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ステイホーム
帰郷した翌、三月十四日から、野江良は実家の二階にある自室を三、四日かけて掃除した。久しく使っていなかった部屋の床は、ウエットシートで拭けば、シートが真っ黒になってしまうくらいだ。
掃除を終えた部屋で、野江良は『拉致旅行』の続編となる、『Femt Boy』なる作品を執筆し、直ぐにadoにファイルを送った。
『私も、前作に登場した二人があの後どうなったのか、気になってたのよ。面白かったから、またうちで出版しましょう』電話で、野村ディレクターはこう言って喜んでくれていたが……。
電話から間もなくして、野村伸介社長が急性心筋梗塞で急逝してしまう。急遽、妻である野村忍ディレクターが社長に就任したが、その後も社員の退社などもあり、株式会社adoは電子書籍まで手が回らなくなり、次回作の出版は沙汰止みとなってしまうのだった。
それでも野江良は作品を何作か執筆し、文筆活動は続けるかわり、雲隠生活も十二年もの間続けるのだった……。




