8、「脱いだ」
私…じゃなかった「ボク」は好きなものに正直で居たいだけなんだ!!
「うぅ…ウズメちゃんの所為で恥ずかしい思いした…」
「ならば脱げば良い」
「こんの痴女が…!」
「なぜだ 脱ぐ事は恥ではない」
ボクは花も恥じらう乙女「ヒカネ」!好きなものは読書と「クナ様」と…ボクのジグである「ウズメちゃん」!
「ウズメちゃんがそうでもボクの身体なんだから!ボクが恥ずかしいの!」
「慣れると癖になる」
「そう言う事じゃない!!」
クナ様と言う伝説のアーティストに憧れて、ボクのジグも意識したダンサーなのだけど…この脱ぎ癖だけはどうも認められない。
「ふむ 難しいなヒカネは」
「お互い様だよぉ…」
頭を抱えてしゃがんでしまう。逃げるように出てきてしまったけど、タツキちゃんに悪いことしちゃったかな。あとで謝らないと…
「よぉヒカネ!あんまり遠くに行ってなくて良かった!」
上からタツキちゃんの声がする。どんな顔して返せばいいかわかんないよぉ…
「さっきの人 お前の事気に入ってたぞ」
「…えっ?」
「『これから新しいアイドルグループを作るから もし良ければ入って欲しい』だってさ」
「えっ…えっ え〜〜〜〜〜っ!!!!!!」
アイドル、私が?なんで?どこを見たらスカウト要素なんてあるの!?私見た目は地味なのに…。
「アタシはヒーロー業で忙しいし ヒカネも偶には身体動かせて良いんじゃないか?」
「そ…そりゃやってみたいけど…私なんかが…」
「そっか それは良かった」
第三者の介入に変なポーズで振り向く。
「僕はいすゞ こっちが大牙で これが狐さん」
ぬいぐるみのような狐を頭に乗せた、落ち着いた女性とその女性に隠れるイケメン少年が居た。
「うわぁ!!なんでぇ!!!!」
「面白い奴じゃな 食ってしまおうか」
「やめてぇ!食べないで!!」
「こら狐さんからかわないの」
「冗談じゃ これから仲間になるなら隙を見て食うかもしれんがのう!」
「ひぃっ」
突然いすゞさんは深くお辞儀をした。狐さんはそのまま地面に叩きつけられる。
「いっった!!」
「ごめんね狐さんもテンション高くなっててね また落ち着いたら連絡するよ」
そう言って連絡先の書かれたメモを渡される。
「楽しみにしてるよ またね」
「またね」…まさかカウンターされるなんて…。
「うぅ…どうしよう…」
あれから何日経っても連絡する勇気が出ない。折角のお誘いだしもう一度だけ話してみたい。でもそこで可笑しな子だなんて落胆させたくないし…。
…深く深呼吸して「能力」を使って考える。ボクは時間を「止める」事が出来る。と言っても、ボクの脳しか動かないけどね。時を止めて何分、何日、何年でも考えることが出来るんだ。大体孤独に負けて数秒で解除するんだけどね。
そして導き出すのはその時に必要な「ポーズ」。恥ずかしいポーズになる事が多いけど、大体何かは良くなる。不幸が起きないから結果は分からないけど、おまじないみたいものかも。一旦解除してこのポーズを…拳を横に突き出すだけ。これなら恥ずかしくない
「ゲホォ…」
「わー!!!ごめん!!!」
拳はそのままタツキのお腹に捩じ込まれた。
「ご機嫌な挨拶だな…ヒカネ…」
「ごめん!!いつものなの!!」
「アタシは分かってるから…心配すんな…」
お腹を抑え疼くまるタツキ。担いで保健室へ向かう。
(急患だな 脱ぐか)
「脱がないから!!」
ウズメにツッコミながら急いで廊下を走ると、ある人物とぶつかってしまう。
「ぐはっ…ごめんなさい!!!」
顔も見ず頭を下げて謝る。恐る恐る顔を上げると…
「廊下は走るものではないのだろう 気をつけろ」
「へっ…蛇!?」
怪しげなローブから大量の蛇が見え隠れする、化け物だった。
「はっ…はっ…」
動転して考えることをやめたくなる。そのまま背中から倒れそうになった時、後悔する。
(あっ…これ終わった…)
「出番だな 脱ごうか」
人格が「ウズメちゃん」に切り替わる。こうなると、ボクはとんでもないことになる。




