邂逅:「カムイ」
「聞いてくれよ!俺の『ツッきゅん』が……」
ここはとある食堂。夜には酒も提供する為、溜まったものを吐き出さんとする客で賑わっていた。
「ツッきゅんが…男を知った……!」
「ブッ……嘘だろ!?」
『スサノオ』の魂の叫びに、聞いていた男は焼酎を吹いた。
「相手は!?」
「『ふみや』……とか言ったか?」
その男は強くグラスを机に叩きつけた。グラスは割れ、そこにいた客が一斉にその方向に注目する。
「そ…そんなワケないだろ……」
「おい…まさか知り合いか?」
「あぁ……」
男は立ち上がり、怒りと絶望の混じった表情で言う。
「俺の……娘の許婚だ……!」
『タツキ』の父は、震えながらスサノオを睨んだ。
AIによる暴走は収まる気配が無い。今日も文也をはじめとするジグ鎮圧隊は学校中を駆け巡っていた。
「次はどこですか!?」
「体育館!暴れやすいな!!」
走りながら会話する文也とタツキ。使命とあればどんな関係であろうと関係無い。プライベートの距離感が遠くなった二人でもこの時ばかりは正に「相棒」と言える存在だった。
目的地に到着すると、すでに流布と鏡花が対峙していた。
「遅ぇぞ!」
「なんかデシャブ…」
デカい怪物、この四人。既視感のあるシーンだった。
「でも……もう終わってるんですね」
怪物は倒れ、首から手を生やしている。後はそれを引っ張れば無事に解決と言った状態だった。
「……つまらん」
小さく、しかし確実に聞こえたその声に文也は周りを見渡す。倒れた怪物に近づこうとする流布に対して、何か嫌な予感がした。
「流布!一旦待って!!」
「一旦!?なんで!?」
怪物は怪しく光り、生えていた手が「落ちた」。
「は……?」
「流布!?何を…」
鏡花が怯えながら叫ぶ。
「俺じゃねぇ…ッ!?」
起き上がった怪物に吹き飛ばされる流布。鏡花は、突然の事に口を抑えて震えていた。
車椅子に乗った男性がゆっくりと、落ちた手を拾う。
「……『第二幕』と行こうか」
落ち着いた表情で、男は言った。
「誰ですかアレ…?」
「乱入者には乱入者をってね」
文也が呟いた後ろから、影のような物が飛んでいく。
「こっちも誰だよ!?」
タツキがツッコむ。双剣を掲げた、よく知っている人物だった。
「……『ウズメ』 脱いで参る」
『脱がないでね!?』
既に薄着になりかけていた『ヒカネ』だった。




