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XV 地平線へ
ほら、ここにあるよ
見えないけれどあるものが。
ダークマターは見えないけれど存在する
質量を持って必死に存在を知らせてくれるのに。
僕らは悲しいかな、
剥がせないたった一枚のマジックミラーに邪魔をされるしかない。
気づかなくとも、
質量を持つ思いが、
思惑を持つ物質が、
いつだって僕らを支えるのに。
気づけないことに既に気がついてしまった僕らは
何を思えば良いのだろう
何を質量に変えて飛ばせば良いのだろう
きっと本来何も見えなかった瞳が、
こうして何かが見えない瞳になって、
きっとまた何も見えなくなるのだ。
すべての具現化された思念を見ることができるようになったとき、
見るしかできなくなったとき、
世界は実質無となって、
弾け、
やがて38万年の時を経て、
晴れ上がるのかもしれない。