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迷惑は新たな人生の始まり  作者: 八神竜
新たな人生
7/13

最初の友人

その頃・・・


「はぁ…もう3時間は歩いてるよね?なんで?なんで誰とも会わないの?ここはテンプレだと魔物に襲われたり、襲われてる王女様を救ったりして王族と知り合いになっちゃうとかがお決まりだよね?」

刃は北に向かって文句を言いながら現在ユーキタスの街まで続く街道を歩いていた。しかし刃が実際歩いた時間は2時間程なのだが刃は知らない。

「それにおかしい…魔力を自覚して魔法を発動させようとしたら出来なかった…ちゃんとイメージしたよ?こう、掌から火柱が10mほど出るイメージとか掌から30cm位の水球が出てくるイメージだとか。なんで!なんで『ステータス』しか発動しないんだぁ~!!」

そう。刃は魔力を自覚し、歩きながら魔法を使おうとしたのだが……何故か『ステータス』以外は使えなかった。

刃が歩きながら

「『ステータス』」

と、唱えると目の前に銀色の、某週刊少年雑誌位のプレートが出現した。

「(これ、人には見せれないかも…)」

刃はプレートを見ながら思った。




■■■

名前:南雲 刃 LV1

職業(ジョブ):なし

種族:異世界(地球)人族

HP 100/100 MP 100/100

筋力:100/100 速さ:100/100

防御:100/100 生命力100000/100000

賢さ:100/100

能力(スキル):獲得経験値増加、恐怖耐性LV1、ステータス魔法

称号:『???』『才を開かれた者』『巻き込まれし者』『修復者』『神界からの落下者』

加護:『地球神アリテリポスの加護』『異世界(エニポウィリス)神エルサレムスの加護』

■■■




なんだか凄いのか凄く無いのかビミョーである。

刃は種族、称号、加護を見ながら

「(消えないかな…)」

と思っていると




■■■

名前:南雲 刃 LV1

職業(ジョブ):なし

種族:人族

HP 100/100 MP 100/100

筋力:100/100 速さ:100/100

防御:100/100 生命力100000/100000

賢さ:100/100

能力(スキル):獲得経験値増加、恐怖耐性LV1、ステータス魔法

称号:『???』『才を開かれた者』『巻き込まれし者』

加護:なし

■■■



「おおぉ~!!!」

プレートの種族、称号、加護の欄に(もや)が掛かり情報が改変された。

「今、消える様に思ってたら改変した。って事は見せたくない部分は隠せる?って事なのか?」

そう、ステータスプレートは持ち主の意思によって情報の一部分を隠せる機能がある。他にも称号や加護の説明を見れる機能がある。

「これは便利だな。それと『ステータス』っていちいち言うの面倒だな、無詠唱で言えるようにしよう。」



刃が歩き疲れ、休憩をしていたその時

『ヮォォーーーン!!』

動物の鳴き声らしき声が聞こえた。

「ん?」

刃は周りを見渡し自分の右方に何か黒い物体が迫って来ているのを捉えた。

「何だろ?」

刃が観察していると、刃との距離が50mを切った辺りで黒い狼が四匹こちらに来るのが見えた。

「っ!やばっ!狼!」

刃は狼たちから逃げる様に走った。

しかし狼の脚力に敵うはずも無く、1分後刃は狼たちに囲まれていた。

『『『『ガルヴゥルルゥゥゥ!!』』』』

狼たちは刃を威嚇するかの様に吠えた。

「(……マジか)」

刃は狼たちに囲まれながらどうすれば生き残れるか狼たちを見ながら考えた。すると地球に存在する狼に良く似ている事が分かった。イヌ科に属するタテガミオオカミだ。狼たちは体長130cm程の尾長30cm位で、黒い体毛が伸長して(たてがみ)状になっており、細長い犬歯が見れる。ちなみに食性は雑食だが食肉を好む。

「(……肉食じゃん)」

刃は死を覚悟した。

何故刃が狼の生態に詳しいかと言うと、小学生の頃、狼がかっこ良くて調べまくったからだ。



刃と狼たちの対峙から数分後、

遂に痺れを切らした左側の狼が刃に襲い掛かった。

『ガルゥゥゥゥ!!』

刃はそれを紙一重で避け、尻餅を付いた。

「(っ!あっぶね!)」

その時刃の頭に声が響いた。

『スキルLVが上がりました。』

『スキルを取得しました。』

「(っ!!何だ?声?)」

刃は驚きつつも狼たちに集中し、左側に空いた空間を背に狼たちと向かい合った。

刃の左右に一匹ずつ、前方には二匹いる。

そして左右の狼が刃に襲い掛かった。

刃は右側の狼を身体を前に倒すことで避け、左側の狼を今度は後ろに身体を倒すことで避けようとしたが避けきれず左腕に噛まれてしまった。

「っ!!!!!」

刃は声にならない声を出し、激痛に耐えようとしたが

狼が噛み付いた腕を噛み千切(ちぎ)ろうと力を入れた瞬間

『ミシミシミシッ』

狼の歯が肉を断ち、骨に達し、ヒビが入る音がし、




「がぁぁぁぁぁ!!!!」

刃は腕から焼ける様な激痛がし、右腕で狼の口を掴み、離そうと必死になったが狼は微動だにせず噛み続けたままだ。

それもそのはず、狼の顎の力は180kg前後とされ、成人男性の顎の力は60kg前後とされているのだから。

刃が狼の口を離そうとして必死になっている中、前方の二匹が襲い掛かって来た。

刃は前方の二匹を気配で感知すると、とっさに右腕を二匹の前に構え、

「あぁぁぁぁぁぁ!!!!」

二匹が刃の右腕に噛み付いた。

刃は激痛の余り意識を失い掛けたが、何とか意識を保った。そして先ほど避けた狼が襲い掛かり、左脇腹に噛み付いた。

「っ!がぁっ!………」

遂に刃は激痛に耐えられず意識を失った…



・・・・

『※※っ!※※っ!』

『※※、※?♯う&て……』

『※※っ!※※…』

・・・・

「!何だ、夢か」

刃は起き上がり周りを見渡した。

「これは…」

周りには先ほど襲い掛かって来た狼の死骸が転がり血の海と化していた。狼の死骸は首が切断されているもの、背骨が折れ死骸がくの字になっているもの、腹が斬られ(はらわた)が出ているもの等、三匹(・・)の死骸があった。

「傷が…治ってる。確かに噛み付かれて腕に穴が空いてたのに」

刃は自分の身体に傷一つ無く、治ってる事に驚いた。

しばし考えた後プレートを見てみる事にした。



■■■

名前:南雲 刃 LV20

職業(ジョブ):なし

種族:異世界(地球)人族

HP 4000/4000 MP 5000/5000

筋力:2900/2900 速さ:1470/1470

防御:2860/2860 生命力156000/750000

賢さ:300/300

能力(スキル):獲得経験値増加、new!恐怖耐性LV2、ステータス魔法、new!気配察知LV3、new!具現化LV3、new!剣術LV3、new!格闘術LV2

称号:『???』『才を開かれた者』『巻き込まれし者』『修復者』『神界からの落下者』『襲われし者』『狼を狩りし(ウルフ・ハンター)』『暴走者(バーサーカー)』『狼の天敵』

加護:『地球神アリテリポスの加護』『異世界(エニポウィリス)神エルサレムスの加護』

■■■


「(おぉ………)」

刃は驚いた。そして、

「(え?なにこれ…プレートを見る限りこの狼達を殺ったのは俺なんだろうけど…それにしてもステータス上がり過ぎてない!?四匹倒してLV20も上がるって…チートだ…。それにスキル増えてるし!え?何?剣術?格闘術?知らない!習った事も無いよ!気絶してる間に何が……………あれですか?某アニメで意識失うと自分の裏の顔が出てくるヤツですか?

え?何それ怖い。いや嬉しいけど…嬉しいけどね!自分にそんな一面があって……まぁ、いい方向に考えないとね)」

刃は前向きに考えた。

そして狼達をどうするか悩んだ、

「これ…どうしよっかな…」

刃は悩んだ末、街で換金出来るかも知れないと思いマジックバックに血抜きしてから入れる事にした。

「え~と、ちゃんと血抜きしてからっ、と」

そこで刃はある事に気づいた

「あれ?一匹、二匹、三匹………一匹足りない…」

そう。狼が一匹足りないのだ。

刃は辺りを見渡してみると狼たちが来た方向に血の跡が

続いているのを見つけた。

「…行くか」

刃は三匹の狼をマジックバックに入れ血の跡を追った。

血の跡を追うこと約2時間。

「(血の量からして狼は深手を負ってると見ていい。なのに2時間も歩き続けてまだたどり着かないなんて一体俺は何時間気絶してたんだ?)」

刃はそんな事を思っていると、周りがほのかに茜色になりつつあり太陽が沈み始めた。



30分後刃は狼を見つけた。

狼のには至るところに切り傷があり死んでいた。

刃は狼をマジックバックに入れようとしたその時、

狼の腹部が動き、何かが出て来た。

「ッ!!」

刃は咄嗟に離れ両腕を構えた。

「ガゥゥ~」

狼の腹の下から出て来たのは子狼だった。

そして良く狼を観察するとメスだと言うことが分かった

「ッ!………」

「ガゥゥーー!!!」

刃が驚いているのと同時に、子狼は狼の前に出て母親を守るかの様に吠えた。

刃は子狼に手を伸ばし、子狼は刃の手を噛んだ。

ガブッ

刃は手に痛みが走ったが、まるで子狼の母親を殺してしまった事への贖罪(しょくざい)をするかの様に耐え続けた。

「ごめんな…独りぼっちになっちゃったな…」

刃がそう言い数分後、子狼は噛むのを止め、傷を舐め始めた。

「っ!お前…」

子狼が傷を舐めるの見て、刃は目からな…汗が出た。そして子狼が傷を舐めるのを止め、刃の足に頭を擦り付け始めた。

「一緒に…来るか?」

「?ガゥ!」

刃は子狼が頷きながら返事をした様に見えた。

「そっか。…じゃあお前の名前は優しい牙と書いて

ユウガだ!」

「ガゥ!」

刃は子狼にユウガと名付け

「親御さんを埋葬しないとな」

「クゥン……ガゥ!」

刃はユウガの母親を埋葬し、ユウガを左肩に乗せ(刃は右肩に乗せたかったがユウガが嫌がり)元来た道を戻り、その日は街道近くで野宿した。




次回は12月4日金曜昼12時に投稿します。

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