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隣の幼馴染は邪神ちゃんな件

軽めに

朝、まだ布団で微睡む午前6時。

俺、翡翠は布団ちゃんの誘惑に勝てずに、目覚まし時計を止めて二度寝を決め込む。

「起きるのじゃ〜!」

ドスン!

と言うか嫌な音を立てながら、俺の寝ている布団ちゃんへとアイキャンフライして来た輩。

小柄で、プルツヤの紅い唇。

あからさまに外国人と分かるサラサラストレートの紅い髪をツインテにしているつり目の美少女は、容赦なく俺を潰しにかかる。

「グエッ!な、何?」

変な悲鳴を上げ、俺は布団ちゃんの上を見上げた。

すると、勝ち誇ったドヤ顔である。

「邪神である妾が、直々に起こしてやったぞ。

褒めるが良い。」

自称邪神と名乗るのは、隣に住む幼馴染ジェインちゃんだ。

「普通に起こせよ…ジェイン…。」

言っても無駄だが止めさせようと試みる。

つーか、そろそろ中学生の健全な思春期男子の布団の上に跨るとか恥じらい無いのか疑問である。

布団越しでも、柔らかな感触は分かるわけで。

乗っかってくる衝撃も痛いのだが。

外国人だから、ボディランゲージも激しく。

抱きつきハグや、頬キスデコキスなんかマジしょっちゅうだった。

こんな美少女で、外国人体型で大人びた感じに巨乳でくびれてるから柔らかいし。

別の意味でもマジ拷問だ。

「こうせんと、そなた起きぬではないか!

却下じゃ却下!」

彼女がこんな風に妾口調になったのは、丁度小学四年の頃。

彼女は俺を配下の魔王とか言い出してから、こんな感じで俺にチョッカイかけてくるようになった。

とんだ厨二病である。

と、はじめはそう思っていた。

状況が変わったのは中学に上がった時だ。

校門から見えた景色に既視感を覚えた。

その後ホームルームでクラスメイトの名前を聞いて、俺は膨大な情報を頭に浮かべてしまい、失神した。

思い出したのは、前世の記憶。

魔王じゃないよ?

普通の日本人の女子大生だった記憶だ。

オウ!俺TS転生だわ。

しかも、ここ前世にやっていたRPGゲームの「暁の宇宙へ」と言う作品世界だった訳だ。

タクティカルシュミレーション系で、善←中立→悪のゲージが有って。

選択支や戦闘で殺した数で、仲間になるキャラとか進めるマップやEDが、変わるやりこみ系ゲームだ。

ガチガチのファンタジーと思わせて、敵のボスが人工月のダンジョンに構えていた超科学遺跡とか稼働させるSF要素とかも斬新なゲームでした。


因みに、何故か学園パートもあって、現代日本風の学校からスタートするけど。

実は魔法とかも有るし、人間以外の種族も通っていたりする。

色々詰め込んでたゲームだと思うよ。

そのゲームで裏ボスと呼ばれていたのが、邪神ジェインちゃんだ。

人工月のボスを倒すと、隠しシナリオが発生し。

ジェインと戦う事になるのだ。

超強いです。

カンストさせていても、気を抜くとヤられます。

お陰で、彼女が厨二病では無いと知りました。

俺?

俺は名前すら見たことなかったよ。

だからアレだよなぁ…アレって言ったらアレだよ。

モブってやつ?

ゲームのジェインが邪神に完全になった原因は、分からないんだけど。

大切な者の喪失って設定でかいてあったので。

俺はイケメンラスボスの事かなぁ?

などと思っていたりする。

ケルキアとか言うキャラだったかな?

今の無邪気なジェインからは想像もつかないや。

俺はモブだから、と、他人事に考えてたんだけど。

大切な者が幼馴染の俺の死とかじゃねえよな?

なんてふと考えて青ざめる。

まさかね?

「な、なぁジェイン、もしも俺が死んだら…お前悲しんでくれるか?」

うん、バコッと無言で殴られた。

なんたる理不尽!

まぁ、アホな質問だし仕方ないな。

その日は1日拗ねられて口も聞いて貰えず。

ご機嫌とり大変だった事を報告して置く。

…少しは悲しんでくれると信じたい!


ある日、イケメン主人公を見かけた。

図書館で本を読んでいた。

あいつはカナディア、何処かの王族の庶子設定だったような。

柔らかくそうな金髪が窓から射し込む光を纏うと、キラキラして王子様だと思える。

少し見とれたのは秘密だ。

クソイケメンめ!素敵です。

因みに俺は黒髪黒瞳と超日本人風だが、この世界に日本は無かったりする。

代わりに東方王国と言う小国があり、そこの出身扱いになっている。

後日、そのイケメン主人公は、隣のクラスだと判明。

彼は剣術部のエース的な存在で。

既に一年だというのにファンクラブが有るそうだ。

…ケッ!

俺は帰宅部で、のんびり登下校してます。

勉強は、特に勉強しなくても中くらいの成績をキープしてる。

まぁ前世のそれなりに勉強して良い学校に入って、余り遊べなかった反動かな?

やりたい事があんまり無かったんだよ。

でも、時々少し考えるんだ。

ここがゲーム世界に近いだとしたら。

一般教養とせめて剣と魔法は独学でも良いから、基礎鍛錬した方が良いんじゃなかろうか?

モブだなんだと考えてるけど。

俺はこの世界で産まれて生きてくんだしな。

そんな感じでいたら。

たまに寄る図書館で、主人公に顔を覚えられてた事を次の年に知る。

「君が翡翠君かい?

僕はカナディア、図書館で借りる本が良く被るから趣味似てるのかな?

って前から気になってたんだ。

良かったら話とかしてもらってもいいかな?」

などと自己紹介後に声を掛けられた。

女子だったら発狂モードだっただろうな。

本当可愛いなこいつ。

時々借りる本が被るらしく。

俺が先だったり、奴が先だったりして名前から覚えたのだそうな。

うん、二年で同じクラスになったら懐かれた。

カナディアはどうもワンコ気質みたいで。

やたらとかまわれるんだけども。

ジェインが猫気質なので、良くジェインとカナディアが俺と行動共にするために、時々モメている。

まぁ、ジェインが一方的に吠えてるんだけどね。

何だろうね、極端な主要キャラに絡まれてるよ。

それから少しして、中学三年生になった。

緑髪の双子の魔導師メイとマイと銀髪王宮騎士団長ドルクとその息子の騎士見習いガルクが、何故か母の氷雨に連れられて我が家にやってきた。

母は王宮文官の下っ端で仕事をしている。

部署ちがうじゃん!

でも彼らもゲームの登場キャラだ。

何だろう?

と不思議に思っていたら、どうも母はドルクさんと再婚したいみたいだ。

流石にドルクさんを、乙女の顔でチラチラ見てれば分かるよう、ママ上。

俺の父は、小さい頃どういう経由かは分からないが、亡くなっている。

王宮勤めなのを考えると、キナ臭いから俺は聞かないでおく事にした。

因みに、彼らは会社帰りに食事に招待した体を装って、俺と慣れさせる作戦らしい。

双子は母の支援で押しかけて来た模様。

そんな食事会を何度か繰り返して、母から再婚の話を聞かされた。

俺は特に反対しなかったので、そのうち再婚するだろうな。

ドルクさんは屈強なおじさまだが、少し不器用な生真面目系で、息子のガルクは良く似ている。

取り敢えず、ドルクさんと再婚したら。

ママ上だけは絶対守って貰える。

最上級のナイトと結婚したようなもんだしな。

ガルクは一つ年上なので、ガルク兄さんと呼んだり。

菓子を作って餌付けした。

ガルク兄さんは甘党なので、俺の趣味の菓子作りが役に立ちました。

今では時々お菓子作りを手伝ってくれるのだが。

うん、テンプレでな。

ガルク兄さん超不器用なので、ダークマターが出来てしまうため、主に洗い物を頼む感じにシフトした。

洗い物も、必ず何かを割るまでもテンプレです。

我が家の食器がピンチです!


そろそろゲームのストーリーが開始される高校一年に近づいた冬のある日。

俺は、下校途中で意識が途絶えた。

どうやら紫髪の美少年に攫われたみたいだ。

目覚めると、体育館倉庫くらいの小部屋に閉じ込められていた。

「邪神ジェイン様を覚醒させるには、君が邪魔なんだよねー!」

見た目はまだ幼いけれど、こいつラスボスのキルケアじゃん!

バシン!

イキナリ何か魔法をぶつけられる。

しかし、俺は硬直したけれど、全く痛みも衝撃も無かったから首を傾げた。

「な、何で当たらないのさ⁈

こんなモブ一発死だろ?

折角ボス転生したんだから、無双して主役乗っ取って、ジェインちゃんとかハーレム嫁にする野望が!」

なんかブツブツ言い始めている。

見た目イケメンなのに、正直言動キモいんですが…。

えーっと、これはもしや。

キモオタが転生した勘違い野郎って事かな?

発狂して騒いで魔法を打ち付けるが、謎バリヤーで衝撃は消され続けている。

何故弾かれているのかは俺には分からないが、正直助かった。

えーっと、キモオタに効くのは。

「お前みたいな性格も頭悪いキモオタ、ジェインやメイマイみたいな美少女相手にするかよ。

つーかキモいんだけど。

折角のイケメンキルケアを、ガッツリ残念仕様にしないでくれるかな?」

発狂が止む。

怒りが一回りして、何故か落ち着いたらしい。

「お前…転生者なのか?」

「さぁ、どうかな?」

「俺は一人じゃ無かったのか?」

「え?」

「同郷の者が居たのか…モブだけど。」

「モブで悪かったな!」

「俺はラスボスだから、殺されないように先回りして動いていただけだよ。

悪かったな。」

「本当かよ?」

「あぁ、まぁハーレムは作りたかったから否定はしねえが、キモオタはねえだろ?

お前口が悪いな。」

ニヤっと笑う。

先程までの毒気は無い。

「あぁ、なんかすまんかった。」

「しかしそのバリヤーすげえな、死なない程度に放った上位魔法を全部打ち消してたぞ?」

「俺もこのバリヤー良く分かんねえんだ。

それに殺す気かとばっかり。」

「お前人質に脅そうか程度に動いてたからな。

殺す気は無かったよ。

怪我は後で治すつもりだったし。」

何故かその後、俺はキルケアにも懐かれた。

多分、転生仲間意識だろうな。

転生者は理解してくれる人に飢えやすいし。

俺も多少はそうなのだが、モブだからか危機感は薄いみたいで思い詰めることも無かった。

色々聞いたら、世界破滅とかするとかでなく、行き当たりばったりだったみたいだ。

ただ、チート設定なので、これまでは上手く行き過ぎて調子に乗ってたんだと。

転生含めて腹を割って話せる身内も、ヤバイ事を止めてくれる友達も居なければそうなるよな。

俺の前世の流行り言葉が通じなかったら、今でもこいつは迷走してたと思う。

ちょっとだけ、そんな訳で仲良くなった。

「ジェインたん萌え!」

とかイキナリ叫ばなければ、もう少し仲良くなれたと思うのだが。

おかしいな、ラスボスの貫禄が迷子です。


暫くすると、高校の教師達が闇堕ちした。

ジェインもキルケアも動いていないのに、シナリオ補正がかかったのだろうか?


「なぁキルケア、関わってないNPCとか登場人物とかで、挙動不審な奴知らないか?」

「挙動不審なうごきか…。」

翡翠も一緒に考える。


今の所関わりの無い者。


ヒロイン枠の一人。

聖女見習いのスザンナ。

気弱で引っ込み思案の泣き虫で、孤児。

優しいカナディアへ片想いしている。


同じく神官見習いのダイレン。

生意気で貴族三男の口減らしで教会に居るのだが、本人は貴族気質が抜けずにいるいじめっ子。

大人しいスザンナをよくいじめているが、実はスザンナに片想いしていて自覚が無い。


ヒロイン枠の一人。

隣国オレキュア留学生、公爵令嬢マージナル。

カナディアに一目惚れな片想いしているが、オレキュアに婚約者が居る為諦めている。

気位が高く身分差別意識は薄い。

口調がキツめだが優しいツンデレな女の子。


この辺りはニュートラルで仲間になる。

要は普通に行動してれば仲間になる。、

難易度は低め。


次は善寄りの仲間、上位騎士ダレス。

気さくな面倒見の良いおっちゃん。

戦闘や冒険ルートで人助けや良い事をメインに動くと、助けてやるよ、と仲間になる。

彼がいないと、王城などに入れない。


上位神官トロワ。

ちょっと事務的な鬼畜メガネ風味なイケメンだが、彼に認められないと神殿内部に入れてもらえない。

仲間にする方法はダレスと同じで、更に、聖女ファーラを助けるイベントに参加する。

聖女ファーラは可愛いから人気だけど、神殿から出られないから残念ながら仲間にはなりません。

多分トロワがファーラに片想いしている、と言う裏設定があり。

束縛系ヤンデレ疑惑が浮上している輩です。


精霊術師のアロエと召喚術師のエアロ

双子の美人姉妹術師だが。

トラキア王子に仕えている。

トラキア王子至上主義。

二人を仲間にするには、トラキア王子と仲良くならなくてはいけない。

ダレス仲間後でないと登場しない為、難易度が少し高め。


因みに、トラキア王子はカナディアの母違いの兄弟。

トラキア王子は仲間にならない。

カナディアとトラキアの王位継承関連のイベントで、トラキアに王位継承権を認めさせれば善寄りに。

カナディアが力押しで王位継承権を勝ち取れば悪寄りにゲージが変わる。


最後に悪寄りでないと仲間にならない系。

盗賊のアポロ。

負けん気が強く、柄が悪いが仲間思い。

戦闘での行動や殺人や裏工作などが、悪寄りになると現れる義賊。

稀に中立でも現れるので、難易度は低め。

貴族や金持ちを嫌う孤児で、カナディアの幼馴染。


暗殺者のガーランド。

要所要所で現れる謎のアサシン。

善寄りだとシナリオにだけ少し現れるが。

悪寄りにゲージが変わると、イベントの戦闘画面でも出現する。

結構強い。

仲間にするには、三回戦闘画面で勝った後。

会話イベントをこなさないといけない。

いちいち面倒なキャラだが、仲間になると結構使えるし、仲間にならないとラスボス直前まで出てくるお邪魔キャラとなる。

ほとんど台詞なし。

戦闘画面の掛け声とか位しかセリフが無いので、ちょっと不遇かも。

付けている仮面の中身は美少女だけど、主人公たちは見た事が無いから知らない。

ガーランドは偽名。

本名はアリーシィア。

ジェインの姉だ。

大和撫子的な優しいお姉さんなので、気がついた時は愕然とした。

彼女は殆どジェインと暮らしておらず。

年に1・2度訪ねてくる位で、何してるのかも不明だ。


そんな訳で、この辺りがきな臭い登場人物だ。

尚、モブで怪しいのになると、範囲が広がりすぎるので少し観察する事になった。

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