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Unlucky  作者: 碧眼の黒猫
第三章 降りかかる災難
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霧に潜む、邪悪な影

 草が分かれているところを進んでいくと草が短くなっている場所に来た。

 そこには女性が仰向けになって倒れていた。


 どう見ても死んでおり、死んでから色々な動物に貪られたためか顔は原型をとどめていなかった。

 どうやら草が分かれていたのはこの女性が何かから逃げていたからだろう。


 しゃがんで女性の周りや服の汚れ具合などを見ると女性の足跡ともう一つ恐らく殺した奴の足跡があり、どうやら女性を殺したのは1人のようだ。

 服はそこまで日は経っていないようで切れている部分や土で汚れている部分もあるが綺麗なところが多くあった。


 女性の腹部が縦に切り裂かれていることを見るとどうやら刃物で殺されたようだ。


(殺した奴はどうやら動物とかじゃないようだな)


 俺は立ち上がり、霧で方向がわからなくなる前に馬車へ戻った。


 馬車に戻るとブッチャーも血抜きを終えたようで馬車に戻っていた。


「ジョンさん、やっと戻ってきましたか」


「ああ、すまない」


「何かあったんですか?」


「人の死体があった。誰かに殺されたらしい」


「え?ひ、人の…死体が…?」


「ああ、まだそこまで日が経っていなかった。恐らくまだ近くにいるかもしれない」


「そ、そんな……」


 まだ近くにいるかもしれないと言ったからかソフィは不安になっているようだった。


「あくまでもいるかもしれないだけだ。そんなに不安にならなくてもいい、だが警戒はしておくべきだろう」


「……わかりました」


「ジョン、相手は刃物だけ?」


「恐らくな、切り裂かれている以外で外傷はなかった」


「それなら…銃が圧倒的に有利だね」


「そうだな、場合によるがほとんどは銃の方が有利だろう」


「あれは…」


 ソフィ達と話していると外を見ていたエルマが何かを見て呟いた。


「エルマさん?……あ、あれは……煙?」


 外を見ると霧の中に黒煙が見え、どうやら村のようなところから出ているようだった。

 霧で分かりにくいが村の中には人が倒れているようで誰も動いてはいなかった。


「まさか……ジョンさんの言っていた人が…」


「……あの場所には足跡が女性のものと恐らく犯人の足跡が1人分しかなかった」


「そんな、こ、これを……1人で?」


 進んでる馬車の中から見ただけでは村のことがよくわからないがもし俺が見つけた足跡の奴が1人でひとつの村を潰したのなら厄介な相手だ。


 俺達は村が霧で見えなくなるまで見続けていた。

 その時俺は視線を感じたが霧で視線の感じる方は何も見えない、しかし霧で見えなくてもそこに何かがいると俺は感じ取っていた。

 背筋が凍るような感覚がし、まるで何かに狙われているような感覚だった。




 ジョン達を乗せた馬車がが通って行くのを霧の中で1人見続ける大男が居た。

 男は手に血まみれの包丁を持ち、パーカーに付いているフードを被り、赤いバンダナを鼻と口を隠すようにして巻いていた。

 微動だにせずにいた男はジョン達の馬車が見えなくなると再び動き出した。

 男は黙ったまま歩いて行き、霧の中へと消えていった。

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