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消えた仲間達

ピロピロリン〜、ピロピロリン〜。

夢の中には魔神が居て〜。

空の彼方に神がいる。

毒と薬草紙一重。

神と魔神も紙一重。

裏がえる裏返す。

君の心の表側。

君の心の裏の裏。

一周回ると人になる。

一周回ると死んじまう。

幸運不運は紙一重。

君と私も紙一重。

ピロピロリン。


ヘンテコリンな音声で目が醒める。

ゲームの主題歌では無い。

所謂着歌なのだが携帯電話の物では無く、連絡用の携帯音声魔導具の着歌だ。

手の平サイズの半円宝珠のような形をしており。

機能は携帯電話とさほど変わらない。

因みに、俺が曲を入れたわけでは無く。

実家の部屋に来たジェインが、俺が母に呼ばれて目を離している隙に、ジェインの魔導具番号に勝手に音声入力したのだ。

お陰で、ジェインから電話が来るとこのけったい極まりない曲を聴かされるハメになる。

消そうとしたら、泣かれて逆ギレされてどうしようも無かったんだよ。

まぁ嘘泣きなんだが。

人前で泣くので、マジ大変。

女の泣きは、感情昂ぶると素で泣き虫になる子供みたいな可愛いタイプと、計算ずくで強かに立ち回る為の泣き虫と言うヤバイのが居て。

俺が前世でも女で無かったら、その区別がつかなくてオロオロしただろうよ。

前者はまだ可愛いんだよ。

自分の感情に素直なだけだから、仕方無えなぁってなるんだ。

後者はアカン、人を転がして動くタイプはガチでヤバイんだよ。

要領の良い美少女や美人はそれを上手く使いこなすから特にヤバイ。

異性にバレなければチヤホヤされるし。

同性には確実に嫌われるけどな。

因みにジェインは半々だ。

基本自分の感情に素直なのでそういう時は可愛いのだが、何か絶対曲げたく無い時は、悪どく嘘泣き交えて来るのだ。

今回は悪どくあざとくであり、人前でやってこちらの状況逃げられなくしてくる。

ジェイン、恐ろしい子!

ジェインは美少女ではあるが、かなり変人としても有名なので。

これに関しては、かなり周囲に同情されている。

出来れば普通の歌にして欲しかった、デスヨ?


そんなヘンテコリンな音声の魔導具を、ベッド隣のテーブルからウトウトしながら取る。

窓を見上げると、カーテンから薄暗い光が差し込んでいて、まだ日が昇る前だと分かる。


「こんな時間にどうしたんだ?

ジェイン?」

欠伸を噛み殺しながら通話モードに切り替える。

「あ!翡翠ちゃん?

私ジェインじゃなくてエレインおばさん何だけど、こんな時間なゴメンね?

あのね?そっちにジェイン来てないかって電話してみたのよ…。」

声は良く似ているが、ジェインよりは少し低めのジェインの母親が、焦った声で連絡を入れたと知ると、俺は一気に目が覚めた。

「え?俺はまだ新居完成して無いし、今迄住んでいた所にも特に用事が無くて帰ってないから。

今は男子寮ですよ?

ジェインには学校以外で最近会ってませんが…何か有ったんですか⁈」

すると、電話口でエレインおばさんは、半狂乱になった。

「ど、どうしよう…昨日からジェイン学校からも帰って無いのよ…。

ませてる娘だから、てっきりとうとう翡翠ちゃんの所にお泊まりしたのかとばかり…。

しかも、あの子の携帯音声魔導具、部屋に有ったから、連絡のしようも無くて。」

突撃隣の邪神ちゃん…やりそうではあるな。

それ俺の貞操がマッハで危険が危ない。

いや、今はそれより、エレインおばさん落ち着かせなきゃだな。

俺は数分かけて宥めて、こちらでも探すから警邏に連絡を入れさせる事を約束させた。

ジンワリと嫌な汗と寒気がする。

ジェインを攫う、理由は幾つか考えられる。


単純にストーカーの拉致。

コレは一番ありそうだ。

何よりジェインは、普通にしてればかなりの美少女なのだ。

ストーカーどころか、隠れファンクラブすら有りそうである。


もう一つは、邪神として覚醒させたい転生者か堕天の神?の暗躍だ。

シナリオが破綻してるから、修正したい勢力がいるって事かな?


でも…それは、邪神ジェインを倒したいのか籠絡したいのかわかんねぇな。

あ!キルケア大丈夫かな?

あいつも登場人物、しかもボスだから何かあったかも知れない。

慌ててあいつに携帯音声魔導具で連絡を入れる。

「お掛けになった番号は、現在使用されておりません。」

クソッ!

あいつもか!

俺の友達二人が消えた。

折角、良い感じに仲良くなったのに。

折角、あいつらがヤバイ展開にならない様に気を付けていたのに…。

目がボヤけて来た。

ぼたぼたと雫が布団に落ちる。

転生して、泣き虫が治ったと思ったのに。

前世は感情制御が下手で良く泣いた。

残念ながら、美少女でも無く、計算なんて出来ない只の泣き虫だった。

本当、役立たずの泣き虫のままだな俺は…。

ベッドから出て洗面所で顔を洗う。

頭を冷やせ、泣いてもあいつらは救えない。

昔の俺なら、泣いてなんとかなるなら世界は俺の物になるよって自身を皮肉るよ。

ゲームとかシナリオとか余分な事を気にし過ぎて、何かを見落としてるかも知れない。

さぁ気合を入れて、最近のあの二人の周囲を思い出せ。

そこに、二人を攫った何かヒントがあるはずだ。

部屋の灯りを点けて、未使用のノートを取り出し思いついた事を書き出す。

攻略者、敵キャラ、モブ。

知らない新キャラかも知れない教師、生徒。

キルケアから聞いたこのゲームの続編。

それ以外に最近俺らに関わった者達。

ここ最近の俺が遭遇した出来事。

俺が見かけた、もしくは聞いたキルケアの周辺やジェインの周辺。

其処まで考えて、ハタと気付く。

「時間移動…どうやって出来る様になるんだ?」

キルケアが言っていた、続編主人公は現在過去未来を移動できる様になり、歴史改変や謎を解くって言っていた。

もしも俺がモブじゃ無いのなら、どうやってそんなチートできる様になったんだろう?

…あ、古代遺跡…そう言えば新たな古代遺跡が発掘されたってカナディアが先週言ってたな。

タイミングが…嫌な予感がする。

コレなのか?

一瞬躊躇した後、カナディアに連絡を入れてみる。

どうか、出てくれよ…。

「はぁい?おはよう、翡翠?

珍しいね、えっと…どうしたんだいこんな朝早くに。」

ムニャムニャと、寝ぼけた掠れ声で声が帰ってくる。

「よかった…カナディアが無事でよかった…。」

「え?ちょ、翡翠⁈

な、何で泣くの?

え?え?え〜〜〜⁉︎

ヤダ落ち着いてくれよ、何があったのさ。

取り敢えず、君の部屋に行くから、少し待っててくれないか?

着いたら連絡するよ。」

結局、俺はカナディアが来るまで、気が緩んで号泣きしてしまいました。

たはは。


カナディアには、ゲームの話は伏せて、ジェインが昨日から行方不明な事。

キルケアの携帯音声魔導具の番号が消去されて、キルケアも行方不明な事。

もしかしたら、二人は何か事件に巻き込まれたかストーカーみたいなのに誘拐されたのかも。

と言う話をした。

すると、少し考え込んだ後に、カナディアが呟いた。

「ストーカー…そう言えば、先週辺りから変な気配がするんだよ。

粘着質な視線と足音だけが聞こえるんだけど。

見回しても何も見えないんだ。」

「なにそれコワイ。

ホラーやん。」

「気持ち悪いよね、んでそれを偶々キルケアが一緒の時にも感じて、ビクッて怯えたら。

キルケアも気付いてたみたいだったな。

少し走ってその気配巻いてた。」

「そっか…。」

「んで、昨日ギルドの用事で新しい古代遺跡の発掘調査依頼に参加する事になって。

偶々ギルドに居たキルケアとジェインさんも参加してたんだ。

ただあの気配も感じたんだ。

あ、依頼は別チームに割り振られたから、スタートしか一緒じゃなかったんだよ。

まさかとは思うけど。

もしかしたら、まだあそこに居るかも。

一緒に行ってみるかい?」

俺は頷くと、ギルドに行ける格好に着替えてから、カナディアと共に冒険者ギルドへと向った。

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