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25話:ピクニック②

今日も頑張ってゴミ拾い(タルコフ)してました

 迷子の女の子つむぎの姉が、奏多と世那の知っている友達ということに変な声が出てしまった。

 璃奈は思うことは多々あった。

 奏多と世那はどうして一緒にいるのか。

 いつから仲良くなったのか。

 二人はどういった関係なのか。

 考えなくても聞きたいことが沢山ある。


「えっと、どうして二人が一緒に?」


 璃奈の質問に答えようとして、つむぎが里奈の裾を引っ張る。


「りな姉のおともだち?」

「うん。そうだよ」

「そうなんだ! 転んで怪我したけど、お兄ちゃんが絆創膏貼ってくれたの!」

「え?」


 よく見ると膝に絆創膏が貼ってあった。


「擦り傷だから数日で治るよ。一応水で洗ったけど、帰ったらしっかりと消毒してくれ」


 掠り傷と聞いて安堵する璃奈は頭を下げる。


「雨宮くんに世那さん、本当にありがとう!」

「いえ。頭を上げてください」

「そうだよ。そこまで頭を下げる必要なんてないよ」

「それでもだよ。本当にありがとう」

「お兄ちゃん、お姉ちゃんありがとう!」


 つむぎも頭を下げてお礼する。

 奏多は近くのベンチで話さないかと提案し、璃奈も同意したので移動することになった。

 ベンチに座って飲み物を飲んでしばらくして璃奈が質問してきた。


「二人はいつから仲が良かったの? 学校ではそういう素振りはなかったし」

「そうだな……」


 奏多は「偶然会った」と言って誤魔化そうともしたが、本当のことを話すことにした。奏多自身、友達には嘘を吐きたくはなかったというのもある。

 一度世那を見ると、その視線の意味を察したのかコクリと頷いて口を開いた。


「実は以前、私のお見合い話があったのを知ってますよね?」

「うん。だいたい一カ月前くらいだっけ?」

「はい。その日、お見合いが嫌で家出をしたんです」

「家出⁉」


 驚く璃奈。無理もない。だってお嬢様である世那にはお見合いで結婚相手を決めると誰もが思っていた。それに、世那の性格上、家出をするとは思っていなかったのだ。

 だから璃奈は驚いたのだ。

 世那は話を続ける。


「その時、行き場がなかった私に声をかけて拾っていただきました。一拍お世話になったのですが、そこで色々と奏多さんに話を聞きまして。それでお父様に文句を言いました」


 笑う世那を見て、璃奈は目を見開いた。

 それは学校では見ることのない自然の笑みを見せたからだった。


「それで今は奏多さんが住むマンションで一緒に暮らしています」


 世那の思わぬ発言に璃奈は目をぱちぱちさせ


「……ふぇ?」


 変な声が出た。

 今まで世那が奏多と同棲している素振りは見せていなかった。学校でも話しているところなど見たこともなかった。

 いや、調理実習で話したのを見たことがあるくらいで、普段教室などで話したのは見たことは一度もなかった。


「い、いいいい一緒に住んでるの⁉」


 璃奈は奏多に事実か確認をする。


「世那の言ってることは全部事実だな。急に家に荷物が運び込まれてきたと思ったら、世那が一緒に暮らすって言うから驚いたよ」

「え? え? 今も一緒に暮らしてるってこと⁉ え? どういうこと⁉ 一緒に暮らしているって……も、もしかしてあなんことやこんなことも毎日しちゃってるってことぉぉぉお⁉」


 璃奈は混乱し、そして急に顔を真っ赤に染めてしまった。

 何を考えていたのか容易に想像がついてしまう。


「あのなぁ……声が大きいぞ。周りを見てくれ」


 周囲の視線が璃奈へと集まっており、それに気付いて俯いてしまった。


「まあ、なんていうか、周りには俺が世那と一緒に暮らしているのは黙っていてくれ」

「う、うん。それで、一つ気になっていたんだけどいいかな?」

「ああ」

「なんでしょうか?」

「一緒に暮らしているって、二人は付き合っているってこと?」

「付き合ってないぞ」

「奏多さんの言う通り、お付き合いはしていません」

「一緒に暮らしているっていうからつい気になって」


 すると、つむぎが璃奈の袖を引っ張ってくる。


「りな姉、お腹空いた」

「え? あ、もうお昼か。お弁当食べようか」

「うん!」

「では皆さんで一緒に食べましょうか」


 こうして晴れ渡る空の下、お弁当を広げるのだった。


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