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Unlucky  作者: 碧眼の黒猫
第三章 降りかかる災難
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夜の旅館

久しぶりに書くのでおかしなところがあるかもしれません。

 俺は適当に風呂場がある場所へと入って脱衣所で服を脱いで来たが風呂場からは一切人の声や気配はせず、温水が流れ出る音以外には何もなかった。


(かなり客はいたはずだが……)


 この旅館には俺が玄関先で会っただけの客でもかなり多くいたはずだがこの風呂場には誰も居なかった。


 俺は温水でいっぱいになり、温水が溢れている木でできた浴槽に近づいて浴槽へと入ろうとした時。


「まず先に体を洗った方が良いですよ」


 後ろから女性の声がした。

 振り向くと金色の髪の女性がシャワーを浴びようとしているところのようだった。


「それがここでの入り方か?」


「そうですよ」


「そうか、わかった」


 ほとんど無表情の女性の返事を聞いた俺は女性が座っている木でできた箱のような物が近くにあり、俺は女性と同じように箱に座ってシャワーを取り、温水を出して自分の体を洗い始めた。


 俺が体を洗い終わり、浴槽に入ろうとした時には女性はすでに浴槽に入っていた。

 俺は女性と同じ浴槽に入ると女性は無表情のままだったが俺の体を見てきた。


「体………綺麗ですね」


 女性は俺の体を見てそう言ったがどう返せばいいのか分からなかった俺は話題を変えた。


「……ここは男女問わず入れる場所なのか?」


「そうですね、混浴ですから」


「混浴?」


「ええ」


 どうやら俺が適当に入った風呂場は混浴できる風呂場だったらしく、それを聞いた俺は人が来ないことに納得した。


「それより……ナイフを持って何をする気なんですか?」


「……これは自分の身を守る為だ」


「………そうですか」


 ナイフは刃をしまった状態で手に持っていたが、この女性はこれが折りたたみのナイフだと知っているようだった。

 そのことが少し気になったが、こっちの世界にもあって不思議はないと思い、そのまま風呂に浸かった。


 そこからしばらく会話はなく、2人で湯に浸かっていた。


「………」


「………」


 お互いに一言も話さずに風呂場は入って来た時と同じようになっていた。

 そろそろ部屋へ戻ろうと思い、立ち上がると同時に女性も立ち上がり、お互いに顔を合わせたがすぐにお互いにほとんど同時に一緒に浴槽から出ると俺は風呂場から脱衣所へと出たが女性は浴槽から出るとシャワーを浴びて体を洗っていた。


 脱衣所で服を着て、部屋へと戻ると料理が運び込まれていた。

 見た目から高い料理だとわかるほど豪華な料理と一緒に置き手紙があった。


 手紙を手に取って見ると手紙にはソフィの名前があり、これを書いたのはソフィだということがわかった。


(今日はお疲れ様でした。明日も一緒に頑張りましょう……か)


 手紙を置き、料理を見ると自然と腹が鳴る。

 俺はすぐに座り、箸を持って料理に手をつけようとしたが扉を叩く音で手を止めた。


「ジョン?……居る?」


 声と喋り方からナディアだと思い、箸を置いてから扉へと近づき扉を開けた。


「ナディアか、どうかしたか?」


「ううん、ただ会いに来ただけ」


「そうか、用はないのか?」


「うん、じゃあ戻るよ……また明日、ジョン」


「ああ」


 ナディアを見送ると部屋へと戻った。

 ナディアを見送った後は料理を食べ、俺は空になった食器を持って厨房へと向かった。


 しかし、厨房には誰も居なかったため、食器を置くと部屋へ戻るために厨房から出た。

 厨房から出てきた時は廊下は明るかったが廊下を歩いていると突然薄暗くなった。


(確かこの時間は消灯時間と言っていたな…)


 従業員などと話をしている時に聞いた時間割を思い出しながら俺は薄暗い廊下を歩き続けた。

 廊下を歩き続けていると酔っ払ったような男が歩くたびに壁にぶつかりながらこちらに近付いて来た。

 俺はその横を通り抜けようと速く歩き、男の隣を過ぎたところで肩を掴まれて背中を何かで刺された。


「うぐっ!?」


「へへ……簡単に背後を取らせない方が良いぜ兄ちゃん」


 耳元で男が囁くように言い、背中に刺した刃物を引き抜くと再び数回俺の背中を刺した。


「ぐっ!!」


 刺された痛みで声を出しながら俺は地面に倒れた。

 刺されたところが熱く感じ、血で服が濡れていくことがわかった。


「へへ………新しいナイフはかなり切れ味がいいな、試し切りに付き合ってくれてありがとうな兄ちゃん」


 男は俺を突き放すと俺は地面に勢いよく倒れ、男が歩く音が遠ざかって行った。

 俺は震える腕で立ち上がり、近くの客の居る部屋で助けを求めようとしたがどの部屋も鍵がかかっており、自分の部屋まではまだ遠かった。

 動き回っている内に俺の体もほとんど動かなくなってきてしまい、俺は廊下で倒れた。

 そして這いずろうとするが力が入らず、俺は動けなくなった。


(……俺も死ぬ時が来たか………やっと……やっと終わるのか)


 俺は静かに目を閉じて昔の仲間たちとの思い出を思い出していた。

 刺された場所も感覚が麻痺してきたのか何も感じなくなっていた。


 微かに誰かが呼ぶ声を聞き取り、俺は目を開けたが意識が朦朧として、視界がぼやけ、金髪の長い髪ぐらいしかわからず、顔はわからなかったが俺の体を揺さぶっているのは風呂場で会ったあの女性だとわかった。


 女性は俺を背負うと何処かへと連れて行くようだったが俺は女性に運ばれている内に目を閉じてしまった。

読んでいただきありがとうございました。


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