『きらきら、のち星』ー冬の童話2026ー
ある男の子が、まぶしさの向こうに、ほんとうの光がひそんでいることに
気づく瞬間ーそれは・・・
ぼくは、まちで一番 きらきらしている。
ずっと、そう思っていました。
だって──
走るのも はやいし、
もじだって きれいに 書けるし、
けいさんも できる。
先生も、「よくできました」って言ってくれる。
だから、ぼくは、
「ぼくが 一番 きらきらだ!」って思って、
いつも 胸をはって 学校へ行っていました。
*
教室では、となりの席に、
おとなしい女の子が すわっています。
その子は、走るのが にがてで、
発表も、手をあげずに こっそりノートに書いているような子でした。
「この子より、ぼくの方が きらきらしてる」
ぼくは、ちょっとだけ 得意になっていました。
*
ある日、休み時間のこと。
ぼくは ちらりと その子のノートを見て、
目を まるくしました。
ノートのすみっこに、
とても小さな、絵が かいてあったのです。
しかも──ページをめくると、
その絵が うごいて見えるように なっていたのです!
ぱら、ぱら、ぱら──
小さな女の子が 走って、こけて、また立ちあがる。
ぱら、ぱら、ぱら──
夜空に花火があがって、星のしずくが こぼれてくる。
ぼくは、びっくりして、言いました。
「……すごい……!」
*
その子は、ていねいに ノートを閉じて、言いました。
「うん、アニメーションに してみたの」
*
ぼくは、しばらく 何も言えませんでした。
走るのも、もじを書くのも、計算も──
なんだか、どれも 色あせて 見えたのです。
「もしかして……この子の方が、ぼくより きらきらしてるかも」
そう思ったら、
ぼくの胸のなかで、ふしぎな音が なりました。
きゅうっと、ちいさく、でも あたたかい音。
*
勇気を出して、ぼくは 言いました。
「君の方が……きらきらしてるね」
その子は、キョトンとした顔をして、こう言いました。
「キラキラしているのは、夜空の星よ」
*
……そのとき、ぼくのなかで
「きらきら」の意味が、すこしだけ 変わった気がしました。
*
その日から、ぼくは 時どき、
夜空を見あげるようになりました。
そして、こっそり思います。
「……あの子のノートにも、
星が、すんでるのかもしれないな」
──おしまい。
ご覧頂きありがとうございますm(_ _)m
今日の夜空に星が輝いているといいですね。




