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Begin-2〜ジョンズタウン、白昼の悪夢〜

動く死体、リヴァイヴァーに支配されつつある地球。心臓を患う父の為に故郷へ戻った元海軍兵士、リュウジ・P・カガは薬の調達のためアメリカ中部の小都市、ジョンズタウンへと向かった。人を襲う死体が無数に蠢く都市で、果たして彼は目的を完遂できるのだろうか・・・?


2028年 8月 同日 ジョンズタウン アンモー・メモリアル・メディカル・センター


アンモー・メモリアル・メディカル・センターはジョンズタウンでも有数の大病院だった。建物は少々歴史を感じさせる年期の入った造りで、病院ならではのトラブルはあるもののスタッフや医師の誠実な対応はジョンズタウンの住人からも信頼されていた。


数年前までは。


今では至る所に血のこびりついた跡が残り、床には書類をはじめとした正体のわからぬものが転がる腐臭漂う地獄と化していた。もっとも、世界的に見ればまだ生温い方かもしれないが・・・。

そんな地獄と化したセンターの一角である薬局にリュウジはいた。愛車のハーレーは郊外の目立たぬ場所に隠してきた。ここまでの道のりは徒歩ではあったが、ジョンズタウンは立地上遮蔽物も多く、またメディカルセンターは比較的郊外にある為、部隊経験のある彼ならば気をつけていればそこまで手こずらずにたどり着くことができた。その道程で何体かのリヴァイヴァーを(ほふ)ったが、首尾よく他の連中には気づかれずに済んだ。

薄暗い薬局の中で、消毒薬や目当ての薬を一通りバックパックに詰めつつ、リュウジはこれからのことをぼんやりと考えていた。

ーここまで着たなら、できれば食物や銃弾も手に入れておこう・・・・。たしかここにくるまでのクーガーストリートに大きなショッピングセンターが有ったはずだ・・・。あそこならまとめて手に入れることができるはずだ・・・・。しかし、いつまで続くだろう・・・・。手に入れてもいつか終わりはくるだろう・・・・。それならば手に入れる意味はあるだろうか・・・・。父はいつまで生きるだろう・・・・。そうしたら自分は・・・・。いや、考えたらダメだ。今は・・・今は父と生きることを考えなければ・・・しかし・・・・


ドォーーン


そのとき、銃声が響き、リュウジを現実へと引き戻した。

ー悲鳴?こんな街に生存者が?空耳だ。そんなはずがない。生存者なんてこんな所には・・・。

瞬間的にいくつかの疑問と、それを打ち消すように否定が生まれる。いや、むしろ、リュウジは打ち消したかった。今の時代、恐ろしいものはリヴァイバーより人である。そんな状況にリュウジは嫌という程直面してきた。だからこそ、どうか生存者などいないでくれ、と願った。

しかし、現実は無情だった。

「うわああああああ!くるなあああああ!!」

今度ははっきりと、悲鳴が聞こえた。今いる棟から割と近い・・・。

リュウジはバックパックのファスナーを素早く閉めると、用心深く薬局から抜け出た。


非常階段から表に出ると、ちょうど表通りに車が見えた。

脇には銃を構えた男と女、そして老人が見える・・・。そして車の中には子どもがいた・・・。

愚かな事にメインストリートを車で走ってきたらしい。

ーあれでは、囮同然だ・・・。

女と老人はともかく、男は震え、叫び声を上げながら銃を撃っている。その音を聞きつけて、病院の中にいたリヴァイヴァーまでもが続々とメインストリートに集まり始めていた。

ー放っておくか・・・・。どちらにせよこのまま放っておけば死ぬだろう・・・。下手に助けるのは危険だ・・・。なにより関われば父にも危険が・・・・。

その時、車の中の子どもと目が合った。まだ年端もいかない少年だった。小学生くらいだろうか?白い肌に綺麗なブラウンの瞳。その顔は蒼白に、その目は恐怖に染まっていた。しかし、リュウジを一心に捉えている。そして、口が動いた。


に、げ、て


考えるより早く、リュウジは非常階段から飛び出していた。

着地と同時に、真下にいた一体のリヴァイヴァーの頭部にナイフを突き立てる。

そして、瞬時に引き抜くと、体を回転させ二体目のリヴァイヴァーの側頭部にナイフを突き立てた。

それはまさに電光石火の出来事であった。

ナイフを引き抜きざまに、周囲のリヴァイヴァーには構うことなく車までの道を走る。

女が驚いて銃を向けた。

「撃つな。」

彼はそう静かに言い放ち、車にたどり着くとボンネットの上に体を滑らせ、運転席側に回った。リヴァイバーが迫る。しかし、彼は落ちついてかわすとナイフを握った手でリヴァイヴァーにジャブを打ち込み、回し蹴りを決めた。

そして、素早く運転席に体をすべりこませると、

「おい!乗れ!!早く!!」

と外にいる三人に声をかけた。

三人は我に返ったのか、慌てて車に乗り込む。

しかし、後ろにいた男はよほど震えていたのだろうか。足がもつれている。男にリヴァイヴァーの手がかかる。

「サム!!サム!!!お願い!!彼をおいていかないで!!!」

助手席の女がすがる。

リュウジは無言でアクセルをふかすと、バックミラー越しに後ろに座る子どもを見つめて

「おい、お前、奴をひきこめ。できるな?」

と静かに語りかける。

少年は少し驚いたあと、戸惑いながらもうなづいた。

リュウジは少年がうなづき終えぬうちに思い切り車をバックさせた。数体のリヴァイヴァーが吹き飛ばされ、車が男の目の前で止まる。そしてすぐに、車のドアが開き、少年と老人が男を引き込んだ。リュウジは男の体が車に引き込まれたことを横目で確認すると、素早くフロントにギアを切り替えた。ふと、前から視線を感じ、視線を移すと、数体のリヴァイヴァーがボンネットに迫っていた。その中の一体が口を開く。


「・・・・ご・・・・ご ン  に ぢワ・・・・・」


リュウジは無表情で

「どうも。」

と返すと、エンジンをふかし、車をドリフトさせリヴァイヴァーを蹴散らした。

そして、そのままスピードを殺すことなく表通りを北へと走らせる。

後に残るものは、無数のリヴァイヴァーのうめき声と、舞い散る砂埃のみであった・・・。

初のアクション描写です。これまでもセリフでアクションを描写したことは有るのですが、全く違いますね!!

頭に映像は浮かんでいるのですが、躍動感ある文字にするのは全く別次元だなあ・・・と。

そして、リュウジ君が口を開いたのですが、ほんとぶっきらぼうだなあwww本当はもっとアメリカパニック映画的な爽やかな青年になるはずだったのですが・・・なぜこんなにぶっきらぼうになったんでしょう・・・。

さて、新キャラも何人か登場しましたね。次回、その正体は明かされます。


ってか、まだあらすじの中盤も終わってないんですけど・・・これ、いつ終わるんだろう・・・。こえ部のお題の前段階なんですけど、いつ追いつくことになることやら・・・頑張ります・・・。


それと、評価をくださった方!!!本当にありがとうございます!!グロすぎてむしろだれが読むんだ・・・って思っていたのに評価まで頂けて本当に嬉しいです!!


これからもっとグロくなるかもですが、どうぞお楽しみください・・・フヒヒ・・・

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