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Unlucky  作者: 碧眼の黒猫
最終章 動き出す者達
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Unlucky計画

 私はナタリアを連れて誰も居ない倉庫になっている部屋へ連れ込み、近くにあった椅子の埃を払ってナタリアの手を引いて椅子の近くまで来させ、肩に手を置いてゆっくりと座らせた。


「ボス、何かお話があるんですか?」


「ああ、ジョンのことだが……ナタリア、お前に任せようと思っているんだ」


「私に?」


「ああ、お前が使っている寮にジョンを住ませる。他には誰も寮に入れないようにミラーシャに言ってある。あの寮に住んでいるのはナタリアだけ、生活に必要な物や設備も揃っていて、知られてはいけない秘密を守るにもあの寮は良い場所だからな」


「……わかりました。ボスがそう言うのでしたら……従います」


 ナタリアは私の目を見て答え、私の頼みを聞いてくれるようだ。

 私はその様子に笑みを浮かべ、葉巻を取り出してライターで葉巻に火をつける。


「………ジョンのこと、好きなんだな」


「へ?……えっ、いや…………」


「隠さなくたっていい、嘘は嫌いだろう?」


「うっ……………確かに、ジョンのことは……す、好き…………と言うか…………」


「全く、正直じゃないな。私にも話せないほど好きになったのか………」


「だ、だって……あんなに綺麗な男の人が居るなんて………それに、ボスによく似ていて………私の好みに全部当てはまる人間が居るなんて……」


 相当、ジョンに惚れ込んでいるらしく、彼女の目を見ていればどれだけジョンに惚れ込んでいるのかが良くわかるほどだった。

 ソフィやエリカとは違い、ナタリアはジョンに恋をしている。

 そして、それはジョンも同じこと、本人は自分の心には鈍感な為、今は気付いていないが、一緒に住むようになれば、嫌でも気が付くことになるだろう。


「ナタリア、諦めるなよ。攻めて攻めて、攻め落とせ、何があっても諦めるな」


「は、はい!ボスに言われたら、なんだができるような気がしてきました!」


 ナタリアは立ち上がると顔を両手で叩き、表情を赤くなっていた顔から真剣な表情に変えて部屋から出ていった。


「……フフ、相変わらずだな。私はそのすぐに切り替えるところが好きだよ。ナタリア」


「一人で告白の練習か?」


 薄暗い部屋の中でヴォロスの声が聞こえ、私はナタリアが座っていた椅子に座って、葉巻を吸い、口の中に溜めた煙を外へ吐き出す。


「ああ、私も家庭を持とうかと思ってな。お前も私の妻になるか?」


「フフ、面白いことを言う。それも良いが、我は妻ではなく、夫が良いな」


「ああ、それならこのまま親友として一緒にいた方がマシだな。その方が、お互いにいい関係を保てそうだ」


「そうか?……我は夫になるなら、構わんぞ?」


 ヴォロスは目の前に歩いてくると私の顎を持ち、私の顎を上げさせるとお互いに目を合わせた。

 私は笑って、ヴォロスの手を退けて立ち上がった。


「全てが終わったら、考えよう。本格的に動き出す時が来た。これまでの経験を生かし、準備を進めてきた計画を始め、この世界に必要の無い影響を与える転生者達を一人残らず、この世界から消えてもらうとしよう」


「ありのままの世界に戻す計画、この歪みきった世界を元に……とまでは行かずとも、あるべき姿に戻すお前の計画。Unlucky計画か」


「ああ、ここからだ。奴等に、この世界に来たのは運が悪かったと思わせてやろう」


 私は再び葉巻を吸い、煙を吐き出す。

 部屋の中に葉巻の煙が消えていき、匂いだけが部屋に残った。

 Unlucky計画、この世界を変えてしまった銃を持ち込もうとする転生者達を一人残らず消し、この世界を再び剣と魔法が主の世界に戻す計画。


 この世界に銃が現れてから人々は争うようになり、魔物達は頭を使わなければ人類に勝てなくなってしまった。

 その為に、エルフやヴァンパイア等の知能を持つ生物は、人間と関わらないか、利用するようになった。


 前者は平和の為に、後者は人類を滅ぼして種族の平穏を手に入れるために、今やこの世界は平和を求め、平和を望むがゆえに争いが起こっている。

 その争いは止まることなく、時代が進んでいくに連れて激しさを増していき、人類は他の種族を支配することに成功し、それは魔王すら支配するほどだった。


 有り余る力を手にした人類、こんな世界にした転生者達には、この罪を償ってもらうとしよう。

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