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骨董は魔の沼?

作者: 舜風人

あのなあ。


骨董ってのは


沼なんだよう。


魔物が住んでる沼なんだよう。


だから


一度その沼にはまってしまうと、さあ。


はまって抜け出せなくなるんだようう。



だからさあ、


決して骨董なんかに近づいちゃあ、なんねえぞ、



骨董なんかにはまったら


身上つぶして


夜逃げして


首くくって終わりだぞお。




さて前置きはこのくらいにして、、、、、、、。








日本民芸運動の第一人者『柳宗悦』もそんな人であった。


そもそも民芸運動とは


朝鮮の李朝の雑器に柳らが民衆のたくまざる美があるという


美の再発見をしてから


李朝白磁の提灯壺だの、堅手茶碗だのが見直されて


観賞用陶器の位置づけを得たことに始まる。


その後柳の関心は


琉球の古布に移り


那覇の朝市で


大量の古着を買い集めることになる。


もちろんそれらだけではない、


民画や


民衆陶磁器など


彼が美しいと思ったものを


精力的にそれこそ


借金してまで買い集めたのである。


そんな彼が


蒐集の極意についてまとめたエッセーがこれ


「蒐集物語」である


彼は蒐集を常軌を逸した行為と位置付けている。


まとまな打算が働いて


理性的に醒めていたら


こんな役にも立たない古物を


誰が高い金出して購うだろとまで


彼は書いているほどだ。


そもそも、


民芸の美は


庶民の美というが


さて


そんな柳の卓論には異論も多いのである。


たとえば、


代表的な異論はこうだ。


そもそも、


名もなき、無学な


陶工が


食うために


裸・裸足で


多数こしらえした賃仕事で


拙速で


いい加減な


焼き物に・民芸品になど、


そもそも美なんてありうるのか?


これらの陶工たちは美を求めて作陶しえたとでも言うのか?


という意見だ。


民衆の美といえばかっこいいが


それは知識人柳の民芸幻想というか。


思い入れ、というか


思い込み(曲解?)だったんじゃあないのかという。


たとえば、


自然の景色で


偶然に


何らかの意匠がモチーフされたような


いわゆる絶景がありますよね?


民衆の美なんて


いわばそんな偶然の産物なんじゃないのか?


それを美の達人


柳が、いわば


かくあってほしいと思いを込めて、


見立てて


思い込んで


是こそたくまざる民衆美と


憑りつかれて幻想を見ただけなんじゃあないのか?



確かにそれを作った貧しい陶工は


美術作品を創ろうなんて


まして美を追求しようなんて


これっぽっちも


思っていなかったはずだ。


食うために


皿や鉢を、徳利を


汗水たらして


量産していただけじゃあないのか。


だから


たとえば江戸時代の


名工や


画伯が作り出した


美術品とは


明らかに月とすっぽんである。


瀬戸の石皿と、


仁清の香炉を比べるまでもないだろう。


瀬戸の石皿なんて


胎土が悪いし、分厚くって作行も悪いし


陶技だって三流でしかないだろう。


馬の目皿だって、ただぐるぐる楕円が描いてあるだけで


まあ、今でこそはシュールな美?とも言えるけど


あんなの当時は、時間節約で絵柄をゆっくり細かく丹念に描けないから


省略して書いただけのことだったんだからね。


だがあえてそんな手抜き?雑器にも


柳は


民衆雑器の美を提言し続ける。


確かに言ってることは崇高だが


さて


日本民芸館に行って


大捏鉢やら、


民画やら


石皿なりを


見ても


これが崇高な美術品とは


美の体現とは


素直に思えるだろうか?


ここが民芸運動の弱いところでもあるか。



しかし、それはさておき、


蒐集家としては


柳は


傑出していることは確かだろう。



彼は言う、


「常軌を逸しないくらいでなければよいものなど集まらない」



『夢中になって踏み外すくらいでないと、収集の楽しみの極意には程遠い」


『借金してまでも欲しいと思わなければよい収集はできない」


『骨董屋の上を行くくらいでなければよい収集はできない」




おっと?


これは相当やばいですよね。



確かに世間で不要な品物、それが骨董品です。


骨董品なんて、なくたって日常生活送るのになんら、


全く困らないのです。


そんなものを取りつかれて大金出して集める、、、


あなたって?


殆どビョウキでしょ?


やはり骨董には


魔物が潜んでるんですよ、


くわばら


くわばら。


そんなものには近づかないようにしましょうね。


何?


それでもやりたい?





いわく、


古美術の美は


永遠の歓びですって?




古美術品は人類永遠の


不朽の財産ですって?




ああもうだめだ。


この人、骨董病で



よほど、重症ですよ。

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