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Unlucky  作者: 碧眼の黒猫
第三章 降りかかる災難
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初仕事前の準備

温泉宿などに行ったことがあるのは中学の修学旅行だけの筆者は何故温泉宿にしてしまったのかと思いながら書いています。

 建物の中へと入って行くと数人の従業員に出迎えられた。


「ようこそ王宮へお越しくださいました」


 1人の従業員が挨拶と共に頭を下げると他の従業員も同じように同時に頭を下げた。


「フレデリカの紹介で来ました」


「あ、もしかして新しい従業員に?」


「いえ、仮です」


「なるほど、バイトということですね。わかりました。それではこちらに来てください、作業用の服を着てもらいます」


 俺達は急ぎ足で歩いて行く従業員の後ろをついて行き、ロッカールームに案内された。


「それでは空いているロッカーから作業着を取り出して着替えてください、役割は女将が教えてくれると思いますからここで待っていてください」


 そう言い残すとすぐに従業員は戻って行った。


「凄く忙しそうですね」


「休む時間とかあるのかな…」


「2人共、早く着替えた方が良いぞ。あの様子だと女将と言う人が来るのに時間はかからないはずだ」


 俺はすぐにロッカーから服を取り出して着替えながら2人に着替えるように言う。


「た、確かに、急いで着替えましょう」


「えっ?あ、あの、ソフィさん?」


「エルマさん早く着替えましょう、ナディアさんももう着替え始めているんですから」


 俺は着替え終えるとおかしい所がないかロッカーの扉に付いている鏡で確認する。

 ナディアも着替え終えたようで鏡で確認している。


 2人の様子も見ようと思ったがまだ着替えているらしく、俺は2人が着替え終えるまでそのままロッカーを見続けていた。


「着替え終わりました!」


「そうか、急いで着替えたがおかしなところはないか?」


 ソフィ達に俺の着方が変ではないか聞くと俺の姿を3人はじっくりと見ていた。


(3人?…)


 その時、俺はブッチャーがいないことに気が付いた。

 恐らくまだ馬車の中で寝ているのだろう。


「大丈夫だと思います。変に感じるところはないです」


「そうか、ところでブッチャーを呼んでいなかった」


「あ、そういえば……私呼びに行ってきます」


「その必要はありませんよ」


 ソフィが扉から出ようとした時、ブッチャーを背負ったフリーゼが現れた。


「え?……貴女は?」


「ふふ、私はただの助っ人です。ブッチャーさんはまだ寝ていますから起こしてあげてください」


「わ、わかりました。起きてブッチャーちゃん」


「ふふ、それでは」


 フリーゼはそのまま部屋から出て行き、ブッチャーが目を覚ました。


「うぅん?ここ、どこ?」


「ブッチャーちゃん説明は後でするからまず着替えよう!エルマさん手伝ってください」


「わ、わかりました。じゃあジョンさん、あっち向いててください」


「ああ、わかった」


 俺は着替えている様子を見ないために今度は扉に近付いて扉の方を見て待つことになった。


(……部屋から出た方が良いのか?)


 そう思った俺は扉を開けて部屋から出ると廊下では忙しく小走りで何処かへ向かって行く数人の従業員の姿があった。

 それと行き違うようにして1人の女性がこちらに近付いてきた。

 女性は見た感じは若く見えるが頭から長く黒い角のようなものが出ていた。


「こんなところで何をしているのですか?」


「女性が着替えているから出てきただけだが…」


「そうですか……わかりました」


 その女性は俺の姿を舐めるようにして見ていた。


「貴方は…中々美形ですね」


「そうか?」


「ええ、少々彼女達には待ってもらうことになりますが…黙って私に付いていてください」


「……?ああ、わかった」


 俺は言われた通りに黙ってその女性について行った。



 一方、部屋の中で女将を待っているナディア達は…


「女将さん中々来ませんね…」


「女将さんですから、手が離せないのかもしれませんね」


「……まだ眠たい」


「駄目ですよブッチャーちゃん、ここで寝てしまうと迷惑になってしまいますから」


「ソフィさん、今なら多分誰も来ないでしょうから寝ても迷惑にはならないかと…」


「そ、そうでしょうか?」


 私は溜息をつき、ジョンさんがどこへ行ったのか心配をしていた。


「ソフィさん、またジョンさんのこと考えてるんですか?」


「へ?あ、え、えっと……はい」


「心配しなくても大丈夫ですよ、多分トイレにでも行ったんじゃないですか?」


「そうですね……それなら良いんですが…」


 エルマさんの言う通り、ただトイレに行っただけかもしれないけれど私は不安になっていた。

 私はまた溜息をつき、下を向いた。


 そこへ着物姿の女性と作業着を着た女性の人と一緒に部屋へ入ってきた。


「お待たせして申し訳ありません、皆さん、付いてきてください」


「あ、あの、金髪の男の人を見かけませんでしたか?」


 私は着物姿の女性にジョンさんの事を聞くと少し笑いながらその質問に答えてくれた。


「ふふ、その人なら目の前に居ますよ」


「えっ?」


 着物姿の女性が作業着姿の女性を見て答えたのを見て私は驚いていた。

 部屋に入ってきた時から女性だと思っていた作業着姿の人がジョンさんだった。




 角が生えている女性に付いて行くと化粧をするための部屋へと連れて行かれ、そこで女装をさせると言われた。

 何故かと聞くとこの宿では男はあまり良い対応をされないからだそうだ。


 本当かどうかは知らないが特に気にせず女性になりきるためにウィッグや化粧などをこの女性にしてもらい、ここに戻ってきた訳だがどうやらしっかり女性に見えているようだ。


「ほ、本当にジョンさん……ですか?」


「ああ、そうだ」


「う、嘘……凄く…綺麗…」


 エルマが口を半開きにしながら俺の顔を見つめていた。

 綺麗なのはこの女性の化粧が凄く上手いからだろう。


「ふふ、やっぱり人の驚いた顔は面白いわね……コホン、それでは付いてきてください」


 改めて付いてくるように言われた俺達は女性に付いて行く、途中でどうしてこの顔になったのかソフィ達に説明を求められた俺はソフィ達に説明した。


 ソフィ達に説明をした後、黙って女性の後を付いて行く途中で従業員や客に何度も見られたが気にせずに女性について行った。


「それでは、まずは自己紹介を…私はここで女将をさせてもらっているイチカと言います」


「私はソフィです。よろしくお願いします」


「私はエルマです。よろしくお願いします」


「私はナディア」


「俺は……名前はないがジョンと呼ばれている。こっちはブッチャーだ」


「よろしく!姉さん」


「なるほど、わかりました。それではソフィさんとエルマさんと……そうですね、貴方は名前がないと言いましたね?」


「ああ」


「では、ここではサヨと名乗ってください、ソフィさん達は無理に変えなくても大丈夫です」


「サヨか……わかった」


「それでは…ソフィさんとエルマさん、サヨさんの3人でお風呂場などの掃除をしてもらい、ナディアさんとブッチャーさんの2人は厨房で働いてもらいます」


 ソフィとエルマは返事をし、俺とナディアは頷いた。

 ブッチャーは眠そうに目をこすっていた。

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