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夢の中で

しゃらしゃらしゃら


小さな音色が聞こえる。

鈴の音とは違う。

雨の音に近い様な、あれは一体何の音だろう?

濁流では無いが、滝か噴水の様な絶え間無い静かな水音…だろうか。

湖面の舟の上に居る時もそうなのだが、水辺の音は不思議と静寂な気配に包まれている様な気がする。

ぼんやりとそんな事を考えながら、曖昧な意識の中微睡む。

小さな子供が泣いていた。

大木の下で、どうやら雨宿りしているみたいだ。

景色がセピア色に霞む。

痩せ細った子供は、服もヨレヨレで細かい鞭の傷が有り、奴隷の首輪を付けられていた。

何処からか逃げてきたのだろうか?

ドレス姿の女の子が、子供の手を取る。

2人の声は聞こえない。

けれど、そこから優しく連れ出した様に見えた。

救われたのかな?

ぼんやりと、その光景が脳裏に刻まれた後、ふと目が醒める。

辺りはまだ暗く、ホーエンさんちの客間の長椅子…を魔改造したソファーベッドをかりて仮眠していた俺は、ゆっくり起き上がる。


うん?変な夢だった。

何だったんだろう?


この時間軸のホーエンさんがいる日は宿屋に、いない日はそれぞれ交代でホーエンさんちに仮眠しに帰って来た。

ダンジョンに行く日は、おおよその時間を決めて潜っているそうなので、この時間軸のホーエンさんにバレ無いタイムスケジュールは組みやすく助かっている。

それでもまぁドキドキのスパイ映画ごっこじみているのはちょっと不謹慎だけどワクワクする。

うん、ちょっとだけ、だよ?


認識阻害のアイテムとか変装したりして、キルケアやジェインらを見張ったが、やはり原因がイマイチ分からない。

元々人気も嫉妬も買いやすい2人だ。

転生者絡みでなくても選択肢が広すぎる、と言うのも悩みの種だった。

多分あの2人を攫った者達も、認識阻害してたりするんだろうなぁ。

結局攫われたと仮定した日のホーエンさんと別行動した後の時間は、彼らと遭遇すら出来なかった。

多分、今の俺らより相当強い者が認識阻害をかけたらどうしようも無いのだろう。

俺は溜息を吐いて、別の時間の捜査に移動するかどうかを2人に相談しようと思った。


「何か分かったことはあったかい?」

「俺の方は全く収穫無し。」

「本当かどうか分からないけども、トリニティ姫殿下がお忍びでダンジョンに居た、らしいんだべ。」

「え?鳥姫居たの?」

ついゲームのあだ名で呼んでしまう。

「不敬罪になるから、ヤバイからね、心の中でだけで鳥呼びしようね?」

カナディアにさらっと注意された。

そうだった、中世的な世界は首飛ぶんだった。

「あはははは。」

笑って誤魔化すと、鳥姫の設定をぼんやりと思い出した。


トリニティ・レオ・アメージュ第1皇女。

アメージュ帝国の秘宝とか宝珠とか、美しき女神の生まれ変わりとか、神秘の具現化とか。

そりゃもう褒め言葉で塗り固められて実像が想像し辛い系な姫殿下です。

まぁ実際美少女で頭も運動神経もかなり良く、帝国の皇族は元々魔力量多いのに抜きん出て魔力量多い。

まぁ女神の生まれ変わりとか言われる割には神力無いみたいだけどね。

コレもチートな方向性だよなぁ。

なのにゲームだとモブ。

キルケアに聞いたゲームで仲間になら無いんだよ。

彼女の評判。

「僕が聞いたのは、有能だけどちょっと気が強くて気まぐれ?」

「わしがギルドの噂で聞いたのは、我が儘娘で気分屋だべ。

あぁ、後イケメン好きで側仕えはイケメンで囲んでて。

ショタ奴隷を良くこき使ってるそうだべ。」

ふと、夢で見た奴隷少年を思い出す。

…まさかね?

「日本人みたいな黒髪の見た目の坊やだからすぐ分かるべ。」

ホーエンさんが俺に分かりやすい説明をしてくれる。

どんぴしゃっぽい件。

慌てて、さっき見た夢を話す。

「予知夢?いや過去夢?

どっちにしろ、ヒントかもしれない。」

「ここで調べ直すのもちょっと情報が足らないかな。」

「もう少し過去に遡った方が良いかもしれないべ。」

「「賛成。」」

さらに一行は時間を逆行する事にした。



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