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契約で結ばれた、異世界道中  作者: 中野 翼
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3.精霊竜

『それじゃあ、あらためて自己紹介するね!僕達は【調整者】、こちらの世界では【小精霊】って呼ばれているよ!』

「どうも。たぶんセイヤと言います。前世の記憶が洗浄されているので、姓はわかりません」

【調整者】から自己紹介されたので、とりあえず自分の方も名乗ってみる。もっとも、この名前はソフィアさんが最後に呼んでいた名前なだけなので、本当のところは僕もわからないけど…。


『それは安心して良いよ!その名前は正真正銘君のだから♪』

「……そういう連絡がこちらにもきているの?」

あの方とやらから?


『違うよ!セイヤは記憶を洗浄されているから忘却していると思うけど、僕達は会ったことがあるんだよ!』

「そうなの?」

『うん!ただその時は、僕達はこの姿じゃなかったけどね』

「?」

『昔の話しはあの方に再会してからにしようよ!それよりも、今の話しをしよう?』

「……わかった」

たしかに僕に昔の記憶が無いいじょう、昔の話しを話題にされても返答に困る。


「それで、今の話しって?」

僕をここに連れて来た理由でも話してくれるのかな?


『うん、そうだよ。セイヤ、どうか僕達のお願いを聞きて。どうか助けて欲しいんだ』

「助けて?僕が?【調整者】達を?」

とてもではないが、ろくに記憶もない自分が彼らの助けになれるとは思えない。


『ううん、違うよ。助けて欲しいのは、僕達自身じゃないんだ』

「では誰を?」

『【王】達をだよ』

「【王】?」

これはそのまま、何処かにある国の王様達を助けてほしいってことなのかな?それとも……。


『後者だよ。僕達が言っている【王】は、僕達【調整者】と同じような種族的な名称というか、称号を持っている者のことだよ。もちろん【王】って称号が付くくらいだから、国や臣民を持っている【王】もいるけどね。けど、人間達の政治的な王とは完全に別枠だよ』

「へぇー、そんな存在がいるんだ。さすがは異世界」

やっぱり魔王とかかな?それとも称号とかなら、剣王とかもありそうだよね。


僕はざっとその【王】について想像した。


『どれも正解。人間達からは魔王と呼称されている【王】もいるし、その職業を極めたタイプの【王】もいるよ』

どうやら僕の想像は当たりだったらしく、【調整者】に肯定された。


「【王】というものについてはなんとなくわかった。けど、なんで【調整者】が助けを求めるの?その助けてもらたい【王】というのは、何か重要な存在なの?」

『ううん』

「えっ!?」

助けてほしいと言っていたのに、なぜか違うと言われた。


『この世界の状勢的には重要だけど、僕達にとってはそこまで重要じゃないよ』

「それならなんで助けを求めてるの?」

『セイヤが契約する相手にどうかと思って』

「僕の?」

『うん!【王】の力はこの世界では上位に入るし、その助けてほしい【王】達は現在封印されてるんだ。その封印から解放することを条件にすれば、わりと簡単に契約してくれると思って』

「まあ、たしかに自由を対価にするのなら、わりと簡単に契約に同意してくれるかもしれないですね。けど、その【王】はなんで封印されているの?何かやらかしているんじゃないの?」

『そんなたいしたことはしていないよ?ただたんに、人間達が彼らに魔王のレッテルを張り付けて封印したんだよ』

「ああ、よくあるタイプの押し付け魔王なんだ」

国の問題を他人に押し付ける責任転嫁。小説の設定ではよくあるタイプの話しだ。何の罪もない。むしろ、まともな相手を悪役にする不条理なやつ。


『うん。だからセイヤに契約の相手として勧めてるんだ。さすがに話しの通じない相手や、性格が破綻しているようなのは僕達も勧めないよ』

「まあ、そんなのを押し付けられても、僕としても困るよ。そういえば途中から気になってたんだけど…」

『何が?』

「途中から【王】達って、言ってたよね?」

『うん、言ったよ!』

「その助けて欲しい【王】って、複数いるの?」

『いるよ!まあ正確にいうなら、セイヤの契約相手の候補が複数いるが正解だけどね!』

「その人達は何処にいるの?」

『今セイヤが居るここ、僕達の領域の中だよ!』

「それはなんと言うか、随分と都合が良いね」敵地にいるよりは良いんだけど、何か都合が良すぎる気がする。


『まあ、元々は違ったんだけどね』

「どういうこと?」

『彼ら【王】達の封印場所は、現在でもそれぞれ他の【王】達の封印された場所からかなり離れた場所にあるんだ。だけど、僕達が自分達の領域をどんどん拡大させていった結果、その封印された地域を丸ごと僕達の領域に飲み込んじゃったんだよね』

「ああ、なるほど、そういうことか」

【王】達は別段近場にまとめて封印されてはいないけど、【調整者】達の領域内には複数の封印地が内包されているから、先程の区分だとそんな感じの言い回しになったわけか。


「ちなみにだけど、現在の君達の領域はどれくらいにまで広がってるの?」

『そうだなぁ?……ここを基点に、山を九つ、火山を七つ、雪山を五つ、谷を四つ、森を八つに、湖を三つ、砂漠を一つ程は取り込んじゃってるかな?』

「いっ!」

なんか予想外というか、予想以上の範囲が彼らの領域のようだ。というか、どうしてそんな異なった環境が一つにまとまっているんだろう?


『僕達の影響と、元々の環境属性が偏ってたからだよ』

「そういうものなの?」

『魔法世界だと、わりとよくあることだよ』

半信半疑で確認したら、常識だよっという感じで答えが返ってきた。どうやら、ここではそういうもののようだ。

僕の中の常識が、少し更新された。


「君達の領域が恐ろしく広くて、バラエティーにとんでいることはわかった。それで、その中に封印されている【王】達は具体的には何人いるの?」

『四人だよ!東西南北にそれぞれ一体ずつ封印されてるんだ!』

「…四人か。多いんだか、少ないんだか」

『封印されている全体数を考えると、わりと多いと思うよ?』

「そうなの?」

『そうだよ!』


どうやらそれなりの数が封印されているみたいだ。


「それで、その封印というのは今から解きに行った方が良いの?というか、僕に封印を解くような技能の持ち合わせはないんだけど?」

『そこは大丈夫だよ!封印具を引っこ抜けば解けるタイプだから!』

「ああ、それなら大丈夫だね」

でも、そんな簡単に解けるような仕様の封印ってどうなんだろう?


『そこは封印具の性能の問題だね。それと、封印の解放はいつでも良いよ!だけどボーナスステージに等しいから、封印解放しておけばスタートダッシュを決められるよ!』

「スタートダッシュ…。それなら今から行ってみようかな?オススメの行く順番とかはある?」

『とくにないよ。何処から行っても大丈夫!だけどセイヤなら、複数のヶ所にわざわざ行く必要もないよ!』

「それはどういうこと?」

今は一つの封印を解くだけで良いってことかな?


『違うよ。ねぇ、【箱庭】、さっさと融合しちゃってよ。僕達の方の調整は終わってるからさ』

『了承。区画選択。展開範囲及び位置を指定。任意対象区画の接続切り替え、環境変更を並列処理。<実行>』


僕がそう考えていると、【調整者】は不意に視線を僕からダンジョンコアの方に移した。そして、【調整者】がダンジョンコアのことを【箱庭】と呼ぶと、今まで話せるとは思っていなかったダンジョンコアが、無機質な声で何かシステムメッセージのようなものを羅列し始めた。

そして実行宣言されると、ダンジョンコアを中心に無数の線。何かの回路図のようなものが周囲に広がっていった。


『これであとは待っていれば良いよ。終わったら早速向かおうね♪』

「う、うん」

何かよくわからないけど、何かが進行しているらしい。

僕はとりあえず、言われたようにすることにした。



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