漫才『異世界に転生したらやりたいこと』
※【ゲラゲラコンテスト2】参加作品
二人「はいどうもー」
ツッコミ「突然だけど、異世界への転生って憧れるよね」
ボケ「あー分かる。やっぱりそういう大手の百貨店に認められてこそのサービス業だよね」
ツッコミ「ん?」
ボケ「買いに来る人も大人な感じだから、より一層気が引き締まるもんね」
ツッコミ「えーと、それは異世界への転生じゃなくて、伊勢丹への出店だね」
ボケ「えー、似たようなもんじゃないの?」
ツッコミ「全然違うよ。異世界に伊勢丹ないから」
ボケ「え! じゃあ異世界に行ったら今まで貯めてた伊勢丹のポイントは使えないってこと!?」
ツッコミ「いや気にするところおかしいから。異世界に行ったらそれどころじゃないでしょ」
ボケ「てかなんだよ、その異世界ってところは? 海外なの?」
ツッコミ「え、そこから? いや異世界というのは僕らが今いる世界とは別の世界のことね。そんでお話の中の異世界はだいたい魔法とかが使えるファンタジーな世界だったりするのよ」
ボケ「あー、そっちの異世界ね」
ツッコミ「普通この異世界しかなくない? まあそんなことよりも異世界に転生したらやりたいことがあってさ」
ボケ「えー、なに? 出家?」
ツッコミ「間違いなく違うね。どうせならもっと異世界ならではのことやらせてよ」
ボケ「しょうがないなあ。そこまで言うならやらせてあげるよ」
ツッコミ「なんか偉そうだな。まあ端的に言えば、異世界に転生して冒険者になった後、凶暴な魔物に襲われてる女の子を助けたいんだよ」
ボケ「じゃあ今のうちから異世界に行った時の練習をしなきゃだね」
ツッコミ「お、話が早い。じゃあ僕は異世界に転生して冒険者になった人をやるから、魔物に襲われてる女の子をやって。カッコよく助けに行くから」
ボケ「ガッテン承知の助」
ツッコミ「古っ」
ボケ「きゃー! 誰か助けてー!」
ツッコミ「今助けるぞ!」
ボケ「煮物がー!」
ツッコミ「いや煮物じゃなくて魔物!」
ボケ「しょっぱいー!」
ツッコミ「水で薄めろ! いやちゃんと魔物に襲われてて」
ボケ「きゃー! 誰か助けてー!」
ツッコミ「今助けるぞ!」
ボケ「あ、じゃあ2番テーブルのオーダー取ってきてー」
ツッコミ「あ、はい! ……お客さまご注文はお決まりでしょうか? はい、醤油ラーメンと半チャーハンですね。オーダー、醤ラーの半チャセット1つー!」
ボケ「はいよー!」
ツッコミ「って、アルバイトになってる!」
ボケ「新人サボるなー」
ツッコミ「あ、すいません! ……じゃなくて! ちゃんと魔物に襲われてる女の子やってよ」
ボケ「きゃー! 誰か助けてー!」
ツッコミ「今助けるぞ!」
ボケ「魔物が20キロ先にー!」
ツッコミ「いや視力がマサイ! それじゃ襲われてることにはならないから」
ボケ「きゃー! 誰か助けてー!」
ツッコミ「今助けるぞ!」
ボケボケ「あ、じゃあ6番テーブルのオーダー取ってきてー」
ツッコミ「あ、はい! ……お客さまご注文はお決まりでしょうか? はい、麻婆豆腐と小籠包を2つずつですね。オーダー、麻婆と小が2ずつー!」
ボケ「はいよー!」
ツッコミ「デジャヴ!」
ボケ「新人サボるなー」
ツッコミ「あ、すいません!……って、全く同じボケを繰り返すなよ!」
ボケ「いやお前がノリノリでやってたから…」
ツッコミ「そういう生き物なんだよツッコミは! 言わせんじゃないよ!」
ボケ「あ、そうなの? まあそんなことより3番テーブルのオーダー聞いてきてよ」
ツッコミ「あ、はい! ……お客さまご注文はお決まりでしょうか? はい、ホイコーローとレバニラですね。オーダー、ホイコーとレバニラー!」
ボケ「はいよー!」
ツッコミ「いやもうノッちゃうんだからやめてよ!」
ボケ「いやなんでやるのよ。ていうかなんでずっと中華なのよ」
ツッコミ「過ちを繰り返すんだよ! 人類は!」
ボケ「なんか哲学っぽいこと言ってる!?」
ツッコミ「そんなことより異世界で全然活躍できなかったじゃん!」
ボケ「まあでもその働きぶりなら、異世界では活躍できなくても伊勢丹のアルバイトはできるんじゃない?」
ツッコミ「いやもういいよ!」
二人「どうもありがとうございましたー」