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山の妖精さんと太古の魔科学世界

深い深い深淵の様な闇を纏った濃霧の中、俺は空を見上げる。

すぐ側は見えないが、離れた上空が何とか見える様な宵闇の空には、薄っすらと星が見てきていた。

と言うことは、少し離れた所では既に霧雨でも降らせた後なのか。

雲が軽くなったのか、晴れているのだろう。

蜃気楼の様に、宵闇の狭霧に紛れて薄っすらと見るのは、山の下に見える雲海の中の高層ビル群と、中空に浮かぶ航空船や小さな遠くに見える星の浮かぶ宇宙まで跳べる機動空母や機動戦艦が、ボンヤリ幻想的な風情で見えている。

駆逐艦とか護衛艦とかかも知れないが、素人には区別がつかないのはご愛嬌だ。

地球なら海に浮かんでそうなそれらは、空をゆったりも力強く飛んで居る。

いわゆるそんな宇宙戦艦のある景色は、ファンタジーからSFへと世界観を壊しに来る。

そこは、地球より進んだ超科学と魔法の融合した太古に滅んだ魔科学世界。

何故そんな便利かつ合理的で先進的な環境が滅んだのかは俺には分からない。

飛んだ先はかなり昔で、まだ世界戦争の前だと言う事だけは分かる。

地球より古い前世の俺が産まれたのは、前世の星が滅びかけた時であり。

地上は死の星に近かった。

前世の俺は、月へと避難移住する為の魔導エレベーターを建設してた頃に産まれた。

特権階級や裕福な者達は死の星と化した世界から黒い人工月か白い元々あった月へと移住して居た。

後々白い月では風土病で早死にする者達が出たり。

俺の居た黒い月では、ゲームと似た様な、特権階級連中とヤンデレを含めたテロが有り。

呪いでほぼ人々が死んでしまった。


だから、こんなに地上は美しくは無かったのだ。

そう、どう見てもココはパニマ様の作られし世界ですら無い。

「ゲームの設定の為の世界…じゃねえよな。

何処だ?ココ?

うーん、分かんねえな。

アレ?みんなは?」

我に返ってキョロキョロと周辺を見回す。

山の頂上には、俺しか居なかった。

太古のアルカディアに似たこの景色は、前世の幼い頃に見た映像物に何処か似ていた。

だとすれば大分古い。

暗いから分かり辛いが、よく見ると俺の身体が透けている。

前世でしかも太古の異世界だ、パニマ様の世界の過去に飛ぶのとは力の限界でもあったのか、魂だけで飛んだのかも知れない。

魂の比較的若いホーエンさんとカナディアの2人が来れるのは、魂が産まれた位までしか遡れないのかもしれない。

何となくだが、そう思えた。

バッと不意に、後ろを向く。

「視線?

気のせい…かな?」

「魂の旅人さん、ここは魔物は出ないが龍が出るよ。

人は滅多に襲わないが、高位の希少種以外、大体彼らは気短かだから関わらない方がいい。

早く山を降りなよ。」

「だ、ダレ⁈」

「山の妖精さんだよ。

驚かせてごめんごめん。」

俺が産まれた頃は精霊は滅んで居た。

子を産める美しくも残酷な主人想いの魔人形…一種のアンドロイドが暴走し、世界の精霊を狩り尽くしたからだ。

それよりも前に飛んだのかも知れない。

「山の妖精さんか、まだ生き残ってたんだね…。

君らも気を付けて、遠く無い未来に世界が滅びに向かうから。

神の世界樹森が焼かれる前に、世界樹の子供たちを北の氷水晶アイテム空間に避難させて。」

「世界樹が、イグドラシルが全滅したら、ここの世界の復帰が出来なくなる。

分かった!幾つか分散させてイグドラシルチルドレンを避難させておくよ。

そうだね、人の業はそろそろ危険な兆候を示しているね。

アルカディアが滅びかけて居るのは、多分創造神の戯れも有るのだろうけれど…。」

困った様子の声の妖精さん?は未だ姿を見せない。

「あ、そうそう。

知ってるかい?

神と魔族の不可侵条約を、創造神様が破られたそうだよ。

魔族が発狂して戦で神族が押されて居るから、地上に悪影響が出てるみたいだね。

わざわざありがとう。

未来から来た魂の旅人さん。」

何も言ってないけど、存在する理由バレてる。

まぁいいけど。

しかし、何処の創造神もやんちゃが多いのだろうか?

「どういたしまして。

ってか、創造神様は何やったんだい?」

「ただの恋さ。」

「恋?恋愛って事?」

「そ、ただの恋。

だからこそタチが悪い。

お相手は、魔王の愛娘って話さ。

どうやったのか、子をなしたらしいよ?」

物語の様に、この太古のアルカディア世界の魔族と神族は簡単には恋愛出来ない。

いや、ただ好きになることは可能だが、基本的に反物質的存在なので、まず身体に触れられないのだ。

軽く触れただけで、普通なら火傷する。

それがどう言う仕組みなのか子を成した。

それは異常事態だろう。

多分お腹に毒物抱えている様な状況では、母体が持たない可能性もある。

「うん、お察しの通り、魔王の愛娘は子を産んで亡くなった。」

そりゃ魔族サイドにごねられるわ。

「魂の旅人さん、もしかしたらまた会えそうな気がするよ。

でも、次に会えるのはぼくは転生して別の姿かも知れないけれど。

多分ぼくは君を覚えてなくても、君と仲良くなりたいと多分思うよ。

じゃあね。」

気付くと、山の妖精さんと名乗った存在の気配が消えた。

多分彼は、太古アルカディア世界樹の精霊イグドラシル本人だったのかも知れない。

山の裏に枯れ始めた力の強い大木が見えたからだ。

その後、山を降りる途中で立ち寄った猟師の休憩所的な山小屋を見つけたので仮眠をさせてもらう。

目覚めると、別の場所に飛んで居たのかホーエンさんが俺に一生懸命声を掛けてくる。

どうやら熱を出して寝込んで居たらしい?

腕輪の青薔薇は減っては居ない。

だから本当に、魂だけ過去に飛んだ様だ。

どういう仕組みなのだろう?

でもまぁ。

か、帰って来れて良かったぁ。

夢で無いのは、手に世界樹の種と苗の入った手のひらサイズな氷水晶のアイテム空間倉庫が有ったから。

太古の世界樹の種と苗か…どーすんた、コレ?

ふと椅子でうたた寝して居るカナディアを見て思った。

何だか懐かしい気配を感じた気がしたが、俺にはそれが何かよく分からなかった。

でも手元の世界樹の種と苗は、カナディアに任せた方が良いような気がした。

不意に顔を上げて寝惚け眼で微笑んだカナディアを見て、俺もつられて微笑んでいた。

「起きたね〜、もう熱とか大丈夫かい?」

「おう!心配掛けてスマンスマン。

色々有ったから、まぁ知恵熱みたいなのが出たんだと思うよ。」

「翡翠が元気になった良かったよ。」

その輝く笑顔が直視出来ないのは秘密だ。

次の日、転移した先の時間軸を調べはじめる俺達だった

翡翠は地球を経由しますが、太古のアルカディアの前世持ちでもあったり。ゲームの設定と前世が似た部分があるのかも知れません。

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