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繋がりの唄―chanson―  作者: さくら彩音
〜第1章〜
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出発

 青く高く広がる空。朝の爽やかな空気を肺いっぱいに取りこむ。

 太陽の光がキラリと反射したのを見て、百合菜は微笑んだ。

 その指には精霊石(ラルム)が光る指輪。イリスから貰った、武器を通さずにマナを使うための道具だ。


 今日は出発の日。

 これから旅に出る期待と不安。いろいろな思いが駆け巡る。

 弓矢の練習のときはどうなるかと思ったが、無事ユートに合格を貰えて良かったと、内心ホッとする。

 最初は嫌な奴だと思ったが、意外に優しい所もあることに気づいた。


 ――もう少し口の悪さを直せばいいのに。


 百合菜は思った。

「百合菜ちゃーん! 準備出来たかしらー?」

 イリスの声が聞こえる。

「はーい! 今行きまーす!」

 百合菜は荷物を持ち、部屋を出た。




「まあ! よく似合ってるわ!」

 百合菜を見てすぐにイリスは言った。

旅に出るならと、イリスが新しい服を買ってくれたのだ。もともと着ていた服はこちらでは目立つ。

「軽さと、動きやすさを重視してみたの。もちろん可愛さも忘れずにね!」

「ありがとうございます! 何から何まですみません」

「いいのよ! 妹がいたらこういう事やってみたかったし」

 イリスはそう言うと、百合菜の手を握った。

「気をつけてね。手がかりが見つかるように祈ってるわ。何かあったらいつでも立ち寄ってね!」

「イリスさん……。本当にありがとうございます!」

 目には涙が溢れそうになる。

「泣くにははえーだろ。バカ。さっさと出発するぞ」

 玄関の前の壁に寄りかかっていたユートがダルそうに言った。

「もう! わかってるよ! じゃあイリスさん、行ってきます!」

「行ってらっしゃい! ユート、百合菜ちゃんを頼んだわよ!」

「へいへい。じゃーな」



 遠く見えなくなるまで、イリスは手を振っていた。百合菜もそれに応える。

「いいお姉さんだよね、イリスさん。ユートが羨ましい」

「そうか? 実際実の姉弟だと喧嘩もするし、うるさいし、面倒だぞ?」

「ふふっ! そういうのがいいんだよ!」



 ゼフィール村を出て、ゼフィール高原に入る。まず向かう先はスィエル町。


 百合菜とユートの、旅は始まった。


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