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Unlucky  作者: 碧眼の黒猫
第二章 犯罪者の教え
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街で買い物

今回は比較的平和なお話です。

 二階に上がると3つの扉があった。

 1つだけ扉が少し開いているところがあった。

 部屋に近付き、扉を押して開けるとソフィが若い男に捕まり、ナイフを首に突き付けられていた。


「何をしている」


「か、金になるものを出せ……そうしないとこの女の命はないぞ…」


 震える声で男はそう言ったが、俺は男が人を殺せるような奴ではないと思った。

 そう思ったのは男は人にナイフを向けるのは初めてなのか、ナイフを持っていた手は震えていた。


「悪いが金になるものは持っていない」


「な、何かあるだろ!早く出せ!出さないなら……」


「出さないなら?殺すのか?」


「そ、そうだ。わかってるなら早く……」


「俺は本当に何も持っていない、そうだな、持っているのはナイフとこれだ」


 俺はポケットからナイフと銃を出した。


「そ、それは銃か?なんでそんな高価なものを……」


「高価なのか、ならこれを持っていけ、他には何もない」


 俺は銃に安全装置をかけて、男にゆっくり近付いて差し出した。

 男は何も話さないまま、銃を受け取るとソフィを突き飛ばすようにして離し、走って出て行った。

 転びそうになったソフィを支え、俺は部屋から出て行く男の背中を見送った。


「大丈夫か?」


「……ごめんなさい、また助けられてしまいましたね…」


「気にするな」


「でも……あれは高価な物なんですよね?」


「拾い物だ」


「そ、そうなんですか…」


「それより、あいつは知り合いか?」


「いいえ、多分……泥棒だと思います」


「盗みに入っただけか…」


 この世界でも生活が苦しい奴らはいるのだろう、俺も元の世界では金がなく、店や家に盗みに入ることが多かった。

 働くことも考えたことはあったが、働くよりも盗みをした方が食料や消耗品は無償で生活も電気やガスなどといった物を使わなければ金がなくても普通に生きていけた。

 今考えるとなぜずっと盗みを続けて、働くことを考えたのにしなかったのか疑問にも思うが過ぎたことは仕方ない。


 ソフィが落ち着くまで俺は彼女を近くにあったベットに座らせた。

 しばらくしてソフィは落ち着いたようで2人で二階から一階へ降りた。


「食べられないものとかありますか?」


「いや、特にないな」


「本当ですか?」


「ああ、とても口に入れられないような物じゃなければな」


「嫌いなものが無いのは凄いですね」


「……そうかもな」


 食べ物の中には苦手なものもあるが我慢して食べることが多い、俺は特に嫌いなものや食べられないものは無いが苦手なものはある。

 それは辛い食べ物でどうしても辛いものは見るだけで汗が出て食べるのに少しためらう食べ物だった。

 スラムの料理の得意な仲間にそれを相談すると慣れればいいと言われ、それからしばらくは辛い料理を作ってもらったが慣れることはなかった。


「朝食にはスープとお米と魚を焼いたものにしましょう」


「俺も手伝えるが……」


「大丈夫です。ここで座って待っててください」


「そうか」


 俺はソフィの言う通り、テーブル近くの椅子に座ってソフィが料理をしている姿を見ていた。

 昨日はソフィが料理ができないのだろうと思って簡単な料理を教えたのだが、勘違いだったようだ。

 しばらく待っているとソフィが焼いた魚とスープを持ってきた。


「サケの塩焼きと味噌汁です。お米はあと少し待ってください」


「そうか、食べるための道具はないのか?」


「お箸があります。ちょっと待ってください」


 ソフィは台所へ戻ると丁度米もできたらしく、皿に米を移していた。

 皿に米を移し終えると箸と一緒に持ってきた。


「お待たせしました。どうぞ」


「ありがとう、いただく」


 俺はソフィから箸を受け取り、右手で箸を持ってから左手で皿を持って食べ始める。

 これは日本の食べ方らしく、日本好きの奴に教えてもらった食べ方だ。

 箸を持つ時以外この食べ方はしないが箸を持つと自然とこの食べ方をするようになっていた。


「いただきます」


「?」


 ソフィは手を合わせてからその言葉を言い、箸を持って食べ始めた。

 忘れていたが確かあれも日本のやり方らしく、日本好きの奴は食事の前に食材に対して感謝をしてから食べるのが日本でのやり方だと言っていた。


 俺は懐かしい思い出を思い出しながら無言で料理を食べた。

 料理を食べ終えるとソフィが食器を台所へと運び食器を洗う。

 俺は手伝うか聞いてみたが断られたため、ただ座って見ているだけだったが、ソフィが何かを持ってきた。


「ジョンさん。もし退屈でしたらこれを読んで待っていてください」


 ソフィが持ってきたのは新聞らしく、ここ最近のできごとが書かれた折り畳まれた紙だった。

 新聞には最近の戦争の状況や国の状況が大きく書かれ、他のことは小さく書かれていた。

 その中の1つに気になるものがあった。


(1つの街が1人の人間によって滅ぼされ、その人間は今も国の中におり、未だに捕まっていない)


 どうやら1人の人間が街を滅ぼしたらしい、信じられないがもしこれが本当なら俺も気をつけなくてはならない。


「ジョンさん?」


 ソフィに呼ばれ、顔を上げる。


「お買い物に付き合ってくれませんか?」


「買い物?」


「はい、洗濯物もすぐには乾きませんから」


「そうか、わかった」


 俺はソフィと一緒に街へ買い物に行くことになった。

 街は人が多く行き交っており、昨日と同じくらいの人で賑わっていた。


「まずはお昼のための食材を買います。その後少し見て行きたいお店があるのでそこに行って戻りましょう」


「わかった」


 俺はソフィの荷物持ちをしながら大体のこの世界の金の価値を覚えた。

 どうやらこの世界も元の世界と同じで紙幣と硬貨があり、銅貨と銀貨は紙幣より下の金額で金貨は紙幣よりも高い扱いのようだ。

 ソフィは買い物を終えたらしく、次は見て行きたいと言っていた店に立ち寄った。


「ここは……」


「ここのお肉は良いお肉だって聞いていて、どんなお肉を売っているのか見てみたかったんです」


 店内に入っていくと豚肉、鶏肉、牛肉、羊肉と様々な肉を売っている店だった。

 肉を売っているだけじゃなく、テーブルがあり、客が焼いた肉を食べているところを見ると注文して食べることもできるようだ。


「おや、初めて見る顔だね」


「はい、ここのお肉美味しいって聞いていたので気になって見に来ました」


「そうかい、嬉しいね。まあ見て行ってよ」


 店主は笑顔で俺とソフィを迎えた。


「ここのおすすめのお肉とかはなんですか?」


「そうだね。今はまだ昼時だからまだ出せないけど夜なら良い肉があるんだ。今丁度焼いて試食に出してたから食べてみると良いよ」


 店主は焼いた肉を細かく切って皿に乗せて出した。

 その肉を食べてみたが知らない肉の味だった。


「どうかな?」


「美味しいですね。夜にしか売っていないんですか?」


「そうなんだよ、この肉は貴重だから本当はあんまり売りたくないんだけど欲しいって言う人が多くてね」


「なるほど、わかりました。じゃあまた夜に来てみますね」


「おや、もう帰るのかい?じゃあこれ持っていきなよ」


 店主が袋に詰めて渡したのは牛肉だった。


「良いですよ!このお肉高いんじゃないですか?」


「はは、初めて来てくれたお客さんにはサービスで渡してるんだよ。気にせず受け取って」


「そうなんですか、ありがとうございます」


 ソフィは肉の入った袋を受け取ると礼を言って、俺とソフィは店を出た。


「また夜に来ましょうか」


「そうだな」


 正直あの肉の正体が気になるので夜にまたソフィについて行くことにした。

肉と言ったら何が1番美味しいのか……。

ちなみに自分は牛の肉が好きです。

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