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契約で結ばれた、異世界道中  作者: 中野 翼
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プロローグ3

『スキルも決まったことだし、早速【スキルシード】をあげるよ』

ソフィアさんがそう言うと、僕の目の前に虹色の水晶が出現した。その水晶はゆっくりと僕に近づいてきて、そのまま僕の心臓の辺りに触れると、僕の中に吸い込まれていった。


『これで君は【契約】のスキルを使えるようになったよ』

「ありがとうございます」

『それじゃあ早速試してみようか。これに触れてくれるかい』

ソフィアさんがそう言うと、今度は透明な水晶玉が目の前に現れた。


「なんですか、これ?」

『ダンジョンコアだよ。スキルでダンジョンを造るのは無しになったから、このダンジョンコアと契約してダンジョンマスターになってほしいんだ』

「なるほど。わかりました」

僕は一つ頷くと、ダンジョンコアに触れた。すると、頭の中で何かの情報がやり取りされはじめた。


「なんか頭の中でいろいろと渦巻いているんですけど、これってなんなんですか?」

『心配はいらないよ、ただ君とダンジョンコアの間でリンクが形成されているだけだからね。すぐに治まるよ』

「そうですか。……あの…」

『なんだい?』

「契約って、お互いの条件をすりあわせて成立させるものですよね」

『そうだよ』

「今の僕に、ダンジョンコアにメリットを提示出来るんでしょか?」

『それは今回は気にしなくて良いよ。ダンジョンコアの契約によるメリットは、君と契約すること自体だからね』

「というと?」

『このダンジョンコアは私と同じ【玩具】なんだ。だから私同様、あの方を喜ばせることが役目。君があの方を楽しませてくれれば、それでおつりがくるんだよ』

「そうなんですか、わかりました。頑張ってみます」

『よろしくね。さて、リンクを形成している内に他のアイテムも渡しておくよ』

ソフィアさんがそう言うと、今度は複数の物体が僕の目の前に現れた。

一つ目は流線型の白銀の西洋鎧。

二つ目は厚手の黒いローブ。

三つ目は辞典のように大きな本。

四つ目は虹色に煌めくシンプルなリング。

この四つが僕の目の前にある。


「なんなんですか、この鎧とかは?」

『君にプレゼントする、お役立ちアイテム達だよ』

「お役立ちアイテム?」

ローブと本はともかく、全身鎧やリングがお役立ちアイテムになるんだろうか?

『それは今から説明するよ。まずは君から見て一番左側にある鎧。その鎧は【星竜の鎧】といって、私の同胞の鱗を材料にして製造されたものなんだ。スペックとしては、まずは硬度が惑星の核並だね』

「惑星の核って……」

それってどんな硬度なんだろう?


『まあ、材料が星竜の鱗だからね。次に重さだけど、星竜には重力操作能力があってね、この鎧もその能力を受け継いでいるんだ。だから、羽根のように軽くすることも、惑星並の重量にすることも出来るんだよ。普段は服程度の重さで使うのがオススメだよ』

「そうですか」

『今知っておくべきなのはこの二点くらいだね。他にも能力はいろいろあるんだけど、他の能力は自分でいろいろ試して見つけてみてよ。その方が楽しいだろうからね』

「そうですね、宝探しみたいで楽しそうです」

『わかってるねぇ。次はその隣にあるローブについてだよ。そのローブの名前は【星天のローブ】。物理防御特化だった【星竜の鎧】とは逆に、魔法防御特化の装備だよ。基本的な火・水・風・土属性魔法への耐性はもちろん、複合属性やユニーク属性の魔法への耐性も完備している優れものだ。もちろん耐性以外の性能も折り紙つきだよ。その一つが、星の力を吸収して君の魔力に変換する能力だ』

「星の力を僕の魔力に変換する能力?」

『そうだよ。さっきはサラっと流したけど、君は魔力関係も向こうの規格と合っていないんだ。だから、この【星天のローブ】を使って魔力を確保出来るようにしないと、向こうの世界で君は魔法が使えないんだよ』

「そうなんですか!」

『そうだよ。まあ、それはしかたがないよね。だって、君の前世の世界には魔力や魔法なんてなかったんだからさ。魔力を生み出す器官も、魔法を制御する為の器官も必要なかったんだからね』

「そうですね。無いものを扱う器官なんて、進化の過程では発生しようがないですもんね」

逆にあったら驚きだ。

『今知っておいてほしい機能はこれくらいだね。このローブにも鎧と同じくらい隠し要素があるから、後々いろいろ試してみてよ』

「はい!」

『次はその隣の本について。本のタイトルは【星導のグリモアール】』

「【星導のグリモアール】。魔導書ですか?」

僕の中にある知識では、グリモアールは魔導書という意味があった。


『まあ、魔導書かな。これは君が知ったことを自動書記する本だよ』

「自動書記?」

『そうだよ。君が向こうの世界で何かを知る度に、その内容がどんどん記録されていくんだ。ゲームでいう、ギャラリーとかが近いかな。もちろんただそれだけじゃなくて、記載された内容の関連情報も自動的に記載されるんだ。中には、向こうの世界では知られていない情報とかも記載されることがあるよ』

「へぇー、たしかにそれは便利そうですね」

『だろう。あと、その本は魔法やスキルの触媒にも使えるよ。その本を使えば、魔法の威力や範囲をかなり向上させられるし、契約の補助も可能なんだ』

「おおっ!さらに便利そうです」

『うんうん、喜んでくれたみたいで嬉しいよ。最後は一番右側のリングについてだね。名前は【星巡の輪環】』

「どんなアイテムなんですか?」

前の三つからして、これも期待が持てる。


『まずは病気や毒、麻痺なんかの状態異常を防止する効果だね。向こうの世界は医療技術が未発達で、君の前世の世界のように病気や怪我を簡単には治せない。状態異常攻撃を仕掛けてくるモンスターも多いから、毒なんかへの対策は必須なんだ。このリング一つで、君の健康的な生活を約束するよ』

「病気や状態異常への対策。たしかにその効果は絶対に欲しいですね」

向こうは僕の知らない未知の世界。その世界特有の未知の病気にでもなったりしたら、自分じゃどうしようもない。

だからこの効果は、今までで一番役に立ちそうだ。


『二つ目の効果は肉体的、精神的な疲労やダメージの緩和・軽減、それと回復だね。知らない土地ですごすのは、とてもストレスがかかるものだから、これらの効果も外せないよね』

「そうですね、これもありがたいです」

未知の世界に行けば、大なり小なり環境の違いや生活の違いによるストレスは受けるはず。地味だけど、とても助かる効果だ。


『三つ目の効果は、収納用亜空間だよ』

「収納用亜空間?」

『君が知っている概念だと、アイテムボックスが近いかな。ただし、これには入れられる上限なんて無いし、個数、質量、重量、性質なんかも関係ないんだ』

「おおっ!それも便利そうですね。けど、なんでバックとかじゃなくてリング型にしたんですか?」

『携帯性や隠蔽性、世界的な違和感がないように考慮した結果だね』

「携帯性と違和感はわかりますけど、隠蔽性というのは必要なんですか?」

『バックとかだと盗まれる可能性があるからね。肌身離さず持っていられて、袖なんかで簡単に隠せるリング型が最適だと判断したんだ』

「なるほど」

『この効果は今から試してみようか。目の前にあるアイテム三つに、それぞれ触れてみてくれるかい』

「わかりました」


僕は言われたとおり、【星竜の鎧】【星天のローブ】【星導のグリモアール】に順番に触れた。

すると【星巡の輪環】が淡く光り、三つのアイテムが掻き消えた。


『動作は問題無いね。じゃあ次は、取り出したい物をイメージしてごらん。取り出す場所も指定出来るから、直接装備することも可能だよ』

「やってみます」

僕は【星天のローブ】が自分に重なるようにイメージした。

次の瞬間、僕は厚手のローブをまとった状態になっていた。


『こちらも問題無く成功したみたいだね』

「はい。うん?」

僕がそう言った直後、心臓が一度一際強く脈打った。


『それからダンジョンコアとのリンクも確立出来たみたいだし、次はダンジョンコアのことを説明するよ』

「お願いします」

どうやら今のは、リンクが確立した結果のようだ。



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