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幼馴染の美少女が竹槍を大量生産している件 ~竹槍じゃ空を飛んでいる兵器は落とせないぞ~

作者: ひかげ


 竹槍、それは古くから伝わる伝統的な武器である。

 イネ目イネ科タケ亜科に属する植物を素材とし、その植物を適当な長さに切った上で、先端分を尖らせて製作される。

 

 そんな竹槍を黙々と大量に生産している少女がいた。

 十人に聞けば六人位は美人だと答えるような顔立ちで、少々釣り目がちの瞳の下にある泣き黒子が彼女の魅力を際立たせている。

 少女は肩まで伸びた黒髪を首元でまとめ、作業をしやすい様にか緑色の作務衣を着ていた。

 二十歳にもいかない様な見た目をしている癖に色気も何もない、女であることを棄てたかのような格好である。 


 彼女は脇目も降らずに、只々竹槍を製作している。

 一本完成させると、その竹槍を手に持ち、先端の尖らせ具合、振った時のしなり具合、持ち易さ等を確認し、次の竹槍の製作に入る。

 それは一種の狂気にも思えた。


 彼女がここまで、竹槍の製作に力を入れているのには訳がある。


 先日、彼女の住む街で次の国軍が使用する武器の選定会を行うとの通知があったからだ。

 彼女の住む街は鍛冶の街として有名であり、著名な武人は大体この街の武器を持って成果を上げてきた。

 その噂を聞いた国が国軍用の武器をこの街で作らさせる様になり、今回の選定会もその流れで実施されるものだ。

 彼女は武器職人であり選定会で評価されれば今後の仕事にも繋がる。

 そう思い、今回の選定会に参加することを決めた。

 他にも理由があるが、それが理由の一つであることも事実である。


 「なんで、竹槍とか作ってんの?」


 声を掛けられたのでそちらを向くと一人の少年がいた。

 少年は少女の幼馴染であり、武器職人としては兄弟子に当たる。


 「次の選定会で勝つために決まってるじゃない。」


 兄弟子の質問に毅然とした態度で少女は答えた。


 「いや、普通こう言う時って武器の種類は兎に角としても、素材に鉄とか鋼とか選ばない?」


 その少女の態度に苦笑いしながらも、兄弟子は更に少女に尋ねる。


 「兄弟子は知らないかもしれないけど、竹槍には魅力が溢れているのよ。竹槍が三百万本あれば、この国は守れる!!」

  

 少女は自信ありげにそういう。


 兄弟子は頭を抱えたくなった。

 この少女は見てくれも良いし発想力もあるが馬鹿なのである。


 「しかしだな、東の大国では鉄砲という何百メートルも離れた敵を倒せるような武器も出てきているらしい。そんな武器に竹槍でどうやって対応するんだよ?」


 兄弟子の疑問は至極まっとうなものである。

 少女の作っている竹槍は1.7メートル程の長さしかない。

 どんなに頑張ってもそれ以上の距離から攻撃されれば、なすすべなくやられてしまうだろう。


 「たった数百メートル先の敵しか倒せない様な武器で、わたしの竹槍を倒せると思わないで。」


 なのに少女は自信満々でそう答える。


 兄弟子はその発言に困惑した。


 「ふむ。兄弟子はまたわたしを馬鹿にしているね。」


 兄弟子の生暖かい視線を感じたのだろう。

 少女は不満げにそう言う。


 「いや、馬鹿だろう。」


 思わず突っ込みを入れてしまう。

 少女は竹槍に何か特殊な仕込みをしているとでもいうのだろうか。

 ちなみに、この世界には魔法とか超能力とかそういったものはない。


 「わたしの竹槍は高度9000メートルを飛んでいる起動兵器を倒すことができる。数百メートルくらいの射程しかない武器はわたしの竹槍の敵じゃないのよ。」


 本当に、この少女は何を言っているんだろう。

 兄弟子は少女の頭を心配し始めた。


 「よし、病院に行こう。もしくはちょっと寝た方がいいな。」


 「まぁ、聞いてよ。わたしの竹槍のスペックを。」


 確かに、少女の話を聞いてから病院に連れて行っても遅くはないだろう。


 「よし、じゃあ素材から教えてくれ。」


 「それは見てわかるでしょ。竹よ。」


 「それはそうだが……。」


 「そして、この竹はわたしの両親が長年品種改良して作った竹なのよ!」


 ちなみに少女の両親は筍を栽培して生活をしている農家である。

 兄弟子も何回か少女の家で筍を頂いたが、他の農家で栽培された筍より数段美味しかった。


 「お前、その品種改良って食べ物として美味しくなるようにしているだけじゃないのか。」


 兄弟子はジト目で少女を見る。


 「兄弟子は甘いね。その結果、他の竹よりも数段竹槍に向いた竹になったってことなのよ。」


 「じゃあ、聞くが他の竹とどう違うんだよ?」


 「わたしほどの竹博士になれば一目見ると分かるんだけどね。」


 そんな少女の態度にイラっとしながらも、その話に耳を傾ける。


 「わたしの家の竹は他の家の竹より、ずんぐりとして太く、長さが短いのよ。」


 「それは美味しい筍の見分け方では?」


 兄弟子は思わずツッコんでしまった。


 「それだけじゃないわ。水分も他の家の竹より含んでいるから重たいのよ。」


 「だから、それは美味しい筍の見分け方だよな。」


 少女の頬から汗が垂れた。

 ちょっと気まずい空気が流れる。


 しかし、少女は気にせずに説明を続けた。


 「つまりうちの竹は優秀ってことよ。」


 「まぁ、お前の実家の竹が美味しいことは認めよう。それで、その竹がなんで竹槍に向いているんだ?」


 「そんなの決まってるじゃない。筍が美味しいんだから、竹槍だって強くなるでしょ。」


 兄弟子は頭が痛くなってきた。

 本当にこいつは何を言っているんだろう。


 「そんなことはどうでもいいのよ。」


 「おい。」


 散々、素材の竹を自慢気に説明しておいて、どうでもいいの一言で片づけやがった。


 「わたしはそんな優秀な竹を弱火であぶって食物油を塗り硬化処理を施したの。つまり、この竹は鉄だとか鋼だとかよりも頑丈ってことなの。」


 少女は説明の方向性を変えたらしい。

 素材の話から製作方法の話へシフトした。


 「硬化処理を施したと言っても、所詮竹だろう。」


 「なら兄弟子、この竹槍を切ってみてよ。」


 少女は自信あり気に竹槍を地面に突き刺し、兄弟子に竹槍を切って見せろと挑発する。

 兄弟子はしょうがないと思い壁に立てかけられていた鉄の剣を持ちその竹槍に相対する。

 鉄の剣は先程、少女が竹槍の先端を尖らせるのに使っていたものだ。


 「フンっ!」


 ―― スパッ ――


 兄弟子が気合を入れて鉄の剣を振ると見事竹槍は真ん中から二つに切れた。


 「いやーーーーー!!わたしの竹槍がっ!!」


 少女は真っ二つにされた竹槍に近づく。

 少女の頭の中には今まで竹槍と過ごしてきた記憶が走馬燈のように思い出された。


 「いや、お前この剣使って竹槍作ってたんだから切れて当然だろ。」


 兄弟子は少女の姿に呆然とした。


 「それでも、わたしの大切な子供なの。こんな惨めな姿になって…。」


 「自分で切れって言っておいてそれはないだろう。」


 ちょっと兄弟子の中で罪悪感が生まれた瞬間だった。


 「兄弟子は剣術とかやってなかったよね?」


 数分後、少女は気を取り直して兄弟子にそんな質問をした。

 竹槍が真っ二つにされたことからやっと立ち直ったらしい。


 「そりゃな。お前も知ってのとおりずっと武器の勉強しかしてこなかったからな。」


 「つまり、兄弟子には剣の才能があったってことだよ!!」


 「何言ってんの!?」


 「だって、わたしの理論上は鉄とか鋼とかよりも硬いはずの竹槍を一刀両断したんだよ!それは凄い才能があったってことじゃない。」


 「お前の理論が間違っているとは思わないのか…。」


 兄弟子はそう呟くが少女の耳にはそんな言葉は入っていない。

 

 「まぁ強度については兄弟子にも、わかってもらえたと思うよ。」


 こいつ、話を変えやがった。


 「そもそも、槍っていうのはどういう攻撃方法があるか知ってる?」


 「そりゃ、刺突とか叩くとかだろ。後は一応投擲するっていうのもあると思うが。」


 「その通りだよ。わたしもその『てつはう』とかいうのの話を聞いて、これからの武器は射程が大事だと思ったの。」


 少女の着眼点は凄い良いものであった。

 しかし、兄弟子は同時に何故それで槍に発想が行ってしまったのか疑問にも思った。

 普通、射程のことを考えたら弓とか鉄砲とかに考えが行くはずである。

 しかも、てつはうって鉄砲と違うものではなかったかとも思った。

 てつはうって爆弾だよな?


 「昔の投擲槍は、敵を射損なうことなく敵を貫いた後は自動的に持ち主の手元に戻ると言われていたんだよ。」


 少女は槍を選んだ理由を説明し始める。


 「それって神話の時代の話だろ。この時代に採用するなよ。」


 確かに神話の時代の武器には大体槍が登場していた。


 「兄弟子、それは甘いよ。つまり神話の時代にもあった素材で槍を作ればその時代の現象を再現することも出来るはずってことだよ。」


 少女は、目を輝かせながらそう言う。

 兄弟子はもう何回目かは分からないが、こいつ馬鹿だと思った。


 「つまり神話の時代にもあったであろう竹を使えば、神話時代の槍を再現できるとそう言いたいのか。」


 「その通りだよ!!まぁ貫いた後、手元に戻ってくるっていうのは難しいと思うけど、必殺必中の槍くらいは作れると思うんだよね。」


 お前の頭の中ではそうなんだろうな。

 兄弟子は何も言えなくなった。


 「取り敢えず、遠距離の敵に必中で当てる方法を考え中なんだ。選定会には間に合わせるから期待しててよ。」


 少女は満面の笑みで兄弟子に自信ありげに語った。


 「はぁ、わかったよ。」


 兄弟子はこれ以上何を言っても無駄だと思い、少女の工房から離れることにした。

 同時に病院に連れて行っても無駄だとも思った。


----------------------------


 それから数週間後、選定会の日がやって来た。

 兄弟子はあの後、少女が奇天烈なものを作らないか心配はしていたが、何を聞いてもはぐらかされていたので、聞くのを諦めた。

 正直、この日は来て欲しくなかったくらいだ。


 「兄弟子ー!やっと見つけたよ。」


 選定会の会場に行くと少女が兄弟子を見つけて走って寄ってくる。

 服装なんかはいつも通りであったが、背中には3メートルくらいの袋を担いでいた。

 多分、竹槍が入っているのであろう。


 「それで神話の武器の再現はできたのか?」


 兄弟子は少女に尋ねる。


 「それはちょっと無理だったよ。でも、大丈夫。神話の武器よりも自信のある武器が作れたから。」


 少女は右手でピースを作りながら笑った。


 「本当に大丈夫なのか?ちなみに武器の名前くらいいい加減教えてくれないか?」


 「刺突爆槍だよ。」


 少女は満面の笑みで答えたが、その笑みに兄弟子は不安しか感じなかった。


 

 選定会が始まった。


 他の参加者は大体予想通りの武器を出してきた。

 西方にある島国の武器を参考に作られた片刃の剣とか槍の側面に斧を取り付けたハルバードと呼ばれていた武器である。

 技術力に自慢のある職人は東の大国で最近生産されたという鉄砲を再現して見せたりしていた。

 国の軍人たちもその鉄砲については高く評価していた。


 当然、誰一人として竹とか木とかそういう植物を素材した武器を持ってきたものはいない。


 「次、584番」


 とうとう少女の武器の番が来たようだ。

 少女は背中に担いでいた袋の中から竹槍を取り出す。


 ざわ…ざわ…


 当然見物客からどよめきが起きる。

 担当していた軍人も信じられない物を見る目をしていた。


 一応説明しておくが、少女の持ってきた竹槍はただの竹槍ではない。

 刺突部分は竹の皮で作った袋が被せられておりどう見ても人に刺さるような形状をしていなかった。

 また石突の部分は鉄筒で囲まれており、そこからは一本の紐が伸びている。

 最早、竹で作られている以外は良く分からない武器であった。

 一応竹槍と言えなくもないかもしれない。


 「後ろに立つと危ないんで、後方には立たないでください。」


 少女は見物客に注意をしつつ、その刺突爆槍の準備をする。


 一応、選定会では遠距離武器も出てくるため、1000メートルくらい離れた場所にも的を用意している。

 少女はその的に向かって刺突爆槍の準備をしているのだ。


 「軍人さん。あの的の付近には人はいない感じで大丈夫ですよね?」


 少女は軍人に尋ねる。


 「ああ、その通りだが。しかし、君はそんな竹槍で1000メートル先の的に攻撃できるというのかい?」


 「当り前じゃないですか。わたしの理論上は9000メートル先の起動兵器だって墜とせるはずです。」


 少女は過去に兄弟子にした説明を軍人にしていた。

 軍人はこいつ馬鹿じゃないのって顔をしている。

 まあ当然である。

 しかし、少女はそんなことは気せず、着々と準備をしていた。


 「それじゃあ、行きます!」


 準備が終わったのか、少女はそう宣言をし刺突爆槍の石突の部分を地面から45度位傾けて突き刺す。

 そして鉄筒から伸びた紐を持ち、槍から5メートルくらい離れた。

 その後、紐を思いっきり引っ張る。


 すると鉄筒から炎が噴き出し、刺突爆槍が物凄い勢いで的に向かって飛んで行った。


 ちゅどーーーん!!


 1秒と経たずに槍は的に当たる。

 そして、爆発した。


 「えっ!?」


 兄弟子は全く意味が分からなかった。

 何アレ。

 ちょっと時代を先取りしすぎじゃない?


 爆風が止み目標物付近が見えるようになると、周囲十メートルくらいがクレーター上に凹んでいた。

 勿論、的など跡形もなく消え去っている。

 軍人も呆然と的付近を見ていた。


 少女はその様子を見て満足そうにしていた。


----------------------------


 最終的に少女の竹槍は軍の後方支援部隊の武器として正式採用された。

 まぁあれだけの性能をしていれば当り前である。


 「兄弟子どーよ。」


 家に帰ってから、少女は自慢げに兄弟子に話しかけた。


 「どーよじゃないわ。あれどうやって作ったんだよ!!」


 「ふふん。それは企業秘密だよ。」


 少女はめっちゃドヤ顔をしていた。

 兄弟子はめっちゃイラっとしたが我慢した。


 「まぁ、兄弟子だけに教えてあげると先端の竹籠の部分に爆薬を、石突の方に推進火薬を詰めてみたんだよ。」


 この少女は何を言っているんだ。


 「やっぱり人力だと飛距離とかに不安あるしね。より遠くに飛ばすためにはもっと機械的なものが必要だと思ったんだよ。」


 「それで何であれになんの…。」


 「色々と考えた結果だね。それで射程を伸ばせたんだから、着弾点付近にも被害が出せるようにしたいじゃん。」


 「いや、したいじゃんじゃないんだが。」


 「そんな訳で、先端に爆薬をつけたんだよ。そうしたら見てもらった通り広範囲に攻撃できるようになったんだ。」


 少女の発想がおかしすぎて、兄弟子は何も言えなくなった。

 やはり彼女は馬鹿なのだろう。


 「さて、兄弟子。わたしは選定会で賞を取れた訳だよ。」


 実は兄弟子と少女は選定会で賞をとれるかどうかで勝負をしていた。

 勝った方が負けた方に一つ言うことを聞かせられる的な奴だ。

 少女はこの特典を貰うために必死に努力していたのだ。

 むしろ、これが今回の選定会に参加した主たる目的である。


 「そうだな。それで俺に何して欲しいんだよ?」


 「わたしと結婚してよ。」


 少女は弾けるような笑顔を浮かべながらお願いを言う。

 そうは言っても手が震えており多少の緊張はしているようだった。


 「えっ。やだよ。」


 兄弟子はそのお願いをにべもなく断る。

 兄弟子的にはこの少女に付き合わさせられるのは、結構大変なのだ。


 「えーー!!何でも言うこと聞くって言ってたじゃない。」


 少女は非常に不満げだった。


 「俺に出来ることならって言っただろ。」


 「何でよ。書類にサインしてわたしと子供作って幸せになるだけじゃない。兄弟子でもできることだよ。むしろ、兄弟子にしかできないことだよ!!」


 少女はそう言って兄弟子に詰め寄る。

 酷い言い草である。

 幼児が保護者にいう我儘と同レベルである。

 しかし、こうなっては少女を止めることは親でもできない。

 少女と長い付き合いがある兄弟子にもそれは分かった。


 「はぁ、分かったよ。前向きに検討する。」


 「政治家的な逃げの一手を打たないでよ。わたしみたいな美少女と結婚できるんだよ!!兄弟子は嬉しくないの!?」


 実際少女は性格とか奇天烈な発想とかには問題があるが見た目は良かった。

 ただマイナス面も大きかったため、男っ気もなかった。

 少女とまともに付き合っていたのは兄弟子だけである。


 「どちらかと言えば、嬉しくない。」


 だから、兄弟子は答えた。

 まぁ、少女に本心を言うのが恥ずかしかったというのもある。


 少女も兄弟子と付き合いが長いため、兄弟子が本心からその言葉を言った訳じゃないのは分かった。


 「兄弟子はヘタレだなぁ。」


 兄弟子はその言葉が聞こえたのか苦笑いをしていた。



----------------------------


 その後の話だ。


 少女の作った竹槍は、少女の国を大陸一の列強に押し上げた。

 少女たちのいた国は軍事大国というわけではなかったので侵略戦争はそんなにしなかったが、戦争を仕掛けてきた国はすべて少女の作った竹槍によって成敗された。

 つまりは、少女のいた街は結構平穏だったのである。


 少女はそれからも竹槍を作り続けた。

 少女から竹槍の作り方を聞いた他の武器職人達も竹槍を作ってみたが火薬の取り扱いが想像以上に難しく、少女以外に竹槍を作ることはできなかった。

 少女が天寿を全うすれば、この竹槍はオーパーツとなっていくことだろう。


 そんな少女の隣には一人の少年がいた。

 そんな二人の関係は、少女に聞けば兄弟子と言い、少年に聞けばただの幼馴染と言っているような関係であったが、他の人から見れば夫婦にしか見えなかった。

 なお、二人の間には3人子供がいた。

 普通に夫婦であった。

 後の歴史書にも夫婦として紹介されている。

 なお二人は夫婦であることを否定している。

 面倒くさい夫婦であった。


 二人は生涯をこの街で過ごし、竹槍を作り続けた。

 その竹槍は近代兵器の祖とも言われ、この世界の武器史に残ることだろう。


 少女は言う。


 「竹槍は素晴らしい武器である。丈夫で、中空であるため軽量、その辺に自生しているためタダ同然で入手できる。これからの時代は竹槍の時代であり、竹槍を有効活用すれば如何なる兵器にも勝ることが出来る。竹槍が三百万本あればどんな列強が戦争を仕掛けてきても大勝できるだろう。」


 なお、その言葉を信じたものは誰もいない。



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[一言] 迫撃砲じゃん・・・!
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