18/34
気楽な稼業
「ツカサ君てカッコ良くない?」
「うん、私服もお洒落たしね」野江良と同じ製造部の派遣社員が、ツカサ君を注視する。
今は彼の様なルックスと、ファッションセンスがモテるんだな、野江良は素直に思う。確かにツカサ君は、スタエンにいそうなルックス……の様にも見える。野江良は何回か言葉を交わす程度だったが。
しかも、低音で籠った野江良の声と比べれば、ツカサ君の声は良く通る。ではあったが……。
「お返事だけは良くて、仕事の方はなおざりなんだってさ」製造部の男性正規社員、野江良の直属の上司は、投げ遣りな口調でこう仰っていた。その事実を裏付けるかの様に、ツカサ君はある日突如として出勤しなくなり、そのまま姿を消す。
別にグッドウィルだけではない、ツカサ君は別会社から派遣されていた社員だ。
今回の様な光景を目の当たりにする度、野江良は思わず口ずさみたくなるのであった。♫ 派遣社員は 気楽な稼業ときたもんだ ♫ と……。




