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綺麗な聖女様の秘密の花園?

「聖女様…我に返ってくれよぉ。」

「うふふ、わたくしは素面ですわ。

性別を超えて結ばれないなら、翡翠、貴方の性別を変えて仕舞えば良いじゃない!」

現在モブな翡翠こと俺は、超ピンチである。

部屋に充満した甘い香りで脳が痺れそうだ。

つーかこれ痺れ薬と惚れ薬的な何かだろ?

何が起こっているかというと。

これより一週間前に話が遡る。


例の挙動不審なメンバーの1組、聖女様と神官様コンビに遭遇出来たのだ。

別にたいした事ではない。

母の結婚式に参加して下さったのだ。

本当、母の交流関係がわからないよ。

母は美人ではないが、人見知りもしないし気さくで優しい。

何処か人をホッとさせる愛らしさのある人だ。

そのせいか、父の死後もモテて居たのだろう。

再婚は、俺があまり手の掛からなくなる年にしたみたいだしな。

しかし、ジェインがゴネるとは思わなかった。

「妾のソナタの世話を焼くと言う仕事が出来なくなるではないか!」

と、小声でブチブチ騒いでいたのが可愛かった。

まぁ、年頃の娘が男の部屋でベッタリなのはけしからん!

とか、生真面目な義理父とかがガチに言いそうではあるしな。

そしたら母が、

「あらあら、ジェインちゃんは翡翠と結婚したら何時でもお世話焼けるわよ?」

と爆弾投下。

「な、な、ななな何を言うのじゃ。」

と言った後に、俺は照れ隠しにボコられた。

「もう翡翠のバカぁ!

ソナタのせいじゃ!」

その間生暖かい視線を浴び、助けは無い。

理不尽である。

ふふ、邪神様の攻撃で、俺は強くなった…と思いたいが、生傷が絶えない生活は、スリルとサスペンスとバイオレンスに飛んでいると言えよう。

つーか、邪神様が嫁とかすげえな。

俺の死亡フラグがマッハだわ。

と少し遠い目になる。

ジェインは可愛い。

無邪気で美少女で、対俺には昔からとっても甲斐甲斐しいのだ。

何事も無ければ、無条件に嬉しい相手だ。

しかし、ゲームの邪神の設定が有る。

ただ受け入れるには難易度が高いと思うよ。

暫くして、結婚式の打合せに王立テリュー教会の大聖堂の控え室に呼ばれた。

俺は母の身内が俺だけなので。

本来なら、バージンロードで花嫁の父が花婿へ花嫁を渡す役をする事になった。

うちの娘はヤラン!イベントやって無いっすよ?

まぁ俺が息子だしね。

ただ自分だけの家族では無くなる事に気付かされて、少し複雑な気分でしょんぼり。

世のパパんの気持ちが分かったよ。

反対して無いけど、寂しいものなんだな、コレ。

まあでもこうやって、順序立てて手放す感じなのかね?

そんな俺を、聖女ファーラ様がギラギラした感情で眺めていたなんて、この時は全く全然気が付かなかったよ。

トロワ神官様とは、挨拶程度しか会話しなかった。

元々事務的な人なので、こう言った時は特に無駄口叩かないみたいだ。

しかし、ゲームの画面で見るよりも、温和そうな印象をうける。

俺の警戒も、多分緊張と勘違いしてくれると思うレベルに抑えてある。

だから大丈夫。

と思いながら微笑むと、何故かトロワが真っ赤になった。

なんでやねん。

「貴方は父君に良く似てらっしゃる。」

小さく耳打ちされた言葉に、甘さが乗っている事に気付く。

え?マジなんでやねん。

親父とか顔も覚えてねえよ。

しかも俺現世男…まさか口説かれてる?

驚いて見上げると、優しく微笑んでいた。

「お母上も、ご成長なされた翡翠君に、さぞかしご安心な事でしょう。」

そう言って、トロワは立ち去った。

うーむ、色々謎だけど、嫌われたり変な感じでは無さそうだから、まぁいいか?

取り敢えず、トロワは今の所白寄りの灰色かな。

溜息を吐いて部屋から移動しようとして固まる。

変な視線を感じぞくり。

挙動不審にならない程度に、視線の方にゆっくり振り返る。

扉の側で、聖女様がジッとこちらを見ている。

俺はその視線に少し恐怖し後ずさる。

頭のてっぺんからつま先まで、まるで舐めまわすような視線。

聖女様とは思えない程、ギラついたそれが俺に纏わりつく感覚。

視線を外した先には、先程まで居たトロワ神官様の後ろ姿が見える。

しかし、トロワの方へは、強い嫉妬の視線を向けていた。

間違いない、ありゃストーカー的な視線だわ。

え?ファーラ聖女様ストーカー気質なの?

しかも主人公でなく俺が対象?

どーゆうことなの?

混乱し、固まった俺に構わずズンズン近寄り。

俺の腕を掴んで、聖女様はどこかの部屋へと俺を連れ込んだ。

「うふふ、捕まえた〜!」

誰も居ない個室には、多重結界で周囲に簡単には出られず。

音漏れすら出来なくなっている。

完全に監禁だよコンチクチョー!

「聖女様、は、離して下さい。」

「ヤダァ、ファーラと呼んで?」

甘く囁くが、むしろ怖い。

どうやって逃げよう?

「あの、ファーラ様、俺はこの後予定が…。」

「んもう、ファーラでなく昔のようにファーと呼んで?」

「昔?」

「そうよ、あの雌ブタジェインの逆向かいの幼馴染のファーよ?」

逆向かいの幼馴染…あれ?

幼馴染の女の子はジェインだけ。

え?もうひとり?

そこまで考えて、真相に至る。

「お前ファーって、なんで野郎なのに聖女様なんだよ!

意味わかんねえよ!」

「性別とかどうでも良いじゃない。」

「いや、良く無いだろ。

男なら聖女様でなく聖者様だろ。」

「細かい事で煩いですわね。

わたくし、どちらでもありどちらでも無い、両性なのですよ?

なので、可愛いく聖女様になったのですわ。」

「え?うぇーーーーーーー?!」

「そんなに性別に拘るなら、翡翠女の子にしましょうか?」

「お、お前酔っ払ってんのか?」

ここでやっと冒頭のシーンへと戻るのだった。

「聖女様…我に返ってくれよぉ。」

「うふふ、わたくしは素面ですわ。

性別を超えて結ばれないなら、翡翠、貴方の性別を変えて仕舞えば良いじゃない!」

現在モブな翡翠こと俺は、超ピンチである。

部屋に充満した甘い香りで脳が痺れそうだ。

つーかこれ痺れ薬とか惚れ薬とか媚薬的な何かだろ?

動きが段々鈍くなる。

俺を抱きしめる手が妙にいやらしく、見た目は美少女なのでマジ反応に困る。

意識が朦朧としかけた時、バタンと結界の敷かれた扉が開かれた。

「やっぱり又やらかした!

ファーラ様、いい加減にしないとお仕置きデスよ?」

黒いオーラ纏ったトロワが、ずもももと仁王立ちして居る。

又と言うことは、定期的にショタを監禁誘惑して居るのだろうか?

変態過ぎる。

「翡翠君申し訳ありません、今術を解除したので少ししたら動けるようになりますよ。」

まったく!とブツブツ文句を言いながら、ファーラのお尻を叩くトロワ。

「ひゃ!痛い。

トロワ痛いよぉ、もっと優しくしてぇ!」

「ええい、この発情期聖女、いい加減にしないと神殿から能力封印されて遠方へ追い出されますよ?」

やはり初犯では無いようだ。

「た、大変ですね?」

「ははは、申し訳ない。

何時もはもう少しマシなのですが。

余程翡翠君に思いを残していたらしい。

翡翠君はノーマルだからきっぱり諦めないと後が辛いと思うのですがねぇ。

まぁ、人の恋路は良く分かりませんが、ね。」

「ちょ!いい話風に纏めないでよ!

わたくし諦めないんですからね!

って痛ったぁ〜!」

この会話の間に、パシンパシンと尻叩きスパンキングが挟まれるわけである。

取り敢えず、神殿にいる間はこちらに手出し出来ないので。

当面の性的危機や、女体化の危機は去った模様。

去った、はず。

つーか、これ本当にファーラにトロワが片想い出来るのか疑問になって来た。

本当人の恋路は良く分かりませんよ。

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