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XVIII 染まる、至高の無色
さあ闇に撒け
色のない焔を
落ちぶれゆく名残惜しい朱に変えるだけ。
たった一縷の相転換。
ちょんと爪先で弾いてみれば。
きっと何も鳴らない音がする
残り香は消えない。
目に映る瞬きは常に過去と未来を両睨む
少なくとも意識下に潜った燈は、
その残滓がこの永年の潰えるまで、
頭痛を伴って神隠れし、
何物でもない を苛むのを止めはしない
現行過程を踏み台にすると決めたときから、
すでにこの道は故郷となった
目の前に開けるは道のない陸。
言うなれば一面の世界は僕のもの
意気揚々と足を踏み出し、
そして気づくのだ。
この180°に僕は含まれていない
だって景色が変わるもの。
だって僕は視界の前に居ないもの。
だからきっと後ろには……
ふと、
身体に残る血脈とその匂い。
振り返れば誰もいないことはわかりきっているのに、
誰かがいるかもしれないことを否定することは叶わないから。
そこで反転する。
世界は今、真に僕のもの。
we cannot have too much temptation in the world.