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Unlucky  作者: 碧眼の黒猫
第十一章 たった一人の救出隊
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和解

 立ち上がろうとしている女性に近付いていくと女性が落ちていたナイフを拾い、再び襲いかかってきた。

 一歩横へずれて振られたナイフを避け、続けて横へ振られたナイフをまた一歩後ろへ下がって避けると、彼女はナイフを振ることを止めた。


「一体何者……?その動き、只者じゃないよね?」


「ただの一般人ですよ」


「一般人がこんなところに来るわけないでしょっ!」


 彼女は強く地面を蹴ると一気に距離を詰めてきた。


「焦りすぎですよ」


 一言彼女に言うと、彼女はナイフを斜め上から振り下ろそうとしていた。

 彼女の右手首を左手で抑え、腰を落としながらそのまま右手首を掴んで右腕で彼女の左腕を持ち上げ、彼女に背を向けて彼女の腕を前へ強く引っ張ると、彼女は私の背中の上に持ち上げられ、私の前に背中から落ちた。


「もっと隙を無くした方がいいです。それでは相手に反撃されてしまいます」


「くっ……離して!」


 彼女の言う通りに腕を離して後ろへ下がると、彼女は立ち上がってナイフを構えた。


「………やりずらい、なんだか……優しい感じがして……いやいや、駄目駄目。油断しちゃ駄目……」


 独り言を言う彼女は私と目を合わせると顔を伏せて目を閉じながら突撃してきた。

 私は少し横へずれて突撃してきた彼女の顎を左手で持ち、彼女がお尻を強く打たないように体に右腕を回してゆっくりとしゃがみ、右手を彼女の右腕に移動させて力を入れられないように顎を持ち上げた。


「今から質問します。なので、答えてくれませんか?」


「わ、わかった……。わかったから強く顎を持ち上げないで……喋りにくい……」


 私は左手を顎から離して左腕を彼女の首に回した。

 首に腕を回すと彼女が腕を強く掴んできたため、心配になった私は少し腕の力を弱めた。


「苦しくありませんか?」


「……少し、苦しいけど……喋れる……。な、なんでそんなこと聞くの?」


「何で?………えぇっと……何ででしょうね?」


「え?……理由もなく、そんなこと聞いたの?」


 彼女に言われてから気が付いたが、確かに何故か彼女は放っておけないような、母性本能をくすぐると言うのか、とにかく何故か心配になってしまい、無意識にそんなことを聞いていた。


「理由ですか………放っておけないような感じがするから…ですね」


「私のこと、子供っぽいとでも?」


 不満そうな横顔に私は思わず苦笑してしまい、それをみた彼女は顔を前に向けると深く息を吐き出すと、私の左腕から手を離した。


「なんだか調子が狂うよ……。貴女を見てたら、お母さんを思い出した」


「お母さんを?」


「うん、私のお母さん……心配性でさ。レジスタンスに入ったのも、お母さんが安心して暮らせるような国にしてあげたいなって思ったからなんだ……。お母さん、何かあるとすぐにこう……こんな感じじゃないけど、私に抱き付いてくるんだ」


 彼女は前を向いたまま、彼女は母親のことを話してくれた。

 私のお母さんも優しかったことを思い出し、私が小さかった頃に家族みんなで笑い合っていた日々を思い出した。


「優しそうなお母さんですね」


「優しいよ。……貴女も、お母さんと同じくらい優しい感じがする」


「優しい……貴女の首を絞めているのに、その言葉は間違っていると思いますよ」


「本当に?……これ、あんまり苦しくないし、首を絞められてるって感じしないよ?」


「むぅ……じゃあ、こうします」


 私は彼女の首から腕を離して立ち上がり、彼女の前で雪が降り積もった地面に座った。


「相手に恐怖を与えられないのなら、首を絞めていても仕方がないですし、貴女は不意討ちをするような人ではなさそうですから。お話をして、情報を聞き出すことにします」


「本当にそれで私が情報を言うと思う?」


「じゃあ、お互いのことを話しましょう。家族のことでも、好きなもの、今食べたいものでも何でも」


「は、はぁ……?私、貴女がなに考えてるのかわからないよ……」


 そう呟いた彼女と私はお互いのことを話し合い、私の目的とは関係のない話が続いた。

 でも、こうして話すことで分かり合えることはとても重要なことだと私は思う。

 敵に情けをかければいつか取り返しのつかないことになるとジェーンさんは言っていた。

 でも、それは違うのではないかと私は思う。

 相手が人であるのなら、話をして分かり合うことができるはず、今の彼女と私のように。


「へ~、ソフィってフリーダム王国の出身なんだ。実はね、私もあの国で産まれで、5歳くらいまではあの国に居たんだよ」


「そうなんですか?じゃあ、王様のパレードの時だけに出てくる丸焼きにした鳥のお肉を売ってくれる屋台はご存知ですか?」


「あー!知ってる知ってる!すごく美味しいんだよね~。あぁ、思い出したら食べたくなってきちゃったよ。今もやってるのかな?」


「あぁ……ええっと……もう、やっていないと思います……」


 私はなにも知らずに聞いてくる彼女に暗い顔を見せまいと顔を横に向けたが、彼女は私の近くに寄ってくると顔を覗き込んできた。


「大丈夫?」


「え、ええ、大丈夫ですよ。えっと……あの………」


「ごめん、嫌なこと聞いちゃったかな?」


 彼女の心配している顔に私は笑顔を作った。


「ソフィ?」


「大丈夫です。そういえば、私の名前は言いましたけど、貴女の名前を聞いていませんでしたね」


 私は話をそらすように話題を変えると、彼女は笑って手を出した。


「私はヴァレリア、皆からはリアって呼ばれてるよ。よろしく」


「よろしくお願いします。リアさん」


 私は彼女の手を握り、握手を交わした。


「ソフィ、リアって呼び捨てで良いよ。その呼び方だと違和感を感じるからさ」


「そうですか?……わかりました。リア、よろしくお願いします」


「うん、よろしくソフィ」


 握手をしながらお互いに顔を合わせると、私達は自然と笑顔になった。

 私はリアの話を聞いて、何処にジョンさん達が連れていかれたのかを聞いた。


「地下ですか……。忍び込めると良いんですが……」


「大丈夫、私に考えがあるんだ。ついてきて」


「あ、あの……お仲間は……」


「私が後で起こして上手く誤魔化しておくよ」


 私は彼女に手を引かれ、警備をしている人達を避けて城内へと入っていき、私は着替えが置いてある女性以外立ち入り禁止の部屋に連れてこられた。


「はいこれ、私達が着てる防寒着だよ。ソフィ、その格好でも寒くないってさっき言ってたけど、本当に寒くないの?」


「ええ、このスーツ凄いですから」


「それを作った人は頭良さそうだね。でも、ここじゃこの服装の方が他の人を誤魔化すことができるだろうから、これを着ていた方が動きやすいはずだよ。でも、地下は確かリーダーと転生者のカズ、カズの仲間の人達しか入れないようになってるはず」


 彼女の話では、ジョンさんが侵入したことで警備が強化されているそうなのだが、亡くなってしまった方が多く、治療の為に人員が割かれ、今は人手不足なんだとか。


「わかりました。リア、協力してくれてありがとうございます」


「友達の為だからね。必ず彼氏を助けてあげて」


「か、彼氏?……そ、そんな関係じゃないです!」


「本当かな~?話を聞くかぎり、ソフィその人に夢中になってるみたいだし、彼氏で良いんじゃないの?」


 笑顔でそう聞いてくる彼女は私は首を横に振ったり、両手を振ってまだそういうような関係ではないことを伝えようとした。


「ち、違います!確かにジョンさんのことは好きですが……違うんです!」


「また今度聞かせてもらうよ。頑張ってねソフィ」


「えっ!ま、待ってリア……」


 彼女は扉から出ていってしまい、私は部屋に一人取り残されてしまった。

 彼女の誤解は後で解こうと思いながら、私は渡された防寒着をスーツの上に着た。

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