ヤバい会社
一〇〇円ショップを退店し、野江良は人材派遣会社グッドウィルに登録した。正に色んな職は経験出来る。登録スタッフになるには、支店に連絡後、希望日に来店し、そこで内勤スタッフから詳細が説明され、簡単な面談を行う。登録初日に働くことも可能な会社だ。
グッドウィルは、携帯電話一つで空き時間に気軽に働けることで、大学生やフリーター、主婦や社会人の副業など、多くのスタッフを有し、中でも若年層を中心に支持を広げていた。最盛期には、全国で二三〇万人の登録スタッフがいたという。
テレビCMも頻繁に放映され、プライベートビーチ編、温泉旅行編などがあり、当時の若手女性芸能人を多数起用していた。これも、若年層を惹き付けた要因の一つだろう。野江良もテレビCMで、こんな会社があるのか、と知った。
一方で、気軽に働ける反面、貧困層を食い物にしている、との批判もあった会社だ。尚且つ……。
一労働につき、二百円のデータ装備費なる費用を、派遣に伴う所得税などとは別に給料から差引いていた。データ装備費の支払は、本来任意とされていたが、実質的には強制的に徴収されていた。更にその用途も不透明であったことから、労働基準法第二十四条の、給与全額支払の原則、に反する不払い賃金に当たるとの批判も多く、二〇〇七年五月一日に廃止された。
野江良は約二年間で、総額五万円も差引かれていて、廃止後に全額返金された。だがこの会社の問題は、これだけではなかったのだ……。




