閑話 ダンジョン暮しのホーエンハイムさん
はいほーはいほー!
と、ノーム族とドワーフ族のハーフのホーエンハイムは新しいダンジョンで見つけた鉱物を採掘していた。
背中に背負うはピッケル、シャベル、ハンマーとリュック的な空間アイテム袋だ。
ホーエンハイムは然程強くは無い。
どちらかと言えば、弱い方で。
特殊な鉱物の発見採掘の鉱夫的な能力に特化した冒険者だった。
彼は大体臨時で護衛冒険者を雇うタイプで、普段は初心者ソロでも入れそうな、こちらから攻撃しなければ襲って来ないような弱い魔物しか出ない階層でしか動かなかったりする。
今彼は、普段来ない様な強い魔物の居る階層に護衛を連れて来て居た。
「すまんねぇ、ジェインちゃんもキルケア君も、そろそろ終わるだべもう少し頼むんべ。」
凄く群馬風の濁音のだべだにだがん語尾の強い訛りを交えてぺこぺこ下手に言うホーエンハイム。
まぁ、最早会話が成り立たない訛りよりはマシ程度の田舎者だが、本人は垢抜けたと思っている。
「はいな!
背中は任せるのじゃ!」
元気にジェインが答える。
「良いもの有ったかい?」
「ここの敵の強さを考えっと、レア系の物は少ないべ。
ん〜魔法鉄と銅が多いみたいだんべ。
多分質より量採れる感じたべ。」
「宝石とかはどうかの?」
「宝石は…濃度の薄いクリスタルやアメジストの原石がチョロチョロある程度だべ。」
「薄いのか…お守りにしても効果弱そうだな。」
「え?キルケア君誰かにあげるのかえ?」
「ん?あぁ、翡翠の奴にな。
あいつ、変なところでドジだから。」
くすっと笑う。
「むぅ!翡翠には妾があげるのじゃ!」
何故か対抗意識燃やして騒ぎ始めるジェイン。
相変わらずの翡翠至上主義っぷりである。
何日か2人に手伝ってもらった後、ホーエンハイムは家に帰った。
ホーエンハイム自身は善良な青年なのだが、ハーフに良くある爪弾き扱いで。
ドワーフ族にもノーム族にも受け入れられず、能力覚醒するまでは、かなり苦労して一人暮らしをしていた。
「凄いよ、邪神ちゃんと魔王様とパーティ組んでもらったんだべ。
えへへ…朱鷺音ちゃんなら上手く対応して仲良しになっちゃうんだんべなぁ。
はぁ朱鷺音ちゃんが居たらなぁ。」
前世で仲良しだった幼馴染の生真面目な女の子を思い出す。
この世界に産まれて孤独を癒してくれたのは、彼女と遊んで楽しかった記憶だけだ。
あの日、女子大の校門に居眠り運転して来た車が激突した。
私を庇った朱鷺音ちゃん諸共私達は死んだのだ。
まさか、二人でハマっていたゲーム、暁の世界に転生するとかビックリだけど。
もしかしたら、彼女も転生していたりするんだろうか?
私は弱いから、高レベルの人だったら仲間になってくれないかも知れない。
でも多分、会えば分かる。
そんな気がするんだ。
因みにこの洞窟の家と言っても、ダンジョンの隣にある魔物の出ない洞窟の一画に一人居住してしていたりする。
前世の知識で簡単なダンジョンメイクと結界を張っていたりするんだけど、今の所掘っ建て小屋風味の部屋だけしか知り合いには見せていない。
悪用したがる者にバレ無いためだ。
それから数日後、ホーエンハイムは運命の再会を果たすのだが、別の話。