私はお前が気に食わない
実際に表題のようなことを直接言われた事はあるだろうか。
私は、直接では無いが書き込みをされたことがある。
以前、勤めていた会社にオタクが入社した。私はオタクなので嬉しくて、色々話していてSNSをやっていることが判明。本人が探してくださいよと言うので、ジャンルとだいたいの話を聞いて探り当てるとビンゴだった。
相手も私を探すと言うので、私のジャンルはかなり過疎ジャンルですぐに見つかるよーと言っていたら、探し当ててきた。私が自分の位置を本当に住んでいる場所にしていたのが決め手だったそうだ。
そこまではお遊びでお互い楽しんだだけ。
しかし、SNSでリアルの人物と繋がるのはあまりにもリスキーだ。
私は当時はアイツの上司でもあったので、業務命令として「お互いのSNSを見るのはやめようね、良いことなんて何もないから」と、くぎを刺した。
私は釘をさしたこともあり、さして何も考えずに日々を過ごしていた。
すると、アイツは「見てください、これ」と、SNSで誰と密になっているかを見る事のできる一覧を見せてきた。その中に私のアイコンが入っていた。
私はアイツのSNSチェックなどしていないし、見たのは探した時だけ。
それなのに繋がっていたのは今考えるとおかしいのだが、当時の私はあんまり何も考えずに「へえ、面白いねえ」とだけ返した。当時はSNSのツールの事なんて知らなかったからだ。
あとで考えると、向こうは私のSNSを随時チェックしていたのだろう。だから密だったのだろう。
半年ほどたつと、アイツは嘘をつきはじめた。やってもいないことを「やった」と言ったりしているらしい。しかも部下仲間にあることないことワーワー話していたそうだ。
嘘をついていると言ったが、なぜ分かるかというと嘘をつくときのアイツは声が上ずる。
おそらくアイツを好意的に見ている人には分からないのだろうが、私は気付いていた。
なぜなら、私に対する嘘をついているときも「無駄に声が大きく」「声のトーンが違う」のだから、気付くなと言う方が無理だ。それがわざとなのか本人も気付かずになのかは分からないが、とにかく声の使い方が全く違うのだ。
そもそも入社する時の面接で、経歴に嘘をついていたのだから、大したものである。
経験者との言い方だったが、経験者ではなかった。
私への攻撃は、あることをきっかけにより加速する。
それは、同人誌のことだ。当時、二次創作をしていた私は結構売れていた。
SNSでもなにか呟けば2桁のコメントが付き、いいねは3桁を越える。絵を挙げればフォロワー以上にいいねはついた。当時のフォロワーは500いるかいないかぐらいだったが、それは絵を見てフォローしてくれた人がほとんどだったし、密な交流をしていたこともあってのことだった。
同人イベントで本を刷れば即日完売、私に会いに来たと言ってくれる人もいて、売上(といっても、頒布なのでほぼ経費回収のみ)は五万くらいあった。
それを同じ部署の人に説明をしていたところ、声が上ずったのだ。
おそらくアイツは売れていない。巨大ジャンルで活動し、バズってフォロワーが1000以上いると豪語し、コスプレをして凄く売れている風を装っていたのにだ。
あとで思ったが、アイツは「自分が活動しているジャンルの絵」「主に活動しているジャンルのアカウント」は見せなかった。バズってフォロワー数の多いアカウントを教えてきただけで、凄いと言われたかっただけなのだろう。
絵は上手い。
だが、絵をアップした時だけしか反応はなく、恐らく仲間のバズれるような凄い絵師さんが拡散しないといいねはついていないようだった。しかもよく見ると反応も3くらいしかない。
どんなに呟いてもいいねが3だ。1000人以上のフォロワーがいると自慢していたアカウントで3だ。
私は何を呟いても必ずコメントがつくし、いいねは2桁以上だったことを考えると、この異常性は分かると思う。
なぜ詳しいかというと、会社を辞めた後に私への文句をSNSで言ってきたので、私がアイツのアカウントを見たからだ。
アイツは、私の「見ないようにしよう」という話を無視した挙句、私とずっと敵対関係にあった会社の人間にアカウントを教え、私の動向をこっそり監視していたのだ。
その時に「私はお前が気に食わない」と書き込まれた。
なぜ、自分だけが気に食わないと思うのだろうか。そんなこと、アイツ以上に私はアイツが嫌いだった。嘘ばかり言い、自分の都合のいいことだけ頑張り出来ないと言い訳ばかり言うアイツが。
ただ、上司であり会社のことだったので、表に出していなかっただけだ。
相手の立場や事情も知らず、ただ自分が気に食わないからと約束を破ったり嘘を言う人間が、自分が気に食わないからという理由で攻撃して、最終的に「自分は相手に嫌われてはいない」という大前提の元、かみつく。
SNSでその様子を見ていた大勢の「密に付き合っていた方々」からは、明らかにアイツの言い分が酷いこと、会社のことで趣味のアカウントに書き込んでくるのはおかしいこと、約束を反故にしたことをなぐさめられたが、どこにアイツの伏兵が潜んでいるかわからないのでそのアカウントは泣く泣く削除した。
その後、私がアカウントを削除したことで、アイツのSNSにファンから書き込みがあったらしく、しばらく鍵垢にしていたようだ。
正直、今でもアイツさえ入社してこなければ私が会社を辞めることは無かったと思うと腹が立つ。
いや。
会社は辞めるつもりだったが、アイツさえ入社しなければ嫌な辞め方をしなくてよかった。
嘘を沢山つかれて、私が全て悪の元凶のように言いふらされていたので、全然いい辞め方ではなかった。
忠告するが、自分が嫌っている相手に嫌われていないなんてことはない。
「自分は相手に嫌われてはいない」という傲慢は、どこから出てくるのだろうか。いまだにわからない。嫌いな相手からは大概嫌われていると思った方がいい。
自信しかないアイツは、また別のターゲットに言うのだ。
「私はお前が気に食わない」と。