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課外授業か、そうだ、タロットをめくろう ②

「おーっし、1戦目はDクラスか、庶民クラスだから魔法使い系は少なくて前衛多めで、後衛も弓系投げナイフ系罠系とかのギミック使いが多そうだな。」

対戦表を見ながら、俺が呟く。

男爵産まれで現在騎士公の義理息子だけど、俺が継ぐのは、亡き父の遺言で男爵位になると言われている。

まあ、男爵って言っても爵位だけで、王都に住む代わりに領地無しのほぼ庶民みたいな感じだけど。

それなりに父の遺産手当や母の稼ぎが良く。

再婚しなくても我が家はソコソコお金はあったりしたので、貴族の基本的な教育は受けている。

後、貴族の方が魔法使いが産まれやすい家系も多く居て。

優秀な家系程、婚姻を重ねたりしてブリード的な事をする者達も居るようだ。

庶民落ちした元貴族と婚姻した子供やその子孫の隔世遺伝でもない限り、中々優秀な魔法使いは産まれ辛いそうだ。

騎士公は流石に兄貴が継ぐし、分家作るよりは揉めなくて楽だと言われた。

世知辛いね。


ともかく、そんな豆知識も戦略には多少関係してくるのだ。

庶民が多ければ魔法使いでは無いチームに、貴族が多ければ魔法使いの多いチームに片寄る。

それだけでも面倒なのだが、種族の違いの能力差も有る。

この暁には、人族以外にも沢山の種族が居て。


鬼族…オーガ族と呼ばれる戦闘狂種族。


有翼族…天使みたいな背中に翼の生えた長命で天真爛漫な種族。


森のエルフ族…世界樹を祭る森の民達だが、耳が尖って長く、長命だ。


ダークエルフ族…別名砂漠エルフ、砂漠に住むうちに、森の加護が無くても生きられるようになった種族。

肌が日焼けで赤黒く、耳は森のエルフより少し短め。


海のセイレーン族…水の中では人魚。

陸では人間の形態を取れる種族だ。


ドラゴン族…神に近い知識と長命と戦闘力を持つ種族。

巨大な姿だが、人の姿にもなれる。

基本下界には拘りたがらない。


ドワーフ族…工業商業加工などが特出した種族。

子供のような小柄な者が多い。


クラス名簿からは、中々種族までは察する事は難しい。


「仕方ない、俺の秘密兵器だ!

ばばーん!

タロットカードぉ!」

と、セルフで効果音。

…チョット虚しい。

俺のチョットくたびれたタロットカードを、袋から出す。

「お、タロットか!

何々占うの?

見してー?」

キルケアがタロットに気楽に触れようとしたので、スッと手元に隠す。

「俺のタロットに触るな。

占ってる途中で持ち主や占い対象以外が触れると占いの先が乱れる。」

「す、スマン。」

「これの後占って欲しいなら簡単なので良ければやるから、許してくれ。」

「え?いいの?サンキュ!頼むよ。」

「あ、先に言っておく、恋愛運だけはやらねーからな。

どーにも苦手なんだよ恋愛運やるの。」

「ん、まぁ了解!」

再び静かになったキルケアを放置してタロットを手に取り、調べたい名前に触れる。

タロットの配置で、簡単な全体運なんかをかるく調べる。

「優柔不断、人族、サポート向きだが意地でも戦闘訓練で目立ちたい。」

「直情ガサツのオーガ族。

協調性は迷子。」

淡々とつぶやく声からは、普段ダダ漏れな感情が薄れてわかり辛い。

集中が凄かったのか、始めは面白がっていたキルケアが、驚いた目でじっとこちらを見ていた。

そんな感じで対戦クラス名簿に目を通して行く。

少しして、分かったこと。

前衛の中に二人、後衛に一人他種族が紛れている。

それと、性格的に前衛向きの者達がやはり多くいた。

その為、作戦は然程難しくない。

戦闘能力初期値や、個人戦でも抜きん出たものは居ないが、Bクラスはそこそこのレベルの者が多い。

対してDクラスなら、余程庶民相手だと舐めなければ勝てるはずだ。

最終戦狙いでもないし力押しでもやれるが、折角魔法使いが数人居るのだ、彼らも巧く立ち回らせなければいけない。

「キルケア、やっぱバフ重視で頼むよ。」

「バフ?デバフはいいのか?」

「魔法使いが居ない時は、デバフまでやると簡単に勝てちまうからな。

多少はやり取りしなきゃ流石につまらんだろ?」

バフとは支援魔法の事で、MMOなんかでは。

速度上昇耐性

対物耐性

毒痺れ眠り魅了を防ぐ対状態異常耐性

体力を緩やかに回復するオートリジェネ

なんかの魔法を味方にかけることだ。

デバフは敵にそれと逆の事をする。

徐々に体力減らしたり、速度遅らせたりなんかがそれだ。

「無双するつもりもないし、それでいいさ。

んで攻め方は?」

「マップ次第かな。

あの訓練場当日ランダムに変わるんだよ。

山とか林とか平原とか沼地とか、敵と味方のマップがそれぞれ違うんだ。」

「へぇ、凝ってるんだな。」

「決勝になると試合中に天候が変えられるんだぜ。」

「あはは、そりゃ楽しそうだな見てる方は。」

うん、参加するほうは大変だよね。

「さーて、じゃあ占う?」

「お、良いのか?」

「カードをシャッフルするから待ってろよ。」

シャカシャカとカードを切る。

その合間から、カードがこぼれ落ちた。

「沢山占ったからカードが荒ぶってんな。

・・・ん?これは・・・。」

めくり上げたタロットカードは二枚重なっている。

一枚は月、もう一枚は皇帝・・・おおぅ、月の王ってか。

もう一度切り直す、やはり同じカードがこぼれ落ちる。

「なんだ?シャッフル失敗か?」

「これなーんだ?」

正位置の月と皇帝のカードを見せると奴は引きつった表情になった。

「月と皇帝・・・月の魔王?」

「何度シャッフルしてもそうなるから、まぁお前のメインカードだな。」

「そうなのか?」

「占いの総合運はだいたい相手に引かせるんだけど、引く前にこうやってこぼれ落ちるみたいに示唆するのは、大抵メインカードだ。

多分普通に占ってもこの二枚は確実に入ってくるぜ。」

「お前もなんかあんの?」

「占い師は自分を占っちゃイカンのですよ・・・って言いたいところだけど。

何も考えずにシャッフルしてたら、太陽と星と力のカードが何度か出たよ。

多分その三枚が俺のカードだよ。」

「なんだそれ、強そうだな。

力って筋肉な屈強がビルドアップしてる感じか?

力こそパワーみたいな。」

「どんなカードだよ!

女の人が強い獣を撫でて抑えてる力の包容力の方のカードだよ。

暖簾に腕押し的な意味だと思うけど。」

実はキルケアの言う力こそパワー的なカードも有るのだが、俺的には女性の書かれたカードのほうが好きだったりする。

「同人絵でタロットカード有ったよな・・・。

お前も作ったの?」

「いや、多分このゲームの特性上なのかは分からんが、タロットカードは普通にあったぞ。

魔道具扱いだったけど。」

「へぇ・・・今日はなんだか色々おもしろいな。

あ、そうだ占ってくれよ、総合運とかでいいから。」

「あ、そうだったな・・・。

皇帝を中央に月が過去。

現在がフールで未来に・・・・戦車。

総合にワールド、示準に吊るされた男、か。」

「なんかやな予感だな。」

「月の魔王でいたのは今のところ過去の話になってる。

多分前世思い出した関連でかな。

今のあんたからは世界を呪う理由なさそうだし。

現在は、まぁそれだけ楽しそうに一般人に紛れ込む旧人類とか、なんも考えてないよねって話。

未来は・・・ん・・・戦車・・・やっぱ何か本格的な波乱、普通に考えたら戦闘があるってことだな。

騒乱は世界規模、当面は耐えろと吊るされた男のが出た感じかな。

ざっくりとこんなんでました。」

「うはは、成る程物騒、でもだいたい合ってるな。」

「俺プロの占い師には向かないから、軽めなの専門だよ。

特に恋愛運はダメ、他人任せが気持ち悪いっていうか。

運命は自分で切り開く思想なんだと思う。

カードがいうこと聞いてくれなく成るんだ。」

「そんなもんなんだな?」

うん、そんなもんだよ。

「しかし・・・戦車・・・チャリオットだっけ?

それが出たって事は、教師連中の闇堕ちと関係しているんかね?」

教師の闇堕ち、色々もみ消しては居るらしいが、口の軽い生徒の間で密やかに流れ始めた話がある。

女子生徒への放課後呼び出し不適切行為。

庶民生徒へのいじめの指示。

マフィアと繋がって生徒に薬や武器密売させる。

庶民生徒を拉致監禁して奴隷商人に密売。

などなどだ。

いきなり免職になった教師や、それに伴って退学する生徒が月に一度出現するため、そんな噂が立ち始めたのだ。

魔王であるキルケアが動いていないのに、シナリオが進んでいる。

「とりあえず俺も使い魔使って色々調べては居るが、翡翠も巻き込まれないよう気をつけろよ。

か弱いんだし。」

「わぁってるよ。

てかか弱いは余計だこら。」

そんな事を話しながら、俺達は下準備を済ませ翌日に備えた。

壮大なフラグキタコレと後になって知るわけですが、いまは呑気に風呂入って寝ました。


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