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Unlucky  作者: 碧眼の黒猫
第三章 降りかかる災難
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暗闇の中で

今回会話部分が多いです。

「……ジョン?………ねぇ!……ジョンってば!!」


 誰かの声がする。

 その声は俺がよく知っている女性の声だった。


「………ナタリア?」


「ジョン!……いつまで寝てるのよ!」


 目を開けるとそこには見慣れたナタリアの姿があった。

 周りを見渡すと暗い空間の中だった。


「そうか、とうとう俺も死んだようだな……」


「何言ってんのよ?ジョン、貴方おかしくなっちゃった?」


 訳がわからないと言うような顔で俺の顔を見るナタリアだったが俺はまたナタリアに会えたことを嬉しく思い、そんなことはどうでも良かった。


「また会えたな、ナタリア」


「な、何よいきなり……しかも笑ってるし」


「いや、また会えるとは思ってなかったからな」


「はぁ……?、まあいいわ。ねぇ、ジョン?」


「なんだ?」


「私ね……貴方と一緒に居ることがとっても幸せだったんだ。一緒に盗みを働いたり、一緒に食事したり、一緒に寝たりして……とっても幸せだった」


 確かに俺はナタリアとは一緒に盗む仕事をしたり、ナタリアに言われて食事をしたり、寝たりもした。

 それは今でも覚えている。


「でもね………ジョンは私に優しくしてくれるだけで恋人にはなってくれなかった」


「……あの時はもう大切な人を失いたくなかった。俺を育てたアイツが死んで……俺に優しくしてくれたアイツも死んで俺の知っている仲間はほとんど死に。もう残っていたのはナタリアだけだった」


 ナタリアから告白された時、俺は複雑な気持ちになった。

 俺に関わった人間だけが死んでいき、やがてスラムで段々と俺は孤立していた時にナタリアに告白された。


「でも……それでも私は貴方の側に居たかった。でもそれは貴方がそうはさせてくれなかった…」


「……すまなかった」


 俺が謝るとナタリアは笑った。


「……ふふ、貴方が謝るなんて初めてじゃないかしら?」


 そう言われてナタリアとの会話を思い出すと話をしている時に謝ったことがあったことはなかった。


「確かにな………ナタリア」


「何?ジョン?」


「俺もお前の事が好きだったのかもしれないと思っている」


「………」


 そう言うとさっきまでは笑顔だったナタリアの顔が真剣な表情になった。


「お前の告白を断り続けていたが俺はナタリアのことを……」


「違うジョン、それは違うの」


 俺が話している途中で遮るようにナタリアが言った。


「……何が違う?」


 ナタリアの口から意外な言葉が出たことに驚きながらも俺はナタリアに何が違うのかを聞いた。


「貴方のその気持ちはただの信頼であって、恋とかじゃないと思うわ」


「どうしてそう思う?」


「だって、私のことを女として見てみていた?」


「それは……」


 俺は言葉を詰まらせた。


「……ほら、貴方はただ私を信頼していただけで、私のことを女として見てないじゃない」


「………」


 俺は何も言えなかった。

 ナタリアは俺がナタリアのことをどう思っているかはナタリア自身よく理解していたようだ。


「でもそれで良いのよ、だって貴方は私じゃ満足させてあげられないから…」


「どういう意味だ?」


「幸せにしてあげられないってこと」


「そんなことは…」


「無いって言うの?貴方を置いて死んだのに?」


「あれは………俺が止めていれば死ぬことはなかった」


「そんなことはないわジョン、私は運に頼って生きていた。だから運が尽きたことに気付いていなかったから、あそこで死ななくても何処かで死ぬの。それが運命なのよ」


「……運命」


「もう私の運は無くなっていた。それに気が付かなかったからから死んだのよ。ジョンのせいじゃないわ」


「………」


 俺は黙ったまま顔を下に向けた。

 下を向いたままナタリアの顔を見る事ができなくなってしまった。

 また会いたかったはずのナタリアの顔を見ると心が締め付けられるような気がしたからだ。


「ジョン……貴方には私の分まで生きて欲しいの」


「……それはできない」


「なぜ?」


「死んでいるからだ。訳の分からない男に背後から刺されて俺は死んだ」


 俺は目を合わせずに下を向いたまま刺された事をナタリアに話すとナタリアは静かに笑った。


「大丈夫よ、貴方は死んでない」


「……なぜわかる?」


「なぜって、そんなの決まってるじゃない」


「……?」


 意味がわからず、顔を上げてナタリアの顔を見ると優しく微笑んでいた。


「貴方は死なないと私は思っているから、良くも悪くも貴方には運があるからよ…」


 ナタリアは俺の目を真っ直ぐ見て言った。


「……そろそろお別れかな、お願いジョン。生きて……そうすれば、必ず良いことがあるから……」


 ナタリアの声が空間に響き渡り、周りが白くなっていった。


「ジョン……元気でね」


「ナタリア……」


 俺がナタリアの名前を言った瞬間、目の前が光で真っ白になった。

 光が無くなり、再び暗闇になると目が動くことに気が付き、目を開けると何処かの部屋だった。


「気が付きましたか?」


 目を覚ますと風呂場であったあの女性が寝ている俺の顔を側に座って見ていた。


「……ここは」


「私達が泊まっている部屋です。良かった気が付いて」


「………」


 確かここは若い男女2人の部屋だったことを思い出した。


「大丈夫ですか?」


「ああ、大丈夫だ……」


 俺は立ち上がり、扉を開けた。


「部屋に戻るんですか?」


「ああ、助けてくれた事は感謝するが……今は返せるものがない、すまない……」


「気にしなくて良いです」


「……すまない」


 俺は部屋から出て自分の部屋へと戻った。

 部屋に戻ると部屋にはソフィが居た。


「あ、ジョンさん!……どうかされたんですか?」


「いや、何もない……」


「顔色が良くないようですが……」


「気にしなくていい……」


 俺は窓際へ行くと窓際に置いてあった椅子に座った。


「ジョンさん……背中が……」


 ソフィは俺の背中が血だらけになっていることに気付いたようだ。


「もう傷口は塞がっている」


「一体、何があったんですか…?」


 ソフィが心配そうに聞いてきた。


「……通り魔だ。ナイフの切れ味を確かめる為の試しで刺された」


「試しで人を刺すなんて……」


「ソフィ、ここに来るまでに酔った感じの男に会ったか?」


 ソフィに聞くとソフィは首を横に振った。


「……ソフィ、帰るなら部屋まで付いて行く」


 俺は立ち上がり、ソフィに近寄るとソフィは少し震えている様だった。


「……そう…ですね。じゃあ一緒に…」


 ソフィがまだ話をしている途中で爆発音が連続して外から聞こえてきた。

 爆発音を聞いた俺は窓の外を見ると窓から見えていた街の一部が燃えていた。

読んでいただきありがとうございます。

会話部分が多くて状況がわかりづらいかもしれませんが時間が空いた時に直したいと思います。

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