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Unlucky  作者: 碧眼の黒猫
第十一章 たった一人の救出隊
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ソフィ対戦車

 私は戦車を排除するため、城の中へ案内してもらっている時に偶然、箱の中身を確認しながらトラックへ積んでいる人達を見かけ、箱の中身がM24手榴弾だと知っていた私はトラックの荷台から12本を収納空間も使って持ち出した。


 右目が見えないけれど、まだ左目が見える。

 なにも見えない訳じゃないなら戦える。

 私は戦車の背面を取るために姿勢を低くしながらトラックの影から瓦礫へと移り、様子を見て次の瓦礫へと移動して戦車の背面を狙う。

 戦車の側面に来ると戦車の後ろにはレジスタンスの人達ではなく、恐らくあの少年の仲間の人達が6人ほど戦車の後に続いていた。


 よく見てみると戦車の後ろにいる人達の中にはレジスタンスの方は一人もおらず、防寒着を着た少年の仲間の人達だけで構成されていた。

 そして、彼らが通ってきた道にはレジスタンスの人達が横たわっていた。

 様子を見ていると横たわっていた内の一人がふらつきながら立ち上がるのが見えた。


 そして、その立ち上がった人に気付いた彼らはその人へ銃を向けると躊躇いもせずに撃ち始めた。

 撃たれた人は身体中を血だらけにして倒れると、微動だにしなくなってしまった。

 突然、目の前で起こったことに驚き、私は顔を瓦礫の影から出してしまった。


「生き残りがいるぞ!!」


 顔を出してしまったことで気付かれてしまい、彼らは銃を向けるとすぐに撃ってきた。

 彼らの行動からして本気で殺そうとしてきていると感じ、私は気を引き締めた。


 収納空間から手榴弾を取り出して瓦礫の影から3本の手榴弾を投げ、爆発するまで瓦礫に身を隠す。

 手榴弾が爆発して雪が舞い上がったところへ全力で走って戦車へ向かい、走りながら手榴弾を2本取り出して彼らの近くへ手榴弾を投げた。


「手榴弾だ!!」


 予想通り彼らは地面へ伏せて爆発から身を守る行動をとった。

 しかし、投げた手榴弾が爆発することはない、爆発させるためには柄のキャップを外して中の紐を引き抜かなければ爆発はしない、だから私はキャップを外さずに爆発しない状態で手榴弾を投げた。


 騙せるのは一瞬、この隙に戦車へ近付けた私は砲塔の上にあるカメラに向けて手榴弾を投げ、光の輪で束ねた3本の手榴弾を履帯へ投げるとカメラに投げた手榴弾が爆発し、私は爆発してカメラが壊れたことを横目に見ながら砲身の下を姿勢を低くしてくぐり、反対側へ回り込んだ。


 反対側へ回り込むと戦車に身を隠していた男性が私に気が付き、驚いた表情をしながらも銃を向けようとしていた。

 私は男性との距離を詰め、爆発音が聞こえると同時に向けようとしていたAK-12を体を銃の方へと向けて右手で掴み、左手のひらで横から顎を殴ってよろけた隙に一歩後ろへ下がって体を相手と向き合わせて銃を引き、相手が姿勢を崩して前へと来た。


 銃から手を離して男性の右手首を左手で掴み、相手の左脇へ右手を入れて相手へ背中を向け、足を横へ出して少し腰を落とし、相手の右腕が自分のお腹に着くまで引き、右手で相手の左脇を下から持ち上げて相手の前へと来る勢いを利用して前へと投げ飛ばした。


 投げ飛ばした男性は横向きに倒れ、私は彼の腕を離して銃を拾い上げ、私を狙っている人達を優先して肩や足を狙って引き金を引いた。

 肩や足を撃たれた人達は雪の上に倒れていき、撃たれた人の後ろの雪が飛び散った血で赤くなっていた。


 銃の弾が切れ、周りを見渡していると戦車のハッチが開き、砲塔の中から男性が出てきた。

 私は戦車の上へ上り、私が上ってくることに気付いた男性は左脇のホルスターから拳銃を抜こうとしていたが、私が銃を投げると両手で顔を守った為、私は彼に手が届く距離まで近付けた。


「くっ……!この!」


 男性が銃を向けようとする前に男性の手から銃を奪い、私は銃を彼の額に突き付けた。


「諦めてください、もう仲間は……」


 私が降伏するように説得しようとしているとヘリの音が聞え、後ろを振り向くとハインドがこっちへ向かってくるのが見えた。

 ハインドがロケット斉射をし始め、私は戦車の中へと男性を押し込み、戦車の中へと避難した。


 爆発音が外から聞え、戦車が激しく揺れた。

 ハインドDに見えたヘリが通りすぎたのか爆発音と揺れが収まり、私は無線機でクラーラさんに連絡した。


「クラーラさん、今上空を通り過ぎたのはクラーラさんですか?」


『私はまだ着きそうにないよ。何かあった?』


「ハインドに攻撃されました。クラーラさんがそんなことする人ではないと思っていましたが、それを聞いて安心しました」


『もしかしてレジスタンスとかと戦ってるの?映像がないからわからないんだ』


「はい、転生者さんの仲間の方達と戦っているのですが………あ、今話していられる状況ではなさそうです……」


『えっ?なんで?』


 私は狭い戦車の中で砲手の若い男性に銃を向けられていた。

 私は横にいる車長の男性に銃を向けて彼が簡単には引き金を引けないようにしていた。


「さっきの攻撃、あんたの仲間か?」


「いいえ、違います。攻撃してきたのは貴方達の仲間の方のようです。仲間がいるのにロケット斉射をしてくるなんてどうかしていますよ」


 砲手の男性の問いかけに首を横に振った後に目を合わせて答えると男性は目を泳がせた。


「やっぱり……クラーガが言っていたことは本当だったのか……」


「おと……クラーガさんが言っていたこと?その話、聞かせてもらえますか?」


 私は銃を車長さんから離してマガジンを外へ出してスライドを引き、銃を撃てない状態にして車長さんに渡すと、男性は銃をホルスターへしまった。


「上で飛んでいるのは恐らく、カズトの信頼している女性、ジェシーだろう。彼女を見たクラーガは俺達に彼女は「殺戮を楽しむクソビッチ」だと言ってきた。最初は信じなかった。彼女は優しいし、殺戮を楽しむなんてことはしない、むしろその逆、人の死を心から悲しむ女性だと思っていたからだ」


「そんな女性がこんなことをするとは思えませんね」


「ああ、全くその通りだ。どうやら、あんたが戦車の中に入ってくるのは予想外だったんだろうな。あんたが一人で逃げていたら運転席の奴を残して俺達は死んでいた」


「なるほど……ハッチを開けているのが見えたからロケット弾で……」


「あのヘリのロケット弾には着弾した場所一帯を燃やすための燃料が弾頭に入っているんだ。火炎瓶と同じようなものだ」


 つまり、戦車の中にいる人達も周りにいた人達も確実に殺す気でロケット弾を斉射してきたことになる。

 その話を聞いた私は外で足を撃って逃げられないようさせてしまったことを後悔した。

 私のせいで外にいた人達はきっと焼け死んでしまったことだろう。


「………許せません、仲間を巻き込むとわかっててそんなことをするなんて……」


 私は立ち上がって戦車のハッチを開けて外へと出た。

 戦車の外へ出ると周りが燃え盛っており、雪で白くなっていたはずの地面は黒くなって、その中には私の思った通り黒くなった死体が倒れていた。


「おい!熱っ……!まだ外に出ない方がいい!死ぬぞ!」


 男性の制止の言葉を聞かずに私は戦車のハッチを閉じ、燃え盛る地面に下りた。

 着ていた防寒着が燃えて焼け落ち、私はスーツだけの姿になった。


「こんなことをする人は許しません……」


 私は戦車から離れて2人の無事の確認と、武器の調達をするために2人のもとへと向かった。

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