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Interlude: Lizu
恐れていたことが、現実になってしまった。
しかし、それでも抗うことなど出来はしない。
潮の香りを含んだ風が、リズの淡いブルーの髪を揺らす。
誰もいない海は静かで、ただ波の音だけが響く。
リズは、知ってしまった。
アースの姿を思い浮かべるだけで、胸の奥がほどける。
感情が羽根を持ったように、舞い上がる。
だからこそ、彼を苦しませるものは……許せない。
今までとは違う感情に、とまどいながらも。
「リズ」
ただ呼ばれただけで、世界が少し、揺れる。
これが、ラフェリアやノエルたちが、命を賭して抱いた感情なのだろうか。
――静かに燃え上がるもの
理性では掴めなかった答えが、今は、身体の方から滲み出てくる。
――地球を、守りたい
彼の苦しみも辛さも、共に抱えたい。
胸の奥で、抑えきれない何かが脈打つ。
それでもまだ、リズの心の奥に鬱積する、感情。
――怖い
途端に、リズの心は沈み込む。
深い、深い海の底のように。
リズは誰もいない海岸に立ち尽くし、寄せては返す波を見つめていた。
――遠く、海の向こうで、海は何も言わず、その小さな背中を見守っていた。




