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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

とある冒険者パーティと荷物持ちの短期契約をしていたが、荷物を持つ事しか能がないとさげすまれ、囮にされました。なので正体を明かしてみます。

作者: アゼーザー

一年くらい書こう書こうと思って書いてなかった作品です。

誤字報告あればオナシャス!


周りに生い茂っている木々の中、けもの道をたどり地図を見ながらある村を目指す一行。

そんな中殿に特に大きなリュックを背負う男がいた。


それが俺、フォークスである。


「おい、ちんたら歩くな!」

「……すいません」


一行の先頭にいる男に怒鳴られた。

彼は冒険者パーティのリーダーを務める男、レンである。

赤髪でひょろりとしている男で、後ろに片手剣を下げている。

外見は色男そのものだが性格は語るまでもなく最悪だ。


「まったく……そこそこ役に立つというから短期契約を結んだというのに全然役に立たないじゃない!」


と、声たか高に叫んでいるのはヒステリック女、魔女のカレアだ。


(いや、まぁお前らの荷物全部持たせられてたら歩く速度は格段に落ちるにきまってるだろう……。)

と、俺は内心で反論する。


そう、何の嫌がらせかは知らないが俺はこのパーティの全員の荷物を持たされているのだ。


全部の重さは約人二人分。

その荷物を持っているだけでも感謝して欲しいほどだ。


「あ、見えました」

目的地が目前に見え始めた報告をする俺。


「まだ見ぬ敵との交戦……楽しみですな!」

などとほざいているのはこのチームの要、戦士のゼフだ。


この発言からもわかる通り、戦闘狂である。

ゆえに戦闘以外では全く使えないバカである。


「よし! 行くぞ!」

リーダー役のレンを先頭に我々は向かう。



なぜ、こんなことをしているのか。

その説明は少し長くなる。


まず、自己紹介をしよう。

私は冒険者ギルドに勤めて20年になるフォークスである。


20年もあれば皆、ベテランと呼ばれるBランク程度には上がっているはずなのだが、

私は20年経っても初心者と呼ばれる位置付けのEランクにしか上がれていない。

ギルドでは薬草採取の任務を受けて、日々飢えを免れてることを比喩され、

薬草おじさんと呼ばれている。


魔物の討伐依頼なんぞはこの20年間受けたことはなかった。

そんな私がこんなところで何をしているのか。

説明するには3日前に戻らなくてはならない。



「フォークスさん、ギルドマスターからの呼び出しです」

「ん? 俺を??」


ある日、いつも通り薬草採取の依頼を見繕っているとギルドの受付嬢に

声をかけられた。

さすがは荒くれ者をまとめている冒険者ギルドの受付嬢なだけあってその容姿は

傾国の美女レベルだ。


そんな人と冴えないおっさんである私が話しているのを見て、

ギルドにいる男連中から視線で人を殺せるだけの殺気が私に集まってくるのに気づき、

すごすごと2階のギルドマスター室へと向かった。


「やぁ、フォークス君」

「はぁ」


ギルドマスター室で待っていたのは右目が隻眼のいかにも歴戦の戦士! という顔つきの男だった。


「実はね、この依頼票を見てくれないかい?」

パラッと紙を差し出して来たので立ち上がり、両手で受け取る。


「うん? ゴブリンリーダーの討伐……?」

そこにはCランク程度の魔物を討伐せよとの意が書かれていた。


「うむ、そしてこの依頼を受けるパーティも既に決まっておる」

そう言ってもう一枚の紙も差し出して来た。


「ほう、Bランクパーティが」

そこに載っていた内容は最近昇級したBランクパーティがこの依頼を受けること。

そしてその戦力分析の結果が載せられていた。

しかし、


「これは……少し不安ですね」

そのパーティは戦力重視といった感じで、

盗賊などの小手先重視の職業の者は誰一人パーティに加入していないのであった。


「罠などがあった場合はどうするつもりなんですか?この人たちは」


「このパーティのリーダーは罠などちからでおしつぶしてくれる!と言いおってな」


なるほど、脳筋というやつか。


「そこでだ、君にやってもらいたいことがある」

「はぁ、何でございましょうか?」


と言ったが大体はわかる。

恐らく……


「君には荷物持ちという形でその任務に同行してもらいたい」

やっぱりな。


「確か君は一級罠解除師の称号を持っていたな?

そこでアドバイザー兼荷物持ちとして彼らと同行してほしい」

「…………」


「勿論、報酬はたんまり用意する。どうだ?やってくれるな?」

「断らせていただきます」


「そうか、やって……え?」

初めてギルドマスターの顔に動揺が生まれた。


「い、今のは聞き間違いかね? やらないと聞こえたのだが……」

「どうやら耳は正常のようですね」


「な、何故だ? この依頼が終わったら昇級も夢ではないぞ!?」

はぁ、この人は何か間違って考えているようだ。


「そもそも私は昇級したいなどとは一度も思った事はありません」

「はぁ?」


ギルドマスターは呆れたで俺を見つめてくる。


「はぁ……しょうがねぇ

お前……確か20年近く昇級してないよな?」


「その通りでございますが……」

「あれだ、ギルド法則で確か役に立たない冒険者は首にしていいっていう……」


「脅しですか?」

選択肢の中にこの冒険者ギルドを辞め、他の町にいくと言う手段もあった。

しかし……この町での生活は案外気に入ってるのだ。


「……わかりましたよ」

「そーかそーかやってくれるな!」


ギルドマスターは凶悪な笑顔を浮かべワッハッハと高笑いをした。

「はぁぁぁ……」



というわけで俺はこのパーティの補佐役をしているのだ。

しかし、今となっては断っておけばよかったと思っている。

だってあいつら性格もクソなんだもん……。



「こんな辺鄙な村においでいただきまして本当にありがとうございます!」


揉み手でそう俺たちを迎えたのは依頼主のサエキ村の村長である、ガサさんだ。

杖で体を支えるように立ち、髪は白髪で染まりきっている。


「ふん、世辞はいい。それよりゴブリンたちはどこだ」


「はい、それはこちらにありますロクソウ山の……」

とガサ爺さんは向こうの方にある山を指さした。


「あの麓に我が村人達の目撃情報がございます」

「へぇ、麓にねぇ」


……おかしいな。

ゴブリンたちは基本的に臆病であり、他の生物に遭わないように山の上の方の洞窟などに潜んでいるはずなのだが……。



「んじゃ、ちょっくら行ってくるわ」

「え……ち、ちょっとお待ちくだされ!」


と、なにも準備せずゴブリン退治に向かうレン達を村長は引き止め、こう言った。


「あの辺りは崖が多く、付近の地理になれていないものは怪我をするほど危ない場所なのでございます!」


「ふん! 俺たちには関係ない!」

……おい、せっかくのガサ爺さんのアドバイスガン無視かよ。


「あ、あ、あ、せめて! この村の専属冒険者の彼女を連れていってくだされ! 道案内ができますので!」

そう言って差し出されたのははにかむような笑顔が似合う金髪の美少女であった。


「初めまして、サリーと申します」

「お、おう。まぁ、み、道案内は必要だからな!」


彼女の笑顔に中てられたかのように真っ赤になるレン。

チラチラと彼女の方をみながら同行の許可を出した。


これは、惚れたな……。

「よし! 行くぞ!」


彼女にかっこいい姿を見せたいのか、キリッとして動き出すレン。

他のメンバーは呆れたように、はぁーーとため息をはいた。



「こちらが目撃情報のあった場所ですが……」

「へぇ、以外と近くなんだな!」


いちいちサリーさんにキラリとした顔をむけなくていいんだよ……。

「お、ゴブリンの痕跡がありましたね」


む? ……本当だ。

……いや、ゴブリンにしちゃ……。

「足跡大きすぎないか?」


俺はそう言いながら最悪の事態を思い浮かべていた。

「ふん、個体差があるんだよ! そんなことも知らないなんて本当に役立たずだな!」


いや、そんな話で済ませられるものじゃないだろう。


「それより、サリーさん俺たちのパーティに入らないか!」

……まーーた変なこと言い出したよ。


「い、いえ、遠慮させて……」

「そんなこと言わずにさ! 俺たちはいずれあの【仮面舞踏会】を越えるパーティになるんだ!」


なんか決定事項みたく言ってるけど舐めてるだろおまえ……。


【仮面舞踏会】とはこの世界の人間なら子供でも知っている伝説の英雄達が所属している冒険者パーティである。

魔王を倒したのもこのパーティだし、伝説の邪竜を倒したのも、【仮面舞踏会】

である。


しかし、20年前急に引退が発表された。

当時のものたちはすごく悲しんだらしいが引退理由は未だ明かされていない。


それぞれのメンバーたちは、あるものは国王に、あるものはソロの冒険者に、

あるものはあちこちを旅する放浪者となった。

しかし、リーダーだけはいつも仮面をかぶっており、引退後どこへ行ったのかは不明である。



「あなた達が、なれる訳ないでしょ、かっこよさが段違いです」

と、ボソリと呟いた少女にギョッとして俺は目を向ける


「ん、何か言ったか?」

幸い、彼らには聞こえなかったようだ。


「ん? まて!」

そんなこんなを解説している間にいつの間にか森の中に侵入していた。


ガサガサガサ!

「葉っぱを踏む音……近くに何かいるぞ!」


俺がそう言うとさすが仮にも冒険者。

すぐに戦闘隊形を整え、不意打ちに備える。


ガサガサガサガサガサガサ!!


「来るぞ!」

ばっ! と目の前に飛び込んできたのは通常よりも大きい、緑色の肌をした子供サイズの魔物、ゴブリンリーダーだ。


「俺が行く!」

するとレンが走りだし、ゴブリンリーダーに向かっていく。


「テーリャーーー!!!!」

スパッ! ときれいな音をたて、ゴブリンの体が崩れ去る。


「ま、こんなもんだろ」

……いや、あっさり過ぎるだろ……。

何かが腑に落ちない……。


ん? 手下のゴブリンはどうした?

ゴブリンリーダーは、まず、手下のゴブリン達を戦わせ、疲労した頃に登場するという習性をもっているはずだ。

だが、手下連中が見当たらない。

それに様子もおかしかったような……。

身振り構わずあんなに足跡をたてて走ってきたら場所がすぐにばれるだろう。


いや、まて? アイツはどこから来た?

山の上から()()()ように走ってきていた。

いや、まさか……。



「グルァァァァァァ!!!!!!」

ずっと遠くの方から大ジャンプをし、見事に俺たちの前に着地してきた魔物が一匹。


俺たちの額に汗が一筋流れる。

「うっそだろ……なんでこんなところにサイクロプスが……」


サイクロプス、単眼の巨人。 

その戦闘力はAクラスに認定されている。

戦闘力的に絶望的な戦いが幕を開けた。


「グルァァァァァァァァァァァ!!!!」


巨人の雄叫び声を聞いて全員が怯む。

なるほど、ゴブリンリーダーはこいつから逃げてやがったのか!



「こ、こんなのきいてないぞぉぉぉ!」

レンは顔を真っ青にして叫ぶ。


カレアは顔を蒼白にし、地面にへたりこんだ。


ゼフは自慢の巨体をガタガタ震わせている。

いくら戦闘狂とはいえ、相手との実力の差はわかるようだ。


サリーさんはなにがなんだかわからない表情をしている。


「何かないか何かないか何かないか」

レンは呪文のように唱えていた。


「俺たちはここで死んじゃいけねーんだ……よ?」

くるりとレンはこちらを向き、ニヤリと笑みを浮かべた。


「悪いな!」

そう言うとレンは俺の腹に剣の柄をのめりこませた。


「ごはぁ!」

あまりの痛さに俺は崩れ落ちた。


「なに……する!」

「へ! 俺達が逃げるまでの人質になってくれよ! じゃあな!」


メンバー達は意図を察したようで、こちらを一瞬だけ見つめ、去っていく。

呆然としてるサリーさんをレンは無理やり連れていった。

そうしてこの場にいるのは俺一人だけとなった。


「グルルルルルル……」

巨人の興味は完全に俺に向いているようだ。


「や……べぇ……これ……!」

あたりどころが悪かったのかまともにしゃべれない。


「くっ……そ……! せめ……てしゃ……べ……れるように……な、れば!」

あ、これ、、やべぇ……死……。


サイクロプスの振り下ろされる腕を前に目を閉じる俺。



「まだです!」


どぉぉぉぉぉぉぉ!!!!! と音をたてて振り下ろされた拳のしたに俺はいない。


「サリー……さん?」

「はい、サリーです」


にこりと微笑み、俺を助け出してくれたサリーさん。

でも……なぜ?


「どう……して……ここ、に?」

「そんな当たり前のことを聞かないでくださいよ」


彼女は手を胸に当て、俺を見つめる。


「私はこんな、弱い人達を助けるために冒険者になったんです。

こんなとこで逃げてちゃあの人達に会えませんから」


そう言った彼女の目をみて俺はデジャヴを覚えた。



『いつか、また会えたなら今度はあなた達についていかせてください!』


『いいよ、あなたが本当に役に立つひとになれば、喜んで仲間に向かえよう』



そう……か、彼女はあのときの……。


「グルァァァァァァァァァァァ!!!!」

サイクロプスは食事の邪魔をされてイラついているようだ。


「フォークスさん、私がここであいつを引き付けます。その間に逃げてください」


「なに……を……?」

まさか……死ぬつもり……か?


「大丈夫です! 私って意外に丈夫なんです!」

そう言って俺に逃げるようにうながすサリーさん。


「な……ぜ、そこま……で?」

知り合ったばっかりの俺にそこまで助けてくれる理由が分からない


「私が憧れてる【仮面舞踏会】の人達なら、絶対に…こうします!」

そういう彼女の顔はどこかで見たような……


「ぐぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」

と、その場に腹を透かしたサイクロプスの咆哮が轟く。


「ッ!もう……にげら……れない、お腹の……いたみ……が! だから! きみが!」


【ヒール】


ん?


「治しました!これで走れるでしょ!」


……あ、


「グルァァァァァァァァァァァ!!!!」

サイクロプスが、こちらに向かってくる。


「早くーーーー!!!」


そうしてサイクロプスの拳がサリーさんを吹き飛ばす……前に俺の詠唱が完了した。


【迅雷】


ゴロゴロガッシャーーーーン!!!

と派手な音をたてて空から雷がサイクロプスを貫いた。

プスプスと煙を体から放ち、倒れたサイクロプス。


「え?」

サリーさんが、女子からでてはいけない間抜け声を発した。


「いやー助かったわ! ありがとう!」


「え? え? 今の魔法……」

サリーは何かに気づいたように声をあげるが俺はにこりと笑い、彼女に微笑みかける。

「さ、冒険者ギルドにいこっか」



[冒険者ギルド内]



「だから! 何度もいってるだろ! サイクロプスが!」


「ええ、承知しております。今、Aランククラスを倒せる冒険者を呼び寄せております」


くそ! 早くしないとあの化け物がこの町まで来るだろうが!

しかし、あのアマ俺の股間を蹴っていきやがった!

『仲間を囮にするような人達と一緒にいたくありません』だと!?

くそが! あんなやつ死んで当然なんだよ!


「……確認しますが、フォークスさんとサリーさんは死亡ということでよいのでしょうか?」


「ああそうだってなんども!」


「じゃああれは誰ですか?」


「へ?」


受付嬢の指さす方角には無傷のフォークスとサリーが。


「な、な、な、なんでいきてやがる!?」


「よう、勝手に殺してくれてありがとうな」


ば、ば、ばかな! あの化け物から逃げおおせたのか!?


「すいません、そいつに腹を殴られて囮にされたんですけど」


「あぁ!?」

俺を無視して受付嬢に話し出すフォークス。


「それが本当なら処罰を与えなくてはいけませんね……」


キラリ! と受付嬢の目が光る。


「し、証拠は! あるのか!」


「私が証言します」

そう言って進み出てきたのはサリー……。

あのアマぁ……!!


「だいたい! 俺がお前を囮にしたとしてお前らがサイクロプスからどうやって逃げてきたというんだ!」


「にげてないぞ? 倒しただけだ」


……は?


「ぶっはっはっはっ!!! そんなことがあるわけねぇだろこのばかが!」


「と、言われてもなぁ死体なら置いてきたし……」


と、フォークスが言った時、冒険者ギルドの扉がバタン! と勢いよく開かれた。


音をたてた主は少女。

それをみたフォークスが一瞬複雑な表情をした。


「……!」


フォークスを見つけたとたんその少女はこちらに殴りかかる勢いで走ってくる。


ぶつかる! というところで少女は急ブレーキをかけた。


「お、お帰りなさいリーリアさん」


「リ、リーリア!?」

ま、まさか、あの【仮面舞踏会】の剣士!リーリアか!?


「リ、リーリアさん、その、サイクロプスは?」


「倒されてた、こんがり」

そう言って彼女は腰にかけているブローチから明らかに容量に収まらない大きさのサイクロプスを取り出した。


「な!?」

俺も受付嬢も口をあんぐりと開けている。


「この魔法でわかった。久しぶり、団長」

団長……?


「相変わらず空気読めないよな……お前」

え? フォークスが団長と呼ばれ……は? 嘘だろまさかまさかまさか。


「やっぱり……フォークスさんって【仮面舞踏会】のリーダー、クルダさんだったんですか?」


サリーが代表して聞く。


「まぁ、そういうことになるな」


「「「「え、えええええええええええええええええええええええ!!!!!!!!」」」」


「……というわけでレンさん、あなた達を連行されてもらいます」


レンは嘘だ嘘だ嘘だと繰り返して虚ろな目となっていた。

他のメンバー達は思いのほか従順についていった。



夕日が沈む街中、俺とサリーさんはどこかをうろついていた。


「サリーさん、今日は大変な目に合わせてしまってすみませんでした」

俺は民間人を巻き込んだことについて謝罪した


「いえ、そんな迷惑なことなんて!!」

と、彼女は慌てた様子で否定してきた。


「確かに、ちょっと怖かったです。でも、それよりも嬉しいことがあったので」

嬉しいこと?なんの事だ?


「覚えてませんよね…実は私あなたに会うの初めてじゃないんです」

ああ、知っている。


「まぁ、その頃私は子供でしたもんね。覚えてませんか?20年前、【仮面舞踏会】の皆さんが救ってくれたある村のこと。」

「ワイバーンの大群に襲われていた村を【仮面舞踏会】の皆さんはギルドに申請なく駆けつけてくれたんです。」

彼女がそう言い終わった時俺の脳内には1人の泣き叫ぶ子供の姿が映った


「ああ、覚えてるさ。君がなけなしの小遣いで俺たちに依頼をしてくれたこともね」

そういうと彼女はビクッと驚いたように体を跳ねさせた


「さぁ、約束を果たすときだ」

そういうと俺は【仮面舞踏会】のメンバーたる印、ドクロのカードを取り出した


「もし良かったら、俺たちのパーティーに入らないか?

俺たちは…………君が必要だ」


そういうと彼女の瞳から涙が溢れ出し、両手で顔を覆った。

しばらくしてから右手で涙を拭い、

「はい、喜んで」

と天使のような笑顔を浮かべ彼女は答えた。


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― 新着の感想 ―
[良い点] くぅぅぅぅぅぅうう いいですね~ この伝説のあの人だった的な展開好きです 応援してます あっここ良い点書くとこだった
[一言] めっっっっっっちゃすきです!! (語彙がね。好きなものに出会うとタヒんでしまうのなんでしょうね)
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