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アリス序:少女の約束


規則正しく、機械音が部屋に鳴り響く。



その中に一つ、嗚咽混じりに荒い呼吸が入り、なんとも不快で悲しいメロディーが流れていた。






ベッドに横たわった少女と、それに被さるように突っ伏した少女。




微かに聞こえる、2つの声。



『ごめんね、姉様』


『ごめんね、助けられなかった』






規則正しかった機械音は、その音の間隔を広めていく。


それに比例するかの如く、呼吸は、最早言葉を発せない程度にまでに達していた。






横たわった少女が、独り言か、譫言か、はたまた突っ伏した少女に言ったのか、判別出来ないような声で口ずさむ。






『姉様の涙は金一枚

 私の体は金五万枚


 姉様の涙は神より尊き

 私の体は塵よりも屑



 だから姉様泣かないで

 尊い涙を捨てないで



 姉様の涙は金一枚

 私の体で貴女の涙を買いましょう



 お願い姉様泣かないで

 醜い体は天へと舞うわ・・・』






機械音が、連続して流れる。




病室の外の歓声を耳に入れず、突っ伏した少女は立ち上がり、横たわった少女に付いていた器具を毟るように取った。






歓声を上げた彼らが病室へ入ると、何も無いベッドの上に、窓から入ってきた桜の花びらが待っていた。

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