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「九遠さんて、彼氏作らないんですか?」
昔宮くんはトイレに席を立ったので、私と久住さんが残った。居酒屋は賑やかさを増していて、ガヤガヤ騒がしい。
聴こえないふりを、したかったぐらいだ。
「作らないというか、出逢いもないし。」
口に含んだ焼酎を、喉に追いやってからそう答えた。
「まさか!勿体ないですよぉ、九遠さん美人だから絶対みんな狙ってます!」
“みんな”ってどこにいるのかしら?
それならなぜアピールしてこないのかしらね?
こっちは残業さえなければ毎晩暇してるのに。
呑み友達も、昔宮くんだけなのに。
(あ、もしかして昔宮くんと二人で飲みに行くの嫌だった?)
それは反省しないとな。いくら男と意識してなかったからとはいえ、他人の彼氏を誘ってはダメよね。
(そういう感覚すら忘れちゃってるわ・・・・)