表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/17

プロローグ

「あなたは生きなさい、リズ」




そう言ったラフェリアの笑顔が、リズの瞳に映る。


いつもと変わらないはずの、穏やかな微笑み。


それが、なぜかひどく遠く感じられた。


手を伸ばせば触れられる距離にいるのに、もう、同じ場所には立っていない――そんな気がした。





それは――最期の記憶。




行かないで。


行かないで。


私を、独りにしないで。




声にならない叫びが、喉の奥で砕ける。


ただ雫だけが、リズの蒼い瞳を滲ませた。




「あなたは独りじゃないわ」




リズとは正反対の穏やかな声。




(ウィンディア)も、(シーア)も、(スノーウィ)も……地球(アース)もいるわ」




どうして微笑むの?


どうして泣かないの?


どうして、哀しくはないの?




ラフェリアは微笑っている。


泣いているのは、リズのほうだ。




「泣かないで」




ラフェリアの温かい手がリズの頬に触れた。


確かにそこにいるとわかる温度。




「私は、自分の意志でウィンディアに『生命(いのち)』を託すの」




その言葉の意味を、リズは理解出来ない。


理解したくなかった。




指先に力を込める。


ラフェリアの袖を掴もうとして、空を掴む。





――不思議な呪文。


ラフェリアの能力(ちから)が、リズの意識をやさしく、しかし確実に包み込んでいく。




遠のいていく。


音が、光が、感覚が。




眠りたくない。


眠ったら、もう――。


イヤなのに。


わかっているのに。


抗おうとするほど、身体は言うことをきかなくなる。




それでも、ラフェリアより力の弱いリズには、どうすることもできない。


眠りが、すぐそこまで来ていた。




意識が、記憶が砂のように指の隙間からこぼれていく。





「ごめんね、リズ」




その声はひどく近くて、もう届かない場所から響いていた。




「私は、あなたのことも大好きよ。でも……」




一瞬のためらい。




「守りたいの……ウィンディアを。愛しているから……」




沈黙。


リズにはもう、何も出来ない。




「お願いね……彼を……アースを、守って……」




そこでリズの記憶は闇に包まれる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ