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情報屋さんは駆け回る  作者: 仮面色
第1章 ニューゲーム
12/25

11 情報屋さんと旅立ち

遅くなりました……。

 この状況を打開する、一つのアイディアが浮かんだ。正直言ってバカバカしいというか、無茶苦茶な発想だ。だが一度思い付いてしまうと、それを超えるような考えは浮かばない。むしろその無茶苦茶なアイディアが、頭から離れなくなっていた。



「やってみるか……ははは……」



 よくわからない内に笑いが漏れる。多分、俺自身に対する苦笑いだ。覚悟を決めて一回深呼吸する。その間にも無数の水の弾丸はひたすらこちらに飛んでくる。多分考えてる時間は一分にも満たなかっただろうが。



「よし……いくぞ!」



 敢えて呟くことで、改めて気合いを入れた。そして一歩前に出る。右に左に、そして後ろに細かく動きながら回避していたが、更に前進し始めた。当然の事だが、前に出ればクリアケルピーとの距離は縮まる。つまり、より素早く弾丸を避けなければならない。



「はっ! ……よっ! ……とぉ!」



 ステップを駆使しながら避けて、避けて、避けまくる。時には両腕を上げたり、海老反りになったり、と変なポーズでも躊躇いなく使って着実にジリジリと距離を詰めていく。端から見たら、ふざけて見えるかもしれないが、たった一撃が死につながるとあって、こっちはかなり必死だ。


 ようやく残りの距離が、数メートルのところまできた。体感は相当長い時間を過ごしていたが、実際は五分も経ってないだろう。あと少しだ。このまま避け続ければ、目の前までたどり着ける。


 だが、奴はそんなにバカじゃなかった。唐突に尾びれを動かすのを止めて、頭を軽く下げた。そのまま流れるように突撃に切り替えた。このタイミングだと普通は避けきれない!


 ……ああ、そ(・)う(・)く(・)る(・)と(・)思(・)っ(・)た(・)。



「『ハイジャンプ』!」



 俺は立ったまま、溜めを無しで【跳躍】を発動させた。いくらスキルを使っても、しっかり跳ぼうとする動作がなくては高さは稼げない。だがそれでいい。


 そのまま斜め前方に跳ぶ。溜め無しで跳んだせいで、高さ的にはだいぶ低い。普通にしゃがんで跳んだのと変わらない。そしてクリアケルピーとすれ違う。だが、俺は右腕を真横に伸ばしていた。当然、クリアケルピーとぶつかる。まるでラリアットをかますようにして。



「いっ!? ……よし!」



 狙い通り、俺の腕はクリアケルピーの首に接触する。……ぶつけた時の衝撃と痛みは、狙い以上だったが。水でできた首に腕が沈み込む。そしてそのまま首を軸にして、俺の体をぐるりと回転させる。背中に飛び乗るような形になった。


 だが、全身が水のクリアケルピーには普通にまたがることはできなかった。俺の下半身が胴体に刺さっているような絵になってしまった。水といっても、スライムに近い感触なのでするりと突き抜けることはない。途中で抵抗が増して止まる。



「ヒヒイイィィィィン!?」



 俺の行動が予想外だったせいか、体を上下させて暴れ始めた。慌てて首の後ろから抱き付くように腕を回す。左手を首にめり込ませたまま、右手で手探りで刀を探す。……見つけた!



「おりゃっ!」



 柄を握り締めて、思いっきり引き抜く。やっと俺の手に戻ってきたな……。短い間だったが、数年ぶりに再会したような気分だ。


 クリアケルピーは依然として暴れ続けている。俺はというと、首と胴体にめり込ませている為、意外と安定した状態で乗りこなしていた。尾びれをびちびちと動かしているが、流石に俺の位置までは届かないらしい。……なんか死角というか……思ったより安全な位置だな、これ。しかも景色が揺れまくって普通なら酔いそうだが、全然気持ち悪くならない。VRの利点だな。


 だが、こうしている訳にもいかない。物理攻撃無効のせいで、俺がめり込んでもクリアケルピーのHPは変わらないままだ。このまま魔法使ってみるか……?



「……『雷弾』」



 右手から黄色い光が生まれる。光はクリアケルピーの体内で、すぐにはじけた。だが、次の瞬間衝撃が走った。



「いっ!? ……か、はっ」



 何が起きたかわからなかった。しかし、痛みのおかげですぐに冷静になり、推測することができた。



「そういうことか……」



 クリアケルピーは全身が水でできている。つまり、その体にめり込んでる今の俺は、水に浸かってるのと同じだ。そんなところに電(・)気(・)を流したりしたらどうなるか。……一緒に感電するに決まってるじゃないか、ちくしょう!


 このままの状態なら攻撃は受けないけど、逆に攻撃することもできないようだ。しかも今の不用意な行動のせいで、俺のHPがギリギリまで減ってる。ヤバいヤバいと思ってたが、本当に後がなくなったな。ポーションも、もう無いし。


 これはもう、賭けに出るしかなさそうだ。



「雷の魔法弾はいくつあったかな、と」



 残りは数個しか無かった。それをクリアケルピーの体(・)内(・)に(・)手を入れたまま、出現させる。しっかりと握りしめて、安全装置を解除していく。そしてそっと手を離した。魔法弾は爆発しないまま、体内に残った。それを数回繰り返して、魔法弾をクリアケルピーの体内にいくつも残していった。



「後は仕上げを……っ!?」



 準備は整った。と思ったらクリアケルピーが急に動きを止めた。不思議に思っていると、くるりと向きを変えて、湖に向かって一直線に走り出した! ……まずい!


 奴は、普通に暴れても俺を振り落とせないと諦めたらしい。だから普通じゃないやり方、湖に引きずり込むやり方を取る気だ。そういえばケルピーの伝説に、人間を誘い込んで溺死させるってあったような……。いや、現実逃避してる場合じゃない。


 慌てて手を引き抜く。比較的、簡単に抜けたものの今度は足が抜けない。両足とも突っ込んでいるから、踏ん張りがきかなくて足踏みするばかりだ。まるで底無し沼だな。


 そうこうしてる間にも、湖が目の前に迫ってくる。クリアケルピーは岸辺で踏み切り、湖に向かってジャンプした。もう湖に着く。……足が抜けないなら、逆のやり方だ!


 俺はもう一度、両腕を体内に突っ込む。そして両腕を支点に逆立ちをするように、思いっきり勢いをつけて両足を引き抜いた。クリアケルピーの飛び込みの勢いで、両腕もズボッと抜けた。そのまま回転しながら空中に放り出される。


 俺はなんとかバランスを取って、逆さまになりながら右手をクリアケルピーに向け、左手で支える。視界が揺れる中、なんとか照準を合わせた。……これで最後だ!



「『雷弾』!!」



 湖に着水する寸前、俺の雷弾が背中に命中する。そして全身に回った電気が起爆剤となり、体内に残してきた魔法弾が次々と誘爆していく。


 クリアケルピーは体を跳ねさせながら、大きな水飛沫を上げて湖に落ちた。電気が湖を伝って、黄色い稲妻が一面に広がる。一拍おいて横たわったクリアケルピーがプカリと湖面に浮かび上がった。そして、HPがみるみるうちにゼロとなり、クリアケルピーは光の粒子へと姿を変えて、消滅していった。


「はぁ……はぁ……危なかった……」



 今回は流石にヤバかった。倒すか倒されるかのギリギリの戦闘だったし、いつやられてもおかしくなかった。なんとか最終的に勝ったものの、相当ド派手な最後になったしな。まるでアクション映画の爆発オチのようだ。



「まぁ、なんにせよ、俺は勝って、生き残った」



 そう、それが事実だ。改めて認識する。頭の中にその事実がじわじわと染み入ってきた。思わずその場に座り込む。ゲームだから疲労は肉体的なものではなく精神的なものだろうが、相当疲れた。



『おめでとうございます! 【深奥の湖】のボスモンスターを討伐したことで、新たなダンジョンへのルートが解禁となります!』

『以降、ボスモンスターは弱体化されます』

『初回討伐ボーナスが発生します』

『単独討伐ボーナスが発生します』



 一拍遅れて、空中にメッセージが表示される。グランドベアの時と同じだ。だが、違った点もある。新たな街ではなく、ダンジョンへのルートとはどういう意味だろうか?


 一瞬首を捻ったが、すぐにわかった。地面が揺れ、湖が動(・)き(・)出(・)し(・)た(・)のだ。



「なんだこりゃ……」



 俺は立ち上がって湖を覗き込む。正確には動いたのは湖ではない、湖の水だ。俺から見て、湖の水が真っ二つに別れるようにして、左右に流れていく。どこかの神話のように、湖が二つに割れた。


 二つに割れた湖から湖底が顕になっていく。そして見えたのは階段だ。岸辺から湖の中央に向かって続いている。呆然と見ている間に道ができてしまった。そして、真ん中には人間よりやや大きい程度の小山があり、その真ん中は洞窟のようにポッカリと穴が空いていた。



「これが新しいダンジョンってやつなのか……ん?」



 湖の方の大がかりというか、大袈裟な仕掛けに気をとられていたが、メッセージの表示はまだ終わっていなかった。



『このお知らせは全プレイヤーに向けて通達されます』



 ふむ、これもこの前見たな。確かこの後パーティ名の登録があったはずだ。



『パーティ名を入力して下さい』

『パーティ人数一名を確認しました』

『自動的にP(プレイヤー)N(ネーム)が通知されます』

「…………は?」



 いや。いやいや。いやいやいや、ちょっと待て。今なんか、ものすごく嫌な予感がするメッセージを見た気がするが、気のせいだよな、うん。そうに違いない。



『プレイヤー【カラス】が【深奥の湖】のボスを討伐しました!』

「おいいいぃぃぃぃー!?」



 だが無情なことに、次の瞬間には全プレイヤーに向けてはっきりと俺の名前と功績が通達されてしまうのだった……。




◆◆◆




「落ち込んでてもしょうがない……切り替えよう。切り替えるしかない、うん」



 思わず膝と手を地についてショックを噛み締めていたが、割とすぐに立ち上がることができた。まぁ今回は不可抗力だ。本来の名前でやってたのは仕方ないことだし、街中では【偽装】で名前を誤魔化してるから問題ない。やり方は今までと変わらないな。


 それよりも今はダンジョンの方だ。さっさと探索に行かないと。もしかしたらさっきのアナウンスを聞いた誰かが、ここに駆けつけないとも限らない。



「それじゃあ行きますかね」



 手持ちのポーションを取り出し、飲みながら階段を降りていく。これでHPは問題ない。


 右を見ても左を見ても、見えるのは湖水でできた水の壁だ。まるで水族館のようだな。魚が一匹も見当たらないことを除けば、だが。


 試しに水の壁に向かって、そろりと手を突っ込んでみた。感触は、当たり前だが水そのものだ。クリアケルピーの体よりもよっぽどサラサラしている。そのまま手の力を抜くとゆっくり浮かんでいくのを感じる。うん、水なのは間違いないな。


 そうこうしているうちに、湖の底まで降りた。まっすぐ穴に向かって歩いていく。だが、その途中で何かが落ちているのに気づいた。



「これは……アイテムか?」



 そこに落ちていたのは三つのアイテムだった。一応手に取る前に鑑定をかけてみる。



─────

水馬の鰭(ひれ)扇(おうぎ)


クリアケルピーの鰭で作られた扇。

・アーツ『アクアウェーブ』が使用可能。


─────

ケルピーの魔水


クリアケルピーの体を構成していた水。青色に透き通っている。


─────

水の魔法水晶


強大な水の魔力が込められた宝石。魔石よりも遥かに希少。


─────



 どれもなかなか面白そうというか……興味を引かれるアイテムばかりだ。三つもあるってことは、さっきのアナウンスで言ってた初回討伐と単独討伐のボーナスはこれらのことかもしれない。……魔水ってのがビンに入ったままでドロップしてるのは、なんとなく違和感あるな。



「どれもこの先、絶対使い道がありそうだな……俺の勘がそう言ってる」



 とりあえず一通りアイテムを収納する。なんか珍しいアイテムばかり集めてる気もするが。気を取り直して、洞窟へとゆっくり突入した。




◆◆◆




 洞窟の中は、人工的な建物だった。自然にできたような造りだったのは入口だけで、内部は石を四角く切り出して積み重ねた、石造りだ。一本道の通路をひたすらに突き進む。



「おや?」



 ある程度進んでいると、奥の方から影が見えた。思わず足を止める。影はふわふわ宙に浮きながら、ゆっくりとこちらに近づいてくる。


 現れたのは魚だった。大きさは中型で鯛くらいだろう。空中を泳ぐように動いてこちらに飛んでくる。その体はクリアケルピーと同じく、全身が透き通っていた。鑑定をかけてみる。



─────

クリアフィッシュ


水でできた魚。穏やかな性格で、自分から攻撃を仕掛けることはない。


─────



 通路の端に立って泳ぐ様を眺めていた。ボーッと見ていると、俺を無視して通り過ぎようとしている。このまま見過ごしても別に構わないんだが……やっぱり倒しておくか。


 刀を抜いて、そのまま適当に下から上に斬り上げる。魚は一発で真っ二つになり、そのまま消滅した。HPが低かったのか、雷属性の攻撃だからあっさりやられたのか……。拍子抜けだった。反撃とか期待してたのに。


 とか考えていると、さらに通路の奥からクリアフィッシュが数匹飛んできた。群れの様に、何匹も何匹も連続で泳いでくる。



「一応、確認しておくか」



 そのうちの一匹に狙いを定めて、殴ってみた。水面を殴ったかのような手応えだ。クリアフィッシュは軽く吹き飛ぶ。が、空中で一回転すると体勢を立て直し、こちらに向かって突進してきた。思ったより勢いがあったが、咄嗟に上体を反らして避けた。



「……がっ!?」



 避けながら後ろに飛んでいくのを見送ったが、急に頭に衝撃を受けた。視界が揺れる。なんだかよくわからないまま、本能的に後ろへとジャンプした。



「……そういうことか」



 体勢を整えながら俺が見たのは、こちらに向かって突進の構えを取っている、大量のクリアフィッシュだった。おそらく一匹にダメージを与えると、周囲のクリアフィッシュが反応する仕組みなんだろう。


 とにかく斬りまくる。次々飛んでくるクリアフィッシュの魚群に対し、ひたすら刀を振る。一振りで何匹か確実に倒せるものの、振り回してるだけでは捌ききれない。当然何匹かはすり抜けて直撃する。



「『雷弾』! 『雷弾』! 『雷弾』!!」



 右手で刀を振りながらも、左手で魔法を乱射する。しかし、ほとんど効果はない。焼け石に水だ。まぁ、当たり前だな。


 向こうは群れで来ている。いわば面の攻撃だ。こっちは小さな魔法を撃ったり、刀で斬ったりと、点の攻撃だ。要するに範囲攻撃を使えない以上、地道に戦うしかない。俺が倒れるのが先か、向こうが全滅するのが先か、我慢比べだ。




◆◆◆




「はぁぁ……きつかった……」



 十分後、俺はしゃがみこんで肩で息をしていた。いや、実際に体が疲れてる訳じゃないが、精神的には相当疲れている。なんとか全滅させたが、あれは相当面倒くさかった。


 ダメージも最小レベルで、チクチクとつついてくる程度だった。だが一匹ならまだいいが、何匹もいるとばかにならない。じわじわとHPが削られるので、地味に焦ってしまった。一本道だから逃げようにも、振りきれなかったし。


 今回は乗り切ったが、この先もそんな感じにモンスターが湧き出ると思うと、気が滅入る。



「これは課題の一つだな……」



 俺の戦闘スタイルは、回避に徹して確実にダメージを与えていくのが売りだ。ボス戦とかの強敵相手ならいいが、今みたいに大量の雑魚を相手にするなら相当時間と手間がかかる。


 うん、決めた。次の目標は、範囲攻撃を修得することだ。魔法でも何でもいいから、複数を相手にできるスキルを優先して探すとしよう。


 ……考えてみたら、戦わずに振り切る手も試してみるべきだったか?


 あれこれ考え事しながらダンジョン内を歩いていた。幸いにも、あの後からモンスターには出会っていない。油断してるつもりはないが、少しは落ち着いて行動できている。


 気が付くと、開けた部屋に出ていた。今通ってきた通路に比べ天井が高く、柱が何本も立っている。正面の一番奥に、祭壇のような場所があるが、そこに大きな箱が置いてあるのが見える。あれは……どう見ても宝箱だな。


 何か起こるんじゃないかと、ビクビクしながら進む。辺りを見回したり、そろりそろりと足を踏み出したり。だが、心配に反して何も起こらなかった。時間は結構かかったが、無事に宝箱までたどり着いた。


 早速、箱を開けてお宝を拝見……いや待てよ。宝箱に擬態したモンスターってRPGでたまにいるよな。



「……………………『火弾』」



 試しに魔法を撃ち込んでみた。着弾と同時に軽く煙が上がる。数秒待ってみたが、特に動いたり襲いかかってきたりしなかった。考え過ぎか……。まぁ用心に越したことはないだろうが。


 今度こそ、中身を確認……と思ったら、またしても出鼻を挫かれた。鍵がかかっていて開かない。だが俺には問題ない。



「ここまで全く機会がなかったので、自分でも忘れがちだが……俺には【解錠】スキルがあるからな! では、『解錠』……………………何だこれ」



 実際に使ってみると、思ってたのとなんか違う……。使ったらすぐにパカッと蓋が開くものだと思ってた。だが、実際に使うと、立体映像のようなものが目の前に浮かんでいた。よく見るとそれは説明書のような、箱を開ける手順が描かれた図式だった。


 箱をひっくり返して底の突起を押したり、鍵穴に刀の先端を突っ込んだりと、手順に従って操作していく。リアリティがあるといえばそうだが……何もこんなところまで、リアルにしなくてもいいのになぁ。地味に手間ひまかかる。


 数手の手順を経てようやくカチッと音がし、解錠に成功したのがわかった。ようやく成功だ。重たい蓋を持ち上げて、ゆっくりと開いていく。そこに入っていたのは剣だった。



─────

ウォーターエッジ


水の魔力を帯びた剣。刃に水分が含まれている。

・魔法ダメージ追加


─────



 ふむ、なかなかいい剣だな。属性武器はまだ開発は進んでないし、開発のサンプルとしてはちょうどいいだろう。キジトラに渡してやってもいい。


 箱から取り出して、色々な角度から眺める。取り出した瞬間、箱は消滅してしまった。そして祭壇の奥の床に何か光る紋様が描かれていた。円形の中に文字が刻まれており、魔法陣のようだった。



「これはもしかして、ポータルか」



 ダンジョンの最下層まで行くと、設置されているもの。それを使えば、一瞬でダンジョンに入口などに戻れるやつだ。俺は刀をアイテムボックスに仕舞うと、迷いなくそこを踏んだ。魔法陣の光が徐々に大きくなっていく。




◆◆◆




「ここは……」



 眩しくて目をつぶっていたが、外の光が収まったのを感じた。目をゆっくり開けると、最初に目に入ったのは緑色だった。首を振って辺りを見回す。どうやらここは、大森林の入口、はじまりの街から少し歩いた地点だった。無事に戻ってこれたようだな。


 さて、これからどうしようか。どうせほとんどのプレイヤー達は第二の街に向かって移動していることだろう。だが、焦ることはない。俺のスピードと、この武器があれば多少出遅れてもなんとかなるはず。


 ひとまず、はじまりの街である程度自力をつけることはできた。ここまでが俺の情報屋ライフの、チュートリアルみたいなものだっただろう。次は活動の幅を広げたり、人脈を広げたりとまだまだやることはいっぱいある。



「活動方針はまた計画を立てるとして……今日はもう遅いか」



 いつの間にか、かなり時間が経ってしまっていた。まぁ、ある意味では当たり前かもしれないがな。


 俺は街に入るとすぐにログアウトした。次にログインする時は第二の街に行かないとな。

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[気になる点] 勝手に名前が全プレイヤーに通達されるのはなんかおかしくないですか?
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