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初期練習作(短編)

わたし自身の問題

 わたし自身の問題。

古くから、それはある。

何世代もの間、人々は苦しんでいる。

ルネ・デカルトが唱えたころとはうって変わって、

人々は自分自身の重さに辟易しているのだ。

太ったからではなく、精神の問題。

今それがここにある。


 ここは近所のファーストフード店。

わたしはランチセットの種類で迷っていた。

もちろんコンビニのお菓子でも迷う自信がある。

わたしは自分の決断に自信が無いのかもしれない。

なぜなら、わたしは何が一番満足度が高いのか

事前に判断できないからだろう。

占いできる人が本当にうらやましい。

わたしは思いきって大きな方のセットを頼むことにした。


 「太ってる……」

その晩わたしは、体重計に乗って冷や汗をかいた。

やはり少なめにすべきだったか。

脳裏に一抹の不安がよぎった。

そういえば、明日は女子会である。

「飲みすぎたらどうしよう……」

女同士は話も弾むので、必然的に楽しく感じられる。

今日はストレッチをしてから寝よう。

気持ちを切り替えて、少し早めに眠ることにした。


 あくる日、楽しみにしていた飲み会に行った。

久しぶりに会う人ばかりで、近況報告しあう。

ひとり、彼氏ができた人がいた。

おのれ、抜け駆けしおって。

彼女は今日からわたしの敵である。

今度からは一切誘わないと思う。


 ……そんな飲み会であった。

わたしは終電で帰り、部屋のベッドに寝転がる。

酔い加減が心地よい。

そのままぐっすり寝てしまいそうだ。


 本当に寝てしまったらしい。

わたしは気づいて飛び起きる。

時計を見ると、朝の7時をもう回っている。

なんだか頭がガンガンする。

二日酔いだ。だれか助けて。

台所で多めに水を飲み、もう一度ベッドに倒れこんだ。


 わたしは一体何をやっているんだろう。

否、今まで本当に何をしてきたのか。

だってわたしの人生なのだ。

もっと主体的に生きたい。

わたしは決断した。

せめて今日からは、3kgやせよう。

正直、彼氏ができた友人の笑顔と、

モデル並みの体型がうらやましかったからだ。


 雲の上から神さまが見ていた。

「あれ、おかしいな。

あの子はもっと体重が増えても良いはずだが。

そうすれば彼女の自然な美しさに惚れた

優しく誠実な彼氏ができて、

当初の予定通り、幸せな結婚に至るのになあ」

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