第二十五話「原罪(エデン)の勇者」後編(改訂版)
第二十五話「原罪の勇者」後編
「マ、マジかよ……こんな美少女の……おっぱい見られるなんて……」
そして血走った眼を爛爛と光らせて、壁に拘束されたままの少女の隆起に無骨な両手を伸ばす
「こ……この……下衆!……誰に向かって……ゴフッ!……こ、このっ……やめ……」
ツェツィーリエの顔面の傷は既に殆ど回復し、血糊が多少こびり付いてはいるものの、元の可愛らしい容姿に戻っていた顔が怒りに歪む!
――蛇竜姫の回復能力は桁違いだった
竜人族の中でも蛇竜種は再生能力に傑出した種族。
失った四肢を無から再構成なんて芸当ができるのは竜人族でも蛇竜種だけだ。
そして、その蛇竜種の中でも王族の血を引いた頂点たる魔力を誇る蛇竜姫は、瀕死から冴えも復活する!
魔力が尽きぬ限り回復し、その超回復力を超える負傷を受けぬ限り死ぬことは無い。
故に、通常の物理、魔法攻撃で蛇竜姫を屠るのは至難の業だった。
「ふ、触れる……な、下衆!……ぐ……は……」
それでも……
四肢を固定した拘束から逃れるほどの回復は、未だ成されていないようであった。
「うう……はぁ、はぁ……」
荒い息と共に興奮して震える大男のグローブのような無骨な手の平が伸びる……
「このっ!……や、やめっ…………やめ……」
ガシィッ!
「きゃっ!」
「お!おおっ!!」
大男はそのまま両手で少女の大きな双房を鷲掴んでいた。
途端に、傲慢だった少女の紅い唇から無意識に短く弱々しい悲鳴が漏れ、大男は血走った両目と大雑把な口を大きく開いて感嘆の声をあげる!
「こっ!……この人間っ!!」
思わずあげてしまった可愛らしい声に、目前の黒髪の男がニヤニヤする様が視界に入った少女は、直ぐに自身を取り繕って高慢に叫ぶが……
「う、うわっ!おおきいっ!てか柔らかいっ!!くぅぅっ!!さいこーー!」
興奮しまくった大男には、もうその蛇竜姫の威嚇は聞こえない。
ガシッ!
ガシッ!
ガシッ!
調子に乗った大男は、雑な手の平で少女の柔らかい双房を上に下に揉みしだく!
「こっこのっ!ゲスッ!さ、触るなっ!こっ……い……はっ……無礼者っ!……うぅ……や……やめ……いや……やめて……」
ツェツィーリエの漏れる声が次第にしおらしいものに変わってゆく……
「ウヒィィ!!さ、さいこーーっ!!」
ガシッ!
ガシッ!
ガシッ!
「や……はぁ、はぁ……いや……はぁ……やめ……」
「おおぅっ!これは!!うぉぉ……」
バンッ!!
「っ!?わっ……リ、リーダー?」
獣そのものの血走った眼でツェツィーリエの胸を揉みしだいていた大男は、石床を踏みつけたと思われる大きな音で我に返る。
「早くしろ、オルテガ……俺はいそがしい……」
興奮のあまり壁に迫りすぎ、自らの巨体と石壁の間で少女の華奢な身体を押し潰してしまっていた大男に、黒髪の勇者が苛立った視線を向けていた。
「りょ、りょうかい……」
途端にオルテガの雑な造りの顔からサッと血の気が引き、直後、彼は黒髪の勇者が指示に従順に従った。
――ググッ……
一歩ほど後方へ下がったオルテガは、再び囚われの”蛇竜姫”へとグローブの様な無骨な掌を伸ばして、少女が身につけたドレスの胸元当たりを掴んだ。
「……うぅ……ゃ……いゃ……」
最初の威厳は何処に行ってしまったのか……
最早、ツェツィーリエは年相応の少女に成り下がってイヤイヤと頭を振る。
「くっ!!この服……鋼糸を編み込んでいるのかよっ!……ちっ!……」
――グググッ……
自分に比べて遙かに小さい標的の胸元を丸太のような二本の腕で鷲掴み、襟首の部分を左右に引き裂こうと奮闘する屈強なる戦士オルテガ。
――グググググッッ……
震える大男の背筋がモリモリと盛り上がり、二の腕に太い血管が浮き上がる!
「ぬうっ!!くぅおぉぉぉぉっっ!!どっせぇぇーーいいっ!!」
ビリリィィーー!
そして……
高級な黒ドレスは遂に左右に裂けて、各々が大男の両手の中に垂れ下がっていた。
「はぁはぁ……”ベルデレン”の鉄格子より固い服、着やがって……はぁはぁ……」
汗だくになったオルテガの両手には黒いドレスが只の布きれになり果て垂れ下がっている。
そして、その目前には……
「おっ!……おぉ!!」
先ほどの勇者とのやり取りの手前、オルテガは必死に感情を抑えてはいるが……
血の上った赤い顔と血走った目、自然と漏れる荒い鼻息……
黒髪の美少女が剥き出しになった、美しくも淫らな上半身を至近距離でガン見している大男はもう……爆発寸前だった。
「う……うぅ……ぁ……」
薄暗い石造りの部屋で、燻った色の石壁に磔された少女の肉体には……
衣服と言える布らしいものはもう殆ど残っていない。
勢いよく引き裂かれた時にその下の下着も同時に引きちぎられた為だ。
白い肌が羞恥で朱に染まった身体に僅かに残ったドレスの残骸……
少女の身につけていた物でハッキリと体を成しているのは、下半身を覆う頼りない最後の一枚きり……
「オルテガ、見ろよ……性格と同じで暗ぁーい衣装がお好みの蛇のお嬢様は、何故か下着はレースの純白だってよ……はははっ」
黒髪の勇者は、紅い唇を噛み締めて項垂れるツェツィーリエの下半身を指して嘲る。
「リ、リーダー……俺……もう我慢が……」
外気に晒されて白く輝く黒い巻き髪少女の身体を……
特に豊かな双房を……
オルテガは舐めるように観察し、劣情にプルプルと震えていた。
「…………く……うぅ……」
――殺す!殺す!殺す!
――ありとあらゆる苦痛を味わわせ、味わわせ尽くして……殺すっ!コロスッ!
唇の端がきれるほど噛みしめられた少女の顔は終始伏せられて……
グイッ
「!」
その顔を……懸命に苦痛と屈辱に耐え忍ぶように伏せられた少女の顔を……
無神経に顎を掴んで強引に上げさせる黒髪の勇者。
「このっ!?……このっ……に……んげん……う……うぅ……あぁ……」
そして、威嚇としては既に用をなさない少女の声は……
惨めなほどに涙混じりであった。
「ははははっ」
「うおぉぉ、すげぇ!白くて大きくて先っちょも凄く綺麗で……プルプルしてるっ!」
「…………ぅ」
自身のほぼ全てを晒させられた少女の黒瑪瑙の瞳が二人の男の卑猥な視線と絡む……いや、強制的に絡まされる。
「リ、リーダー!!おれっ!おれぇぇっ!アンタについてきて良か……」
美しい少女の顔に、裸身に……
爆発したオルテガは再び両手を伸ばすが!
それより一瞬早く、その前に割って入ったのは黒髪の勇者だった。
「リーダー?」
「はい、ご苦労さん!」
ドシュ!
そしてニッコリと笑うと、少女の腹部に突き立ったままであった緑色の剣を無造作に掴んで抜いた!
「うっ!……ぐはっ!!」
途端に!ツェツィーリエの白い腹部から血が噴き出し、同時に小さい口から吐血する。
「んで……こう!」
ザシュゥーー!!
「ごっ……ごぶぅぅっ!!」
抜き取られた剣は、僅かの時間で直ぐにまた彼女の体内にねじ込まれる!
グリグリ……
「ぎゃっ……い……がはぅ!……いたい……やめ……ごふぅぅっ!!」
今度は胸に……
剥き出しの胸の間に……
そこは……
グリグリ……
「はは、どうだ?”荊姫の剣”を心臓に受けた感想は?」
黒髪の男は楽しそうに……
本当に楽しそうに嗤って少女の”心臓”に呪われた剣をねじ込む。
「リ、リーダー?」
お楽しみを邪魔された大男は黒髪の勇者の真意を図りかねて間抜け面を向けていた。
「ばーか、これは”検証”なんだよ!蛇竜姫はお前の性処理道具じゃない……」
グリグリ……
「がっ……はぁ……くっ……」
そして相変わらず緑の刀身をねじ込みながら黒髪の勇者は、
激痛に歪むツェツィーリエの黒瑪瑙を楽しそうに覗き込んでいた。
「俺は原罪……在りし世界への罪を検証する勇者、レオス・ハルバだ!」
第二十五話「原罪の勇者」後編 END