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「ジグ」:新たな神話  作者: らゐをふ


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10/11

10、新世界の始まり

 僕は僕なりのやり方で「ヒーロー」になる。例え皆に認められなくても、戦ってやる。



 いつもの稽古が終わり、兄貴から逃げるように部屋に閉じこもる。学校が終わると日課のように兄貴の稽古が待っているんだ。強くなるために、「男らしく」あるために。

「僕…女なのにな…」

 男として育てられた。女性らしい格好なんてしたことないし、女友達も居ない。居るのは情に熱い兄貴「スサノオ」とどこかで遊ぶ父親「イザナギ」くらい。

 父親は新世界の新たな神を自称してる、僕はどうでも良いんだけど。その流れで僕につけられた名は「ツクヨミ」。幸いにも男女どちらでも見なされる名前でよかった。

「友達が欲しい…」

 学校でも特別浮いてるわけでもない。真面目に勉学に取り組み過ぎてその余裕が無いだけだ。まさか「メガネ男装女子」なんて目立つ要素を大っぴらに出来るわけない。静かに、目立たないようにして過ごしてきた。

 学校ではいじめとか暴走とか、それを解決する「ヒーロー」だとかで盛り上がってる。兄貴に比べたら可愛いものだけど。

 …僕だって、龍忌さんのようにヒーローを自称してみたい。みんなと笑いあいながら誰かを救いたい。その為には、僕も変わらなきゃ。

「…」

 部屋にある「鏡」を見つめる。そこには元気のない少女が映っていた。もし話しかけたら、君はどんな反応をするんだろう。

「…君はだれ?」

 返事は沈黙。自分自身なんだ、そうに決まってる。

 でも、僕は救いを求めて「演じてみた」。

「…私は 『アマテラス』」

 今でも忘れない。これは「ジグ」じゃない。

 僕の…「理解者」だ。




「それでそのヒカネって人はアイドルになったんですか?」

「まだ悩んでいるらしい ほらあそこで燃え尽きてる」

 タツキが指を指す先には、机に突っ伏した人が居た。

「相当悩んでるんですね…」

「どうだろうな 違う事かもよ」

 タツキはこう見えて女。全然意識したことは無いけど、それなりに女友達が居る。友達の友達は友達だと思いたいけど、俺だって思春期なんです。距離の掴み方がわかりません。

「ちょっと話しかけてみようかな…」

「良いんじゃないか 文也ならネタにされても良いだろ」

「どういう意味ですか!?」

 ツッコミながらも、またとないチャンス。ゆっくり、その人物に近づいて声をかけてみる。

「あの…大丈夫ですか?」

「あっ!おい!」

 しまった、話しかけるのを間違えた。ヒカネは窓際の席、廊下側に対極を成すように突っ伏すもう一人に話しかけてしまう。でも良いか、こっちは「男」で新しい友情を育めば…

ガシャン!

 机から物が落とされる。対象の人物は、震えながら立ち上がった。

「やった…やってしまった…!」

 高い声で、震えながら絶望する。声を聞いて察した、これ女じゃん。

「あなたが驚かすから!!僕は『押してしまった』!!!」

「ご…ごめんって!落ち着いて!」

「こんなに優秀な理解者が…僕以外にも利用されるなんて…!」

 少女は酷く取り乱す。なぜそうなるのか、何も想像がつかない。

「『アマテラスAI』は今…全世界にアップロードされた…」

「あまてらす…エーアイ?」

 その少女は「ツクヨミ」。世界はまた、新しい方向へ進んでいく。

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