探すまでもなく君がいて
また春が来た。君と出会った春。
桜の精のように、美しく儚い君を見つけた、春。
また夏になった。君と笑った夏。
日に焼けた肌に、君の命を感じた、夏。
また秋を迎えた。君と泣いた秋。
葉を落とす木々に「おそろい」と言う君を抱きしめた、秋。
また冬を越える。君のいない冬。
雪の中で微睡み沈んでいく、あるはずのない君の姿を想う、冬。
時は移ろい、日は巡る。都市は過ぎゆき、時代は変わる。
君を置いて。僕を置いて。ほかの全てを連れ去っていく。
それでもぼくは君に会いたい。今日も。明日も。
逢いに行く。いつも。いつでも。いつまでも。ずっと。
ぼんやりと滲んだ視界に君の姿を写して。
あの頃を想いながら。
君を想いながら。
また同じ時を過ごすために。