はいなかった。


 俺がいる曲がり角は敵とはそれほど離れていなかったはず、先程まで走って追いかけて来ていた敵が歩いて来るということは考えにくい。

 俺は壁に手をつけながら歩き、角から敵の方を覗くようにして見た。


「腕がぁぁぁ!!…ぁぁあああ!!」


 1人の悲鳴をあげていた敵の腕は肩から無くなっていた。

 その敵の近くにはフードをかぶり、バンダナを顔半分が見えないように巻いていた男がいた。

 男は叫んでいる敵の首を片手で掴むとそのまま首を折った。


「なんだ……あいつは…?」


 小声だったがその男の姿を見て俺は声を漏らしてしまった。

 するとこっちの声が聞こえたのか男は俺の方を首を動かしてこちらを見た。

 すぐに角に隠れるが見つかっていると思い、その場をすぐに離れることにした。


 路地を走り抜けて道に出ると何人か敵の死体があった。

 敵の死体から武器と弾薬を手に入れ、ついでに手榴弾も手に入れた。

 死体になっている敵から手に入れた銃は円盤型の弾倉の銃だった。


 拾い集めていると背筋が凍るような感覚がし、強い殺気を感じた。

 振り向き周りを見渡すが誰もいなかった。


(おかしい、まさかさっきの奴か?)


 弾薬は集められるだけ集められたため、俺は急いで馬車に戻ることにした。

 走って来た方角を思い出しながら馬車の元へと戻った。

 馬車へ戻るとナディアは帰って来ていないようだった。


「ジョンさん、ご無事でしたか!」


「ジョンサン……お腹…減った」


「ブッチャーちゃん、今は我慢して……ね?」


「うぅ……お腹……減った」


 馬車には先程と変わらず、ソフィとエルマとブッチャーが乗っていた。

 ブッチャーは酷く腹が減っているらしく、元気がない様子だった。


「ナディアはいないが……これ以上待ってはいられない、出発しよう」


「ナディアさん……一体どこに行ってしまったのでしょうか…」


 俺はハルやナディアがやっていたように馬のいる方の馬車の壁を3回叩いた。

 すると馬車が勝手に動き出し、街の出口を目指して走り始めた。


 馬車の走る音で敵も気付き、馬車は敵から攻撃を受けるが馬車の中に弾が入ってくることはなく、馬も何事もないかのように走っている。


「ジョンさん!これからどうするんですか!?」


 エルマが銃声と馬車に当たった音に負けないように大声で言った。


「あてはない、ここから逃げるだけだ」


「聞こえません!もっと大きい声で喋ってください!」


 どうやらいつもの調子で喋ったせいか声がかき消されて聞こえなかったらしいが、俺は言い直すことはぜずに馬車の窓から外を見た。

 街は炎で赤く染まり、道にはこの街の住民らしき人々の死体と敵の死体がいくつかあった。

 恐らくこの街の警察か軍隊が応戦しているのかもしれない。


 流れていく景色を見ているとヘリの飛ぶ音が近付いてくるのがわかった。

 窓からヘリの飛んでいる場所を見ようとしているとエルマに肩を叩かれた。


「ジョンさん!あれを!」


 エルマが指を指した方向を見ると武装したヘリが10機近く、上空を飛び回っていた。


「あれは……ジョンさん!」


 今度はソフィに呼ばれ、俺はソフィの方を見る。


「この本を借ります!」


 ソフィは俺のバックパックからフレデリカから貰った本を取り出して何かを調べ始めた。


 ソフィが本で何かを調べているうちにヘリの飛ぶ音がまた近付いてくるのがわかり、窓から音のする方を見るとヘリが俺達の乗る馬車に近付いてきていた。

 ヘリは人が乗る場所の下あたりに付いている銃で俺達の乗っている馬車を攻撃してきた。


 しかし、馬車の中まで攻撃が届くことはなく、馬車は無傷だった。

 ヘリは一旦馬車の上を通り過ぎると旋回して再び攻撃してきた。


「ジョンさん!あの兵器の名前がわかりました!」


 ソフィは俺の近くまで来て様々な兵器がイラスト付きで書かれている本を見せてきた。

 ソフィが探していたのはどうやらあの兵器らしい。


「ハインド?」


 本には今俺達の乗る馬車を攻撃しているヘリの絵と名前が書かれていた。

 武装が書かれた場所を見るとあのヘリには機関銃の他にロケットランチャー、対戦車ミサイル、爆弾などが積めるようだ。


「なるほど、わかった」


 ハインドについて一通りは読んだためソフィに読み終えたことを伝えるとソフィはまた何かを調べ始めた。


 ソフィがまた何かを調べ始めた様子を見ているうちにどうやら街を出たらしく、外の景色が変わった。

 だが街の外に出てもヘリは追いかけてきていた。


(なんとかできないのか?)


 追いかけてきているヘリをなんとかしたかったが先程見た本によるとどうやら装甲が厚いらしく、俺たちの持っている武器ではどうしようもなかった。

次回はハインドから逃げるお話です。ちなみに今回出てきたハインドはハインドDで、装備は固定武装の12.7mm機銃とロケットポッドを四つに対戦車ミサイル四本を積んでいる設定です。

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