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Unlucky  作者: 碧眼の黒猫
序章 犯罪者、異世界へ
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上手くいかない日常

初投稿です。

言葉足らずな所や間違いなどがあるかもしれませんがよろしくお願いします。

 殺人鬼とはなんだろうかと最近になって考え始めた。

 何人かは分からないが多くの人を殺した奴は殺人鬼と言われるようになるようだ。


 新聞の記事を見ると殺人鬼の動機は色々あるようで、人を殺したいと思ったから、人の肉の味が好きだったから、周りの奴らが自分のことを見下していると思っていたからなど様々だ。


 それを見た俺は自分が人を殺した時の理由を思い出して考えてみると仕事中に問題が起きて自分の身を守るためだったと思った。

 俺は捕まり、処刑されることを恐れている。

 つまりは死を恐れて殺すのだから俺もその殺人鬼達と変わらないような気がした。


 毎日毎日罪を重ね続けている俺は捕まれば確実に死刑だろう、俺は1人だ。

 仲間はいない、だから捕まりそうになったら相手を殺すぐらいしか思いつかなかった。

 最初は仲間を集めればいいと思ったが、どうも最近は指名手配にされたからか裏切られることが多くなった。

 だから俺はまた独りで仕事をするようにした。


 だが今日はスラムでしつこく仕事仲間になってほしいと言う奴の誘いに仕方なく乗った。

 少しばかり問題は起きたが今日は人を殺さずに1日を過ぎるかもしれないと思ったがそうはならなかった。

 

「……結局、人を殺すことになるか」


 そう呟きながら愛用の折りたたみのナイフに着いた血を袖で拭いポケットにしまった、足元には7人の「仕事仲間だった」奴らの死体が転がっている。

 死体になった仲間を避けながら食料の入った袋を死んだ奴の分も持ってその場を立ち去る。

 今日は死体になった奴らの分があるお陰で大量に食料がある、これでしばらくは食っていけるだろう。

 静かになった夜の街の裏路地を進み、俺が住んでいるスラムに着くまでの間、さっき起こったことを思い出しながら歩いた。


「まったく散々な目にあったな。ハハ…、だけどサツに捕まるような俺じゃないぜ」


「あのな、あと少しで捕まったかもしれねぇのによくそんなことが言えるなお前……」


「…ふう、こんなことになるなら他の奴らとやった方が良かったぜ」


「ああ!?なんだとテメェ!?、俺のお陰でそんなに食い物があるのに感謝もしねぇのかよ!」


「感謝も何もあと少しで警察に捕まるところだったんだ。それに大体お前のせいじゃねぇか」


「俺は取れた食料が少ないし、どこかのバカを助けるために動いたから余計疲れた」


 俺と仕事仲間の名前も知らない奴らが裏路地をゆっくり歩きながらそんな言い争いをし始める。

 俺だけじゃなく、他の連中も同じでお互いの名前を知らない。

 こいつらが騒いでいるのはさっき店で強盗をした後に警察に捕まりそうになった時のことを言い争っていた。

 

「あの時もしこいつが助けてくれなかったら、俺は今頃サツに連れて行かれたかもしんねぇな、ありがとよ」


「……気にするな」


「悪い、俺の分が少ないんだ。誰か分けてくれないか?」


「そんなのお前が悪いんじゃねぇのか?」


「ああそうだな、俺が悪いな、店員に見つかるようなバカを助けに行かなけりゃもっと食料があっただろうに」


「それは……その……悪かったよ…」


「そういえば、どうして俺の取った食料よりお前の方が多いんだ?」


「そりゃあ必死こいて適当に取って袋に詰めてたからな、だからこんなに……あ」


 1人の仲間が袋の中を見て顔を青くした。


「おっと、どうした?顔を青くして。確か俺の記憶だとお前が見つかって捕まりそうになってたのは調味料とかが置いてあるところだった気がするんだが、まさか調味料を必死こいて袋に詰め込んでたのか?ん?」


「ま、まぁ俺がそんなヘマするわけないぜ……ハ…ハハ……」


「じゃあ何処か人がいない場所で少し分けてやるよ、スラムまでまだあるし忘れる前に渡す」


「なぁちょっとだけ、ちょっとだけで良いから俺にも分けてくれねぇか?」


「悪いな、俺の食料がもっとあれば渡せたんだが」


「た、頼むよマジで!、調味料とミートソースだけで生きるなんて無理に決まってるだろ!?な!?」


「お前が悪いんじゃないか、って調味料と一緒に置いてあったのかミートソース」


「え?いや、逃げる時にたまたま目に入ったから全部貰った、それに好きだしミートソース」


 断られた仲間はこっち向いた。

 どうやら俺に食料を渡して欲しいらしいが、生憎俺は渡す気はない。


「……俺は渡すつもりはない」


 渡すつもりが無い俺はこっちを見てくる仲間にそう言った。


「俺もだ。感謝しろだのなんだの言う奴にくれてやるもんはねぇ」


「俺は逆に欲しいんだがな…」


「仕方ねぇ……!とっておきのミートソースだ!交換してくれ!」


「冗談はよせ」


「うぅ……こんなのあんまりだぜ、それにしても他の連中は何処行きやがった?店員に見つかるし、サツも来てこっちは散々だったのによぉ」


「さぁな、もしかしたら俺たちの食料を狙って隠れるのかもしれないな?」


「もしそうだったら返り討ちにしてやるさ」


 俺は連中の後ろを歩き、時々会話に参加しながら会話を聞いていた。

 元々は俺を含めて8人だったが、見張りの奴らと中に入る奴で分かれていたのだが、中に入った奴の1人が店員に見つかり、騒ぎが起きたため慌てて撤収することになった。

 外に出た時には、もう見張りの奴らは一人も居なくなっており、パトカーから降りてきた警官に銃を向けられたらしい。


「まさかサツに捕まる覚悟をする日がくるなんて思わなかったな」


「あぁ、どうなるかと思ったがなんとかなったな」

 

「あそこで爆竹を使うなんて、頭良いんだなお前」


「………」


「なんだ無視かよ?褒めたやったのに…」


 警官に捕まりそうになった4人を助けたのは食料を回収し終わって反対の出入り口から出てきた俺だった。

 警官が少なかったこともあって、4人に注目している間に店にあった爆竹を使って警官の視線を引いた瞬間に4人が飛びかかり、警官の持っていた手錠で手を拘束した。


「さて、ここら辺で渡してやるよ」


「……やめた方が良いんじゃないか?」


「どうしてだ?」


「……誰かの視線を感じるからだ」


「周りには誰も居なさそうだが?」


「……信じないならそれでいい、視線を感じたから言っただけだ」


 俺は裏路地に入ってから感じている視線と殺気を仕事仲間の1人に伝えた。


「わかった、だが交換はさせてくれ、俺は忘れっぽいし言ったことは守りたいからな」


 そう言うと裏路地から出て誰もいない公園で食料の分け合いが始まった。


「お前らは見張っててくれ、すぐ終わる」


「あぁ、わかった」


「お前ってなんで喋り出すの遅いんだ?」


「……できれば話したくないからだ」


 そうなのかと男は言って、俺に気を使ったのか交換してる奴らに話しかけた。


「なぁ、缶詰めか何かくれないか?」


「ん?あぁ、キャンディぐらいならくれてやるよ」


「えぇ!?、キャンディ以外に何かくれよ!」


「駄目だ。お前のせいであんな騒ぎになったんだ。キャンディ貰えるだけありがたく思え」


「クッソ…分かったよ…」


「ほらよ」


「あーあ、あそこで見つかってなけりゃ……」


 仲間がキャンディを渡した瞬間、銃声が響いた。

 そしてキャンディを貰った仲間が倒れ、頭から血を流していた。


「なんだ!?何処からだ!?」


 銃声がした方向を見ると、いつのまにか見張りだった仲間の3人が拳銃を構えて公園の入り口に立っていた。


「その男がうるさくて助かったわ、おかげで見失わずに済んだ」


「お前ら、やっぱり逃げてなかったみたいだな…」


 俺の後ろの男が女達に言った。


「えぇ、貴方達がサツに捕まりそうになった時には思わずサツを撃ち殺そうかと思ったけど、そうする必要がなくなって安心したわ」


「そいつら食料で釣ったのか?」


「いいえ、私達は元から仲間なの。貴方達みたいに知らない連中と組む馬鹿じゃないのよ」


「まぁ、俺だって知らない奴らと組むことは無いんだが、こいつは仲間が居なかったみたいだからな」


「なるほど、そいつのこと可哀想に思って仕事を手伝ってあげたってわけね。でももう死んだ奴の話をしても仕方ない、その食料を渡して貰うわ」


「嫌だと言ったら?」


「殺す」


「おいおい即答かよ。わかった、くれてやるよ」


「賢い判断ね」


 真ん中の女がそう言うと仲間と共に銃を構えたまま、ゆっくり近付いてきた。

 

「一歩でも動けば命はない」


 真ん中の女がそう言って脅し、女の仲間が食料の入った袋を掴もうと手を出した瞬間、俺の横の男がポケットからナイフを取り出して、それを見た俺も後ろにいた奴らもナイフを取り出す。


「くっ!」


 袋を掴もうとしていた女が銃を俺の左に居る男に向けて3回ほど撃った。

  弾が男の胸に当たって血が飛び散り、男は後ろに倒れた。


「死にやがれ!」


 その隙にその後ろの男が女に近付き銃を持っている腕を掴み、そのまま腹を滅多刺しにした。


「…あぁ!!……あぁ……ぁ……」


「マリア!!このクソ野郎!!」


 それを見た真ん中の女がそいつに向けて3回銃を撃つと男は肩に1発受け、胸2発受けてその場に倒れた。


「警告を無視するから…!!」


 前に居た女は俺に向けて銃を撃ってきたがその弾は俺の右頬近くを通っていった。

 次を撃たれる前に女に近付き、まずは銃を叩き落とした後、腹を刺してから肩を掴んで押し倒し、ナイフを逆手に持って首を刺した。

 首を刺したため口から血を吐き出し、俺の顔に女が吹いた血が付いた。


「ローズ!!」


「ポケットから手を出すように言っておくべきだったな!」


「うるさいっ!!」


 俺の後ろにいた奴は真ん中の女のすぐ近くまで来ていたが女が構え直す方が速く、胸を撃たれた。


「うっ!…クッソ……」


「さっさと死になさいよ!!」


 だが、男は立ち止まらずそのまま女に向かって行き、腹に何発も至近距離で撃たれながらも女と取っ組み合いになって倒れ、必死に刺そうとしていたが持っていたナイフを女に奪われ胸を刺された。


「あぁ……ちく……しょう……」


「ハァ…ハァ……よくも……」


 女が銃をこちらに構えようとしたのを見た俺は殺した女の銃を拾い、数回撃った。

 静かな風の音が聞こえるほど周りが静かになった。

 女は地面に膝を付き、銃を落とした。

 

「…あ…あぁ……そんな……まだ……死にたく……ない……」


 女はゆっくりと地面に倒れ、静かになった公園で俺の周りには血溜まりと仲間の死体だけになった。


 これがさっき起きた事だった。

 スラムに帰った俺は食料を自分の部屋に置き、別の着ているのと同じフード付きパーカーに着替えてフードを被り直して床で寝た。



 〜数時間後〜



  鳥の鳴き声が聞こえる。


(……鳥?)


 スラムで鳥の鳴き声を聞いたことがなかった俺は疑問に思いゆっくりと目を開けた。


「何処だ……ここは?」


 目を覚ますと見慣れた汚く汚れた自分の部屋ではなく、綺麗にされている見知らぬ部屋だった。

ここまで読んでいただきありがとうございます。

次回も見てくださると嬉しいです。

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